表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/553

ダンジョン『井の中』(2)

 

「武器のスキルツリー解放できてない?」

「う」

「武器スキルツリー?」

「あ、そうか……先輩たちも初めてですもんね。システムの説明をしますね」

「そうだね。最低限整えてから入ろう。まずね……」

 

 シーナとバアルがSBOのシステムを説明していく。

 プレイヤー自身と武器、防具、アクセサリーにそれぞれスキルツリーが設定してあるということ。

 プレイヤーレベルの他に武器、防具、アクセサリーにもレベルが設定してある。

 武器、防具、アクセサリーはモンスターを倒すとドロップするが、レベルマックスになった武器、防具、アクセサリーは武具屋、装飾品店で上位武具、アクセサリーと交換できる。

 また、武器、防具、アクセサリーにあった[武器スキル][防具スキル][アクセサリースキル]はプレイヤーが覚えられるので、武具やアクセサリーを手放しても[武器スキル][防具スキル][アクセサリースキル]はなくならない。

 プレイヤー自身と武器、防具、アクセサリーのスキルツリーはモンスターを倒すとレベルアップする。

 重要なのは歌によるバフ、デバフ。

 バフは多種多様だが、同じ曲を数人で歌うことや、ハモリ、歌自体の技術を精密採点でバフの時間や上昇、下降の効果が決まる。

 歌が上手ければ上手いほど、バフの効果は高く、長くなるということ。

 初期職は剣士、弓士、槍士、拳士、銃士、魔法使い。

 魔法使いはバフが他職よりも効果が高く発揮できる他、デバフの歌を歌うことができる。

 中位職になると剣士は騎士、傭兵、戦士。

 弓士は弓師、槍士は槍師。

 拳士は拳師、モンク、盾士。

 銃士はガンナー、スナイパー、砲士、ライダー。

 魔法使いは奏士、楽師、歌手、踊り子、遊び人。

 これらの上に”上位職”があり、その上に”最上位職”もある。

 そのあたりはレベルを上げていかなければ解放される。

 

「このくらいは覚えておくといいかもね~」

「つまり珀ちゃん……や、のうてバアルはその歌バフが得意な”魔法使い”なんやな」

「そう。僕は元々MMOで魔法使い系ばっかり使ってたから。SBOは歌でバフを使う職業だから、ちょっと他のMMOとは違うけれど」

「わしはこういうVRMMO自体初めてやからなぁ。結構細かいシステムなんやね」

「えっと、初期設定だとみんな剣士になっていると思うので、変更すると自動で初期武器になります。ちなみに俺とセイは剣士ですね」

 

 周……ルカも初期職のままなので、剣士だろう。

 それを聞いてシーナとバアル、セイ以外が改めて自分の職業や装備、スキルを確認していく。

 

「銃士ってかっこええやん~。わし、銃士になるわ」

「あ……ヒナ先輩、『井の中』は投擲系は威力が落ちます。こればかりはバフでなんとかなるものではないです。武器のスキルツリーを開放していれば、水中でも威力が変わらずに戦えるものがあると思いますけれど」

「おう~~~。ほな、剣士でええかぁ」

「僕も剣士~。中位職になれば”騎士”があるんでしょう? 星光騎士団の騎士として、ゲームの中でも騎士やりたいよねぇ~」

「じゃあ、俺も」

「自分も」

「あ、えーと……じゃあ……大丈夫ですかね?」

「そうだね」

 

 結局バアル以外、中位職の”騎士”を目指すことにした。

 セイにも武器のスキルツリーを開放させ、突き技を取得させた。

 

「まずいね、一時間くらいの予定だったけど22時まであと30分しかない」

「今日中にグラディエスクレイフィッシュはきついですね」

「ほなとりあえずレベル上げでええやん? 淳ちゃん……や、のうてシーナちゃん、サポートに回ってくれへん? わしら初心者やし、魔法使いちゅうんは歌でサポートする職業なんやろ? 歌の練習にもなるしな~?」

 

 ハッとする。

 現実で声が出ないからと誘ってくれるのだ。

 前衛で歌うよりも、魔法使いとして後衛でサポートに徹した方がいいだろう。

 気を使ってもらったという感動で、ちょっと泣きそうになる。

 

「は、はい。でも、魔法使いとしてはバアル先輩の方が優秀ですし……」

「魔法使いが二人いてもいいんじゃない? ハモリの練習になるし」

「あ、は、はい! じゃあ、あの、よろしくお願いします!」

 

 メニューから職業を”魔法使い”に変更する。

 装備はそのままなのに剣を持てなくなったので杖に持ち替えた。

 初期装備の杖は育てていないので、ヒナとミオとルーヴァと変わりない状態。

 多少レベルは上がっているけれど。

 

「それじゃあ行こうか。予定は変更して全員のレベルを10にしようね」

「「「はい!」」」

「「「了解!」」」

 

 バアルの宣言で、全員ダンジョンに飛び込んだ。

 最初に現れたモンスターは金魚。

 

「いくよ、シーナくん」

「はい!」

「「~~~♪」」

 

 歌を歌い出す。

 他メンバーにプラスのバフがポポポンと付与される。

『攻撃力上昇』と『素早さ上昇』と『刺攻撃力上昇』

 意外にもふよふよした藻を上手くジャンプ台にして、真っ先にモンスターに襲いかかるのはヒナ。

 バフの効果もあるだろうが、『井の中』のモンスター平均レベルは8〜10。

 それをほぼ一撃で急所に突き立てて倒したのだから恐ろしい。

 

「あれ、弱ない?」

「ヒナ先輩が強すぎたんです」

「なんで?」

「バフ効果が高すぎたんですかね」

「ええ〜?」

 

 ちらりとバアルを見るシーナ。

 笑顔でごまかすバアル。

 

「ハモリのプラス効果かな?」

「そうかも?」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【宣伝】
『不遇王子が冷酷復讐者の手を掴むまで』(BL、電子書籍)
5cl9kxv8hyj9brwwgc1lm2bv6p53_zyp_m8_ve_81rb.jpg
詳しくはヴィオラ文庫HPまで

『国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!』アンダルシュノベルズ様より発売中!
g8xe22irf6aa55l2h5r0gd492845_cp2_ku_ur_l5yq.jpg
詳しくはホームページへ