シュテルベンの奇襲
七人の大人が腹を抱えてゲラゲラと笑う。
心底気持ち悪い。
僕は今片手に装弾数2発のピストル、ポッケにナイフがある。
このピストルは装弾数が少ない割に装填に時間がかからない。けど、最悪の場合は魔法で応戦すればいい。
「餓鬼一匹楽勝だ!!串刺しにしてやる」
三人のワ国兵が銃剣を向けて突進してくる。
僕は咄嗟にナイフを取り出し、三人の頭上をジャンプして飛び越えた。
「!?」
三人のワ国兵は秋雲の幻影を串刺しにした。
「どこに行った!?」
三人は慌てふためいている。
後ろを向くと、リキ大佐達が口をぽっかりと開けて驚いた表情をしている。
ますます理解できない。
「リキ大佐、どうしたんですか?」
聞いてもリキ大佐は全く反応しない。
「わぁああ!」
一人が下を見て情けない声を上げた。
「どうしたんだ」
二人がなだめるように言う。
「し、下」
今にも泣きそうな声で地面を指差す。
二人は馬鹿らしそうに下を見た。
「あ、」
次の言葉が出ない。
なぜなら、地面には背中から鮮血を出す三人が倒れていたのだから。
「ひっ、ひえ」
リキ大佐含める四人は今までの経験から湧き出るとてつもない恐怖に襲われていた。
「全く、見えなかった。魔法か何かだとすると…奴は転生者か転移者なのか!?」
リキ大佐の考えはだいたい合っていた。だが、魔法では無い。これは秋雲の根の身体能力だった。
「か、勝てる訳無い」
リキ大佐の周りにいる三人は徐々に後退りし、ついにはリキ大佐を置いて逃げ出してしまった。
「お、おい、お前達。私を置いて逃げるのか!敵前逃亡は死罪だぞ!」
三人は聞く耳すらもたず、一心不乱に逃げて行った。
「リキ大佐って、人望ないね」
秋雲が三人の死体の上で無表情のまま言う。
「なぜ私の名を…」
「君の部下が叫んでたじゃん。記憶力ないね」
リキ大佐は外見に似合わず、涙目で震えた声だ。
声一つ出すのにも時間が掛かる。
秋雲はそんなリキ大佐の姿を嘲笑う様に話を続ける。
「そんな弱腰で大佐か。面白いね」
「き、貴様如きに私の苦労が分かるか」
リキ大佐の斧は刃先こそ秋雲に向いているが、とても斧が震えている。
「その斧さ。凄く臭うね。何を斬り刻んだの?」
「薄汚い魔族さ。魔族は神や魔王の手先だからな」
「苦労ってさ、もしかして、魔族を斬り刻む事?」
「そうさ。彼奴等の体は硬いからな。かなりの労力がいるぞ」
リキ大佐の言葉をなんとなく秋雲は理解した。
その上でリキ大佐に軽蔑の視線を向ける。
「所詮弱い者イジメの大佐か」
「何を!」
リキ大佐は馬鹿にされたような感じがし、斧を振りかざして秋雲に突進する。
「ただのボンボンが!」
「…やっぱり、バカだな!」
秋雲は片手にあるピストルをリキ大佐に向ける。
「ヌオッ!?」
リキ大佐は急ブレーキをかけたが、スピードを上げすぎて止まれない。
パンパン
2発の銃声が広場に響く。
「ゴフッ」
リキ大佐の口から赤黒い液体が出る。
そのまま体を地面に倒し、仰向けの状態になった。
「まるでイノシシみたいだな」
秋雲はピストルに弾を装填しながら言う。
装填し終わると、またピストルの銃口をリキ大佐に向ける。
リキ大佐は激痛で手すらあまり動かなかった。つまり、無抵抗だ。
「それでは」
秋雲はピストルの引き金を引こうとした。だが、指が固まったかの様に動かない。
「そこまでだよ。秋雲後輩」
何処か懐かしい声が聞こえた。
声と一緒に桜の花びらが僕を包み込む。
春の日差しの様に暖かい感じがする。
僕はその温もりの中で安心したのか、眠ってしまった。
