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63話 新幹線内でのトランプ

 時間はお昼を回った頃、響は菖蒲と共に駅に向かっていた。

 駅に着くと、キャリーケースに体重をかけながら待っていた、有咲たちと合流した。


「おー来た来た、遅いー」

「菖蒲ちゃんおはよっ!あ、道元も居たんだ」

「手厳しいな」


 今日はついに海水浴プラス、プチ旅行に出発する日。予定を合わせ、計画も立て遂に念願の海水浴をすることが出来る。


「見ろよ響、俺楽しみすぎて下に海パン履いてきた!」

「海水浴は明日だぞ」

「…ちょっと脱いでくる」


 浮かれすぎて少し心配な佑馬を待ちながら、今日のプランを確認する。


「とりま有咲の別荘行くまでに数時間ぐらいかかるっしょ?」

「新幹線で向かって、そっから車で少し走らないと行けないからそんくらいかなー。あ、車はおじいが出してくれるってさ」

「別荘に着いたら、もう暗くなってると思うから、みんなでご飯食べてそっから肝試しっ!」


 有咲の別荘の近くには、有名な心霊スポットがあるらしく、一華と有咲が行きたいとごねたため、泣く泣く行くことになった。


「ごめーん!もう脱いできたから準備はいいぞっ!」

「そろそろ新幹線来るし、ホーム行こっか!」


 十数分後、新幹線がホームに到着し、乗り込んでいった。


「この新幹線三人席で良かったね!回転出来るみたいだし仲良く行けるね!」

「俺外見たいから端っこ!」

「っはぁー?ずるっ、あたしも端がいいんだけど」


 端を争う二人両方に端っこの権利を渡し、残った席に響たちは腰を下ろした。


『行くまで何します!?トランプですか?駅弁食べちゃいます?枕投げなんてどうです!?』

「色々早すぎだ」


 到着まではまだまだ時間がある。とりあえず景色を眺めながら、軽い雑談をする。

 途中、透子のお腹が鳴り、その音に呼応するように他のお腹も鳴り出したため、車内販売の駅弁を購入した。


「響さんのお肉美味しそうですね!一口ください!」

「同じ駅弁なんだから菖蒲の弁当に入ってるだろ」

「一口ください」


 余程美味しかったのか、もう既に食べきっていた肉を菖蒲の口に放り込んだ。


「響っちとあやっちー、イチャイチャしすぎー」

『イチャイチャなんてしてませんよ!?』

「肉を取られることがイチャつきに入るなら、そうなるだろうな」


 菖蒲は恥ずかしさを隠すように駅弁を食らっていた。

 そんな響の横で透子は、青白い顔で一点を見つめていた。


「透子さんどうしたんだ?」

「…っぷ…酔った…」


 今にリバースしそうな透子を『仕方ないんだからー』と一華が介抱し、トイレへ連れて行った。


「佑馬が酔っても俺は知らないからな」

「冷たっ!もっと優しくしてくれよ!なぁ源さん!?」

「その通りです!響さん、佑馬さんが可哀想ですよ!」

「菖蒲は『勝手に酔って吐いてろ』だとさ」


 佑馬と菖蒲にポコポコと叩かれながら、響は駅弁を食べ切った。


「うぇー…ごめん、もう大丈夫」

「透子さん大丈夫か?」


 トイレから戻ってきた透子は、水を片手に少し顔に生気が戻ってきていた。


 一時間と少し、雑談や今後何をしたいかを話していると、菖蒲がうずうずとした身振りで、カバンからトランプを引っ張り出した。


『皆さんそろそろトランプしませんか!?』

「いいねっ!透子ちゃんもやる?」

「あたしは傍観者で…」


 菖蒲はババ抜きを提案し、トランプを皆に配った。

 すると佑馬が悪い顔をしながら、罰ゲームを設ける。


「一位は最下位の恥ずかしい話で!」

「ナーイスゆまー」


 有咲と佑馬はハイタッチをし、二人で悪い顔をする。


「なら席順で行こっか、私から有咲ちゃん佑馬君、菖蒲ちゃん響君で」


 初めにペアが多く揃っていた響は、余裕でゲームをスタートした。


「有咲ちゃんポーカーフェイスすぎて分かんないよー」

「ひっひっひー」


 ババは響の手札にあるため、これをいかにして一華に握らせるかが問題だ。


「響さんどうぞっ」


 そんなことを考えていると、響の番がきていた。

 響は菖蒲のカードを端から触っていくが、その度に菖蒲の表情がコロコロと変わる。


「これか?」

「うぅ」

「これは?」

「うんうん!」


 ババは響の手札にあるため、何を基準に表情を変えているのかは分からないが、一番面白い顔をしていたカードを引き抜いた。


「さぁ一華、好きに引いてくれ」

「どーしよっかなー?これ?これかなー?」

「…触るのはカードだけにしてくれ」


 カードを選びながら、響の手をサワサワと触れられ手元が緩んでしまう。


「これだー!」



 巡目は回っていき、一人を残して皆がカードを捨てきった。


「よっしゃ!響の負けー!」

「期待を裏切らない響っち…やるねっ」

『私が一位です!ふふんっ』


 響は何故こんなにも勝てないのかと、肩を落としていた。

 響の肩を叩きながら、佑馬が『罰ゲーム』と口を動かした。


「じゃあ菖蒲ちゃん!響君の恥ずかしい話どうぞっ!」


 菖蒲はモジモジとしながら、響のスマホを指差しながらノートを皆に見せた。


『…響さんのホーム画面…私でしたっ…』

「ほほーん響っちー」

「ほんとかどうか確認させて貰おうかー?」


 響はスマホを仕舞おうとするが、それよりも先に透子がスマホを取り、響の顔認証でスマホを開いた。


「ちょっ!透子さん!?」

「この菖蒲ちゃん可愛いー!」

「響殿…良いホーム画面ですな?」


 前に授業中に撮った写真を使っていることがバレ、菖蒲はその時に撮っていたナルシスト響を皆に見せていた。







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