第八話「帝都初空襲」
【1944年3月・豚鬼陸軍飛行場】
「猪爆隊、征空隊を出撃させろ!」
豚鬼陸海軍総司令官・拳将軍が、飛行場で声を張り上げた。
「攻撃目標は日本本土だ!この攻撃は必ず成功させるのだ!」
「了解!」
70機の『猪爆』と50機の『征空』、計120機の大編隊が準備を整える。エンジンの轟音が響き、プロペラが唸りを上げた。
「全機、高度8000まで上昇!」
大編隊が雲を突き抜け、日本本土へ向けて突き進む。高度を稼ぎながら、東京を目指した。
「全機、高度8000を維持!東京まであと僅かだ!」
「敵戦闘機の迎撃は?」
「まだない模様です!」
拳の指示を受けた編隊長が叫んだ。
「よし、このまま一気に突き進むブヒ!」
やがて、大編隊は東京上空に到達。爆弾倉が開かれると、編隊長が号令を下した。
「全機、爆弾投下!」
70機の『猪爆』から無数の爆弾が投下され、江戸川区、荏原区、品川区が炎に包まれた。中央区と杉並区は壊滅的な被害を受け、火の手が空を赤く染めた。
「敵都市への空襲に成功せり!全機離脱せよ!」
だがその瞬間、真下から30機の零戦が急上昇してきた。
「敵迎撃機だ!」
「まずい!全機散開せよ!」
「了解!」
『猪爆』が急旋回でかわそうとするが、零戦の20mm機銃が次々と命中。護衛の『征空』も撃墜され、大編隊は混乱に陥った。
「後部機銃で撃ち落とせ!奴らを寄せ付けるな!」
『猪爆』の後部機銃が火を噴くが、零戦の高い機動性に歯が立たず、撃墜数が次々と増えていく。
「ええい!こうなったらロケットエンジンに点火しろ!」
編隊長の命令で『猪爆』のロケットエンジンが起動。凄まじい速度で零戦隊を引き離し、何とか追撃を振り切ることに成功した。
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【大本営】
「何!?帝都が空襲されただと!?」
大本営の一室で、将校が怒気を孕んだ声で叫んだ。机を叩き、地図を睨みつける。
「はっ…敵大型爆撃機による大規模空襲により、帝都は甚大な被害を受けました。中央区と杉並区が壊滅的被害を受けています。」
参謀が報告すると、将校が顔を歪めた。
「何という事だ…迎撃機は何をやっていたんだ!」
「それが…敵爆撃機は突如凄まじい速度を発揮し、迎撃隊を振り切って離脱したとのことです。」
「奴らを迎撃できる機体はないのか!?」
「既存の機体では、局地戦闘機『雷電』しかないかと。」
将校が一瞬考え込み、決断を下した。
「よし、ならば『雷電』を量産しろ!来るべき空襲に備えるのだ!」
「了解です。」
こうして日本政府は、新型局地戦闘機『雷電』の増産を決定。大規模空襲への備えを急いだ。