次に目が覚めると、列車の中にいた。
豆電球がぶら下がっていて何処か昔の列車に見える。
上半身を起き上がらせて周りを見ると、どうやら僕は列車の椅子の上に寝かされていた様だ。
「大丈夫か?」
ムルツメクスが心配そうに僕の顔を覗き込む。
「…特に異常はありません。ここはどこですか?」
「ここかい?ここは装甲列車“ライセンス”。ラ国唯一の装甲列車だ」
自慢気に話すムルツメクスを見ていると、また眠気が襲ってくる。
さっきの戦闘の事を思い出そうとすると、更に眠くなる。
起きようと努力するも、まぶたが重い。
だんだんと戦闘の事を忘れていく。
僕がまた眠りにつこうとすると、誰が目の前にコーヒー入りのカップを置いてくれた。
眠る寸前の体を奮い起こし、なんとかコーヒーを一気に飲む。
「目は覚めたかい?」
僕が飲み干したカップを持ちながらモワさんが言う。
「なぜここに!?」
僕は驚きを隠せず、つい大声で叫んでしまった。
「君、かなり寝てたからね。ワープする時間は十分にあったよ」
「そうなんですか」
「…」
端の方でムルツメクスはうずくまっていた。
二人の会話に水を差すのは悪いと思っている様だ。
「そうだ。君、名前は?秋雲の看病ありがとね」
「ムルツメクスです。…三等徴募兵です」
ムルツメクスは何処か言いにくそうだった。
ラ国では兵士を集める為に常備軍の他に徴兵制度が存在する。ラ国の徴兵は基本的に20歳からくじ引きで行われる。兵士になる確率はおよそ20%だ。兵士になった者は予備兵として三年間兵役につく。一年経つ事に三等、二等、一等と位が上がっていく。
つまり、ムルツメクスは今年から兵士になったのだ。本人からすると、嬉しい様な辛い様な感じである。
「三等徴募兵か。今回の件をラ国陸軍本部が有事と認めたんだ」
モワさんが頭を抱えながら言った。
だが、すかさずムルツメクスは否定した。
「いえ、違います。我々、第一予備大隊ならびに第三予備大隊は現在ラ国中立騎士団の指揮下にあり、国の意図は一切介入しておりません」
彼は顔を赤らめて言った。本来、この様なセリフは少尉以上の位の人が話すのだ。
モワさんはしばらく目を丸くしていたが、すぐに腹を抱えて笑い出した。
「君、いいね。楽しいよ」
ムルツメクスはますます顔を赤らめて、下を向いた。そして、そのまま黙り込んでしまった。
「モワさん。それより、この後、どうするんですか?」
「そうだね。早急にサトウキビに帰らないといけないけど、ここじゃ堂々と魔法使えないしな。途中下車して徒歩でサトウキビに帰る。以上!」
「わぁ。とりあえず、この装甲列車は止まるんですか?」
「もう少しで止まると思うよ」
モワさんがそう言った途端、耳鳴りの様な音と共に体が前に飛ぶ感じがした。
急ブレーキだ。
しばらくして、不快な耳鳴り音はだんだんと小さくなり、それに比例する様に速度も落ちていった。
列車が完全に止まると、僕達はすぐに外に出た。
「これより、装甲列車ライセンスをここに放棄し、我々は徒歩で北に向かう」
そう叫んでいるのは、中立騎士団団長兼ラ国裁判長のカーロである。中立騎士団団長は恒例で裁判長になる。
カーロは自ら集団の先頭に立って移動する。
もちろん、ムルツメクスも集団に加わって北に移動する。
なので、僕とモワさんはこっそりとムルツメクスから離れてサトウキビへ向かった。
「あの人達、大丈夫ですかね?」
「…無事を祈る事しか出来ないけど、中立騎士団はラ国内で二位か三位の実力はあるよ」
