表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
囁き少女のシークレットボイス  作者: うみだぬき
バレタインデー
228/239

228話 デブ猫との因縁

 初っ端から飛ばしすぎた春休み。そのギャップにやられ、鬱屈とした日々を過ごしていた響は、気分転換に街中を闊歩する。

 手始めになかなか手を出せずにいた、コーヒーショップで新作と思しきフラペチーノを購入した。


「サイズって『S、M、L』以外にもあったんだなぁ」


 難解な呪文を唱える先客を参考に、どうにかフラペチーノにありつけた響は、舌鼓を打ちながら散策を続ける。

 すると、目の前を恰幅のいい猫がのそのそと通り過ぎた。


「うぉっデブ猫だ、ん?」


 そのデブ猫を追いかけるように、二人の少女が目の前を横切る。


「待てぇー!待つのだ!!」

「っあっちの路地裏に行っちゃったら、逃げられちゃうよぉ!」


 暇な時間を潰すにはちょうどいいシチュエーションに遭遇し、バレないようにこっそり後をつけた。


「むむむぅ…せっかく美神お姉ちゃんに選んでもらったハンカチが…」

「双葉殿元気を出すのだっ、必ず我が取り返してみる!っく…ケルベロスめ…高所に逃げるなど卑劣な…」


 なかなかに珍しい組み合わせと、デブ猫との因縁に訝しんでいると『こうなったら救世主を呼ぶしかないっ』と、胸騒ぎがする独り言を呟く。

 そして、すぐに響のスマホが激しくバイブした。


『おぉ!響殿!今は時間あるだろうか!?』

『今デブ猫の行方を追ってて忙しいな』


 勘の鈍い美神は『そうか…なら仕方がないか』と、捜索を応援され、プツリと通話が切れた。


「美神お姉ちゃんどうだったっ?」

「…すまない双葉殿、響殿も急を要する雑務に追われているらしい…」


 分かりやすく肩を落とす双葉は、手をいじりながら呟く。


「久しぶりに響お兄ちゃんに会えると思ったのに…双葉に愛想尽かしちゃったのかな?」


 こんなに可愛い言葉を呟かれては、響の足が黙っている訳がなかった。


「っ双葉ちゃん、お待たせ」

「えっ!?響お兄ちゃんなんでっ!!?」


 もうあえて触れないが、美神はいつものセリフを吐きながら、響の突然の登場に目を丸くしていた。


「響お兄ちゃん忙しいんじゃなかったのっ?」

「妹の助けを求める声に駆けつけないのは、お兄ちゃんとして失格だからな」


『それは理由になっているのであるか?』とツッコミを入れる美神を無視し、デブ猫に視線を移す。


「あの猫ちゃんが双葉のプレゼント取っちゃったの…響お兄ちゃん、取り返してくれない?」

「我からも頼むっ」


 ここまで頼まれては、手を貸さないという訳にはいかない。


「お兄ちゃんに任せておけ…『お兄ちゃん』にっ!」

「同じことは二度も言わなくてもいいのだぞ?」


 響は勢いよく走り出し、地面を蹴りあげると、過去最高の飛距離を記録した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