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囁き少女のシークレットボイス  作者: うみだぬき
バレタインデー
235/239

235話 簡単なアドバイス

 両家のお花見は、順調に進んでいた。

 琴音たちが久しぶりに落ち着いて話せる機会。主に菖蒲から色々な話を聞き出そうとする。


『それで響さんたら、なんて言ったと思いますっ?』

「えぇー、気になる気になる!」


 菖蒲の口を塞ぐ響は、父である羽響にお茶を注いでいた。


「もぉ響っ、菖蒲ちゃんとイチャイチャしたいのは分かるけど、お母さんにも菖蒲ちゃんを堪能させてよー」

「俺の話以外をするなら考えてもいいけど」


 琴音は『ちぇー』と唇を尖らせながら、ビールをグイッと喉に流し込む。

 それを羨ましそうに見つめる人物が一人。


『お母さん今日はお酒はいいんですか?』


 藍李は物足りなさそうにお茶に口を付けながら『仕方がないじゃない…』と視線を落としていた。


「俺ちょっと散歩でもしてくるわ。藍李さんもどうですか?」

「っあ!私も!!私も一緒に行きたいです!!」


 響の目論見に気づけておらず、靴に小さな足を通そうとする。


「…菖蒲」


 響は自分に出来る最大のアイコンタクトと、表情筋を使い、菖蒲に考えを共有する。


『っあー…私はまだ琴音さんと羽響さんとお話してたい気分だったみたいです!なのでお先にどうぞっ』


 下手な芝居を打ってくれた菖蒲は『私とも後で絶対ですよ!?』と言いながら、作戦に協力してくれた。


「じゃ、藍李さん行きますか」

「ちょっ、ちょっと!?」


 藍李の手を引く響を恨めしそうに見る菖蒲を尻目に、二人は桜の木の下から歩き出した。



「藍李さん…」

「みなまで言わないでちょうだい…私でも分かってるから…」


 藍李は唇をプルプル震えさせながら、響の肩を掴んだ。


「っ無理無理!私には無理よ!あれだけ一緒に作戦も考えたのに、もぉー頭は真っ白なのよ!」

「分かったんで落ち着いてくださいってぇ!」


 アルコールは入ってないはずだが、緊張とお酒を飲めないストレスでシラフではないようだ。


「今は菖蒲が時間を稼いでいるんで、とりあえずは大丈夫です。…まぁ、何を話されてるかは考えたくないけど…」


 藍李は、近くのベンチに腰をかけると『はぁ…』と顔を自分の手に埋めながら、情けないと言わんばかりに大きなため息をついた。


「あなたと菖蒲がどれだけ愛し合っていても、肝心の親がこれじゃあ、あなたの両親も安心出来ないわよ…」

「歯の浮くようなこと言わないでください」


『本当のことじゃない』と首を傾げる藍李に、響は誰でも思いつくような簡単なアドバイスをした。


「っそれができないから、今こんな状態なのよっ!?」

「だからこそですってっ!」


 藍李は信じ難そうに響を睨んだが、観念したのか、ついに重い腰をあげた。



「へぇー、あの響がねぇ。へぇー」

「おい菖蒲、何を話したんだ?」


 十分程席を外していた間に、だいぶ話を流失されたようだ。


「遅かったな、何か話でもしてたのか?」

「父さんにも聞こえない場所でね」


 父である羽響は、響同様耳がいいのだ。そのため、だいぶ離れた場所に歩かされる羽目となった。


「あの…道元さんのお母様、ちょっとお時間をいただいても…?」


 ついに藍李は決心が着いたようだ。

 響と菖蒲は、静かに拳をぶつけあった。

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