僕達はサトウキビを目指して一直線に草原を突っ切っている。この草原の草は僕の腰程まで草丈があり、歩きにくかった。
かなりの時間、草原を歩いている。
あともう少し歩けば熱帯雨林の中に入り、そこからすぐにサトウキビへの入り口がある。
あともう一息だ。
「あともう一息だ。とか思ってるだろ」
突然目の前に氷の柱が現れた。
「アハハッ。あともう一息だったね」
氷の柱の裏からシュテルベンがスッと現れた。
「本当にもう少しだったね」
後ろからも赤い翼を広げた吸血鬼の様な人がいた。
完全に挟み撃ちだ。
「秋雲は前のシュテルベン。私は後ろのドラを相手するよ」
モワさんはそう早口で言うと、僕に背中を預けた。
「私の相手はモワじゃなくて君か」
シュテルベンは驚くように言う。
僕はシュテルベンがどれほどの実力か全く知らない。慎重に行動しなければ。
この時、僕の頭から完全に駅前での自らの戦いの記憶は消えていた。
まず手始めとして、ピストルをシュテルベンに向けて発射する。
ピストルから弾き出された二発の弾丸は一直線にシュテルベンに向かう。
そして、思いも寄らない事が起きた。
「ウッ」
低いうめき声と共に、二発の弾丸はシュテルベンを貫通した。
二つの風穴から出た血はシュテルベンの服を赤く染めていく。
「クスクスクスクスッ」
なぜかシュテルベンは不気味に笑い出した。
風穴を手で塞ごうともせずに。
「鉄砲如きで倒せたとか、思ってないよね」
突然僕の体は宙に浮いた。
いや、テレポートしたと言った方が正しいのだろうか。
雲よりも少し上の所に僕はいた。
瞬き一つすると、体はみるみる落下する。既に雲を突っ切った。
「杖!」
そう叫ぶと、右手にいつもの不格好な杖がポンと現れる。
杖の先を地面に向けてやたらめったらに呪文を唱えた。
効果はどうなのか。地上に激突してみなければ分からない。
一方、モワの方ではドラと格闘戦をしていた。
「ねぇねぇモワ。吸血鬼に格闘戦で勝てると?」
「ごめん。私、格闘戦に自信があるんだよね」
吸血鬼の能力には確かに身体能力向上の効果が付いている。しかし、身体能力向上が付いてなおも、モワとは互角の戦いをしている。
モワは魔法などは使わず、かつて方から教わった格闘技を存分に使っていた。
「ハァハァ。モワ、あんた案外やるわね」
「おやおや、もう息切れかい?私はまだまだ動きたりないぞ」
時間が経過するにつれて、だんだんとモワが優勢になっていた。
絶賛、日がさしているため、多少吸血鬼は体力が落ちている。しかし、そうは言っても、素の戦闘力はそもそもの桁が違った。
モワはこのまま押し込めば勝てると確信した。
心に少しの余裕が出来た。だが、すぐにこの余裕は押し潰された。
「二人とも、面白そうだね!」
ニコニコしながらシュテルベンが後ろから現れた。
モワは秋雲は瞬殺されたのではと疑った。
けど、今はそんな事を考えている暇は無い。流石に、シュテルベンとドラを同時に相手したら、十中八九戦死する。
「形勢逆転だね。今のモワの気持ちが手に取るように分かる」
ドラは突然調子に乗り始め、此処ぞとばかりに煽ってくる。
「それじゃ、2体1、頑張ってね。モワ」
シュテルベンもまるでモワと戦う事を楽しみにしていたかのようにすぐ戦闘態勢に入る。
「…今日が命日でしょ。流石にこれは。けど、モワ、行けるところまで行き、死ぬべきところで死ね」
モワは決死の覚悟になった。せめて、命尽きても、二人に一矢報いる気である。
「さて、逝きますか」
「ぬわああああ!!」
「ん?」
「おっと?」
上から声がした。
三人は同時に空を見上げる。
