226話 いつもの展開
久しぶりに響の部屋が大所帯で埋められていた。
旅行から数日後、春休みを退屈に過ごしているメンバーが続々と集まってきた。
「っおぉ!これが響殿のお部屋であるか!!」
「美神ちゃん?来てそうそう布団に潜り込むのは良くないかも」
初めて来たはずなのだが、寸分の狂いもなく、最短距離で響の部屋に向かった美神は、永流から引っ張り出されていた。
「笹倉ってもう課題終わったってまじ?」
「うん、暇だったからね」
「うっそ、ならなんであたしは終わってないん?」
自ら行動に移さなければ終わるはずもないのだが、そんなことも露知らない透子は、不思議そうにしている。
そんな中、菖蒲は机の上にドンと袋を置くと、皆の注目を集めた。
『皆さんお待ちかねのお土産タイムです!』
「っやったぁ!菖蒲ちゃん大好きー!」
「俺も半分選んだんだが?」
菖蒲の時とは反対に、透子には『あ、そうなん?あんがとね』と質素に感謝をされた。
「…じゃあ、俺コーヒーでも入れてくるかな」
「しょーがないなー、うちも手伝ってあげるよ」
透子からのダメージを察してくれたのか、有咲は椅子からスタっと立ち上がると、キッチンにお供してくれた。
「ねぇ響っち?なんか言うことないっ?」
「ん?あぁ、手伝ってくれてありがとうございます有咲様」
「うちにどんなイメージ持ってんのよ」
有咲はチッチッチと下を鳴らしながら、違うと言わんばかりに指を揺らす。
「うちが聞きたいのは、旅行中での事だよ」
有咲の人をからかう特有の間が流れる。
「二人きりの温泉旅行、なんにもなかったとは言わせないよ?」
電子ケトルが急かすようにカチッと音を鳴らす。
「っほら、お湯も沸いたしまた今度ということで…」
「うちから逃れられると思わないでよね」
有咲はコーヒーをみんなの元に運び終わると、響を一瞥したあと『っそーいえばっ』と話を切り出す。
菖蒲は誰よりもお菓子を頬張りながら、写真を佑馬たちと共有していた。
「響っちの口から旅行の話聞きたくない?」
悪ノリを察したのか、永流もそれに大きく頷く。
佑馬は、何も分かっていなさそうにワクワクと目を輝かせていた。
「道元、文化祭の時も言ったけど菖蒲ちゃんに何もしてないよね?」
冷や汗が額を流れる。
『っ透子さん何を言ってるんですか!?そんなことある訳…ないじゃないですか…』
「響殿の貞操が…」
一華になだめられる美神から、絶望にも似た視線を向けられる。
「とりあえず響君、色々聞かせてくれるかな?」
唯一の助け舟の洋太は『ごめん』と呟きながら、逃れるように目を逸らした。
何故かいつもこの展開になるのは何故なのだろうか。




