第四話 「旅順攻略作戦」
【1942年5月・大豚鬼帝国総司令部】
テニアン島での海軍壊滅、フィリピンでの陸軍敗北を受け、日本軍は1942年5月にフィリピンを占領した。この危機に、大豚鬼帝国総司令部では緊急会議が開かれていた。
「大日本帝国は我々に宣戦布告し、南太平洋の島々を次々と占拠している!このままでは帝国に未来はないぞ!」
豚鬼陸軍大将・公が、汗を拭いながら地図を叩いて提案した。
「陸軍が旅順を攻撃し、海軍が日本本土を叩く。戦力を分散させ、各個撃破で逆転を図るのだ!」
だが、豚鬼海軍大将・拳が眉をひそめて反対する。
「それでは我々海軍に甚大な被害が出る可能性がある。我々はすでにテニアンで大損害を被っている。」
公が拳を睨みつけ、声を荒げた。
「このまま日本に滅ぼされるのを待つのか!?海軍はどうするつもりなのだ!?」
「これ以上損害を出せば、日本本土への侵攻など夢物語になる!」
拳が反論すると、会議室は一触即発の空気に包まれた。
「ではどうしろと言うのか!?」
公が怒鳴った瞬間、拳が冷静に口を開いた。
「こうするのはどうか?まず陸軍が旅順を叩き、大陸から日本軍を追い出す。その後、海軍と共同で日本本土に侵攻する。」
公が顎を撫で、目を細めた。
「なるほど…確かにそれなら…」
「では決まりですな。」
拳が頷き、こうして大豚鬼帝国は旅順攻略作戦を始動させた。
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【1942年7月・陸軍省】
「閣下、特務機関からの報告です。」
陸軍省の一室で、参謀が緊張した声で報告した。
「豚鬼軍が近日中に旅順攻略作戦を開始するとの情報を入手しました。」
「その情報は確かなのか?」
「はい。豚鬼陸軍内部に潜入した者からの確証です。間違いないかと。」
「即刻、各部隊指揮官に戦力を旅順へ送るよう伝えろ。」
「了解しました。」
参謀が敬礼して退出すると、真崎大将は窓の外を見やり、低く呟いた。
「豚鬼め…来るなら来てみろ。」
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【1942年10月・旅順要塞】
旅順要塞は鉄壁の守りを誇っていた。改装時に陸揚げされた長門型戦艦の41cm砲や九六式15cm加農砲が要塞各所に配置され、上空では一式戦闘機「隼」45機が哨戒飛行。海軍は海防艦を周辺海域に展開し、関東軍の一部と戦車第四連隊が地上戦に備えていた。
【海防艦『占守』】
「本当に豚鬼軍は旅順に攻めてくるのかね?」
海防艦『占守』の甲板で、水兵が双眼鏡を手に呟いた。
「さあな。分からんが、俺たちは命令に従うだけだ。」
隣の水兵が肩をすくめた瞬間、約20キロ先に上陸船団らしき影が現れた。
「おい、あれ!」
「まずいぞ!すぐ要塞に連絡しろ!」
「了解!」
無線が飛び、旅順要塞司令部は即座に反応した。
#### 【旅順要塞・戦車第四連隊】
「急げ!敵が上陸する前に迎え撃つ!」
司令部の命令を受け、戦車第四連隊が動き出した。九五式軽戦車「ハ号」35輌、九七式中戦車改「チハ改」50輌が要塞から飛び出し、轟音を響かせて進軍する。
だが、豚鬼海軍も負けてはいなかった。上陸船から軽戦車「通天」を次々と揚陸し、迎撃態勢を整えた。
「敵の上陸を確認!進撃を阻止しろ!」
指揮官の号令で、チハ改とハ号の主砲が一斉に火を噴いた。砲弾が通天に命中し、爆発が砂浜を揺らす。だが、通天も反撃に転じ、両軍は激しい砲撃戦に突入した。
「この距離なら負けん!撃ち続けろ!」
「了解!」
チハ改の装甲が通天の砲弾を弾き、ハ号の機動力が上陸地点を圧倒。次々と通天を撃破し、ついに上陸部隊を全滅させた。
豚鬼軍の第一次攻略作戦は失敗に終わり、海軍は旅順要塞から撤退を余儀なくされた。この敗北は豚鬼軍上層部を激怒させ、陸軍大将・公は大豚鬼帝国本土へ呼び戻された。