白い雲に一つのシミのような黒い点が見えた。
その点はみるみる大きくなっていく。
「シュテルベン。ミスしたね」
ドラが一番最初に黒い点が何なのかを正確に捉えた。
もちろん、黒い点の正体は落下してくる秋雲だ。
「ハハッ。ドラ、頭捻って考えな。秋雲は落下に対する対策は何も持ってないんだよ。実力測るには丁度いいじゃん」
「はっ?実力を測る?もしかして、あんたがここに来た理由って?」
ドラの質問にシュテルベンが答えようとすると、丁度そこに秋雲が地面に衝突した。
ドゴーン
凄まじい爆発音と大量の土煙が舞う。
少し先も見えない。
その中でもなんとかシュテルベンは目を開けて状況を確認している。
「これは、久々に楽しめそうかな」
すると、土煙の中に赤い点を十一個見つけた。
シュテルベンはすかさず前に西日式防御魔法甲を張って待ち構える。
赤い点はそのまま一直線に伸びた。まるで光線のようだった。
何発かは外れたが、7発ほどがシュテルベンに当たる。
だが、防御魔法の優秀さがここで出た。
いとも容易く弾き返したのだ。
ドラは西日式防御魔法癸を万一に備えて張っている。
そこに四発の赤い光線が到達した。
「えっ!それは無理…」
ビームは防御魔法をすぐに貫通し、ドラに襲いかかる。
体を捻って一発は避けられたが、三発が命中した。
「ッッッ!」
当たったところは瞬時に蒸発し、ドラの体を貫通する。
体内でマグマが暴れているかの様に痛い。
傷口を抑えようと、手を当てると、焼け石の様に傷口が熱かった。
傷口は徐々に広がっていく。肉体が融解していってるのだ。
絶え間なく続く激痛にドラは地面にうずくまった。
「流石に一人くらいは殺れましたか?」
「あんな化け物揃いがこれくらいで死ぬか疑問だけど、行動不能はいるんじゃない?」
土煙の中心では秋雲とモワがいた。
モワは秋雲が地面と正面衝突する直前、なんとか秋雲を適当にワープさせて落下の速度を一気に減らした。後は、秋雲がやたらめったらに唱えた呪文のお陰で生きている。
「にしても、レーベンとの特訓でこんな高威力技を覚えるなんて」
モワさんは感心する様に言う。
ただ、実はこの魔法はレーベンにとっては通常攻撃魔法のロートというものだった。これはレーベンが百年近く暇潰しでやっていた魔法の研究の成果の一つだ。
最初に技名を聞いた時は、漏斗と聞き間違えた。
モワさんは土煙のような煙幕を張り続ける。
僕も一呼吸置いたらロートを放つ。
だが、このままずっとこれをやっていても、何も変わらない。そろそろ脱出の方法も考えなければ。
「二匹の兎は隠れるのがお得意のようで」
パン
シュテルベンが手を叩く。すると、瞬く間に土煙が晴れ、視界がちゃんと利くようになった。
余りにも一瞬の出来事で僕達は体が硬直する。
「アハハ。煙幕に隠れているのも、終わりだね。ここから、どうする?私と壱対二で戦う?」
シュテルベンの笑いから、僕達は恐怖を感じる。
たぶん、今が、レーベンさんから教わった必殺技を使うべきところだろう。
最低限、シュテルベンを行動不能に陥れたい。
そして、この必殺技の存在こそ、モワさんが僕をシュテルベンにあてた理由だ。
モワさんが後ろから魔法の援護射撃をする。
この援護射撃のお陰でシュテルベンの周りにあった西日式防御魔法甲は崩れ落ちた。
「モワ、そんな水鉄砲のような攻撃、あんまり意味ないよ」
シュテルベンががっかりした様に言う。
彼女はそんなふうに言うが、モワさんは強力な追撃魔法をシュテルベンに当てている。
シュテルベンは次々とくる追撃魔法を右手で払いながらこっちに迫る。
僕はこの間に詠唱をする。詠唱をすると、時間が掛かる系の魔法も通常より早く終わる。
シュテルベンは余裕が全開で歩きながら来る。
「全く、四線クラスだとこんなものか」
シュテルベンは左手の掌を僕達に向ける。
その掌に黒い線が集まり、真っ黒な球体を形成する。
「これで、いっか」
シュテルベンが完全に油断した。
間違え無く今が好機。
僕は一瞬の内にシュテルベンの目の前まで到達し、ほぼゼロ距離で必殺技を放つ。
「ラートストーム!」
僕は右手をシュテルベンに突き出し、魔法を放った。
その威力はまさに必殺技だった。
僕の掌から強風の塊が一気に発射される。
その強風の塊は射線上の地面を抉り取りながらシュテルベンへ向かう。
「防御魔法前面フル展開」
急いでシュテルベンは詠唱し、かなり強力な防御魔法を前面に出した。そして、強風の塊に呑まれた。
ラートストームはシュテルベンの防御魔法に当たると、爆散し、更に辺り一面を放射線状に抉り取りった。
「流石に、これを喰らって立ってたら凄いな」
モワさんはこの破壊力に感動する様に言う。
僕も、我ながらモワさんと同じ事を思っている。
パチパチパチパチ
「いや〜。流石だよ。八年ぶりに本気で焦ったわ」
僕達は、言葉を、失った。
シュテルベンは服に多少の土汚れが付いただけで、全くの無傷だ。
今、何事もなかったかのように歩いている。
「ここまでやってきてくれたんだから、私もやらないとね」
シュテルベンはパチンと指を鳴らすと、次の瞬間にはモワさんと格闘戦を繰り広げていた。
モワさんはドラと闘った時のよりも余裕が無い表情だ。魔法も出し惜しみ無く駆使して闘っている。
だが、シュテルベンの一蹴りでモワさんは口から血を吹き、地面に倒れ込んだ。
すると、今度は僕の方に来る。
「ロート!」
僕は遠距離から一気に叩くことにした。
六本の赤い光線は全弾シュテルベンに命中する。
しかし、シュテルベンは防御魔法を新しく張り、容易く攻撃を防ぐ。
僕も、腹を決めないといけない。
魔法での攻撃を止めて杖を手から離す。
そして、ポケットからナイフを取り出して刃先をシュテルベンに向ける。
ここで、一発逆転を狙うしかない。
あの後は、ボコボコだった。
身体中が焼けるように痛い。まともに熱線を喰らったからだろう。
シュテルベンは今、目の前にいる。
今なら倒せるかもしれない。だが、今、目が開かない。首を掴まれているのは感覚で分かる。すぐ目の前にいる。
あともう一振り出来ればいい。
なのに、手が、腕が上がらない。足も感覚がほとんど無い。
これが、無双される側の気持ちなのだろうか。
この、圧倒的力量差に絶望し、ただただ蹂躙される無力感。
どうせ、今に死ぬのだろう。モワさんが今大丈夫なのか。それが気がかりでならない。
だんだんと意識が遠のく。
「 だったらな…」
薄れる意識の中でふと口から出た。
けど、何も変わらない。
諦めるか。
「生きる事を今諦めるな!!ここは異世界だぞ。せめて故郷の土の上で死ね!!」
レーベンさんの声だ。
「久しぶりだね。レーベン」
「ホントに久しぶりね。シュテルベン。いい加減、周りに厄災振り撒くの止めたら?」
レーベンはシュテルベンに杖を片手に近づく。
シュテルベンも、秋雲を手から離し、杖を持ってレーベンに近づく。
「さて、レーベン。今回は見逃さないよ」
「人生の先輩として、今も尊敬はしてる。…夢は諦めきれないんだね」
今まさに、厄災対強者の闘いが幕を上げようとしていた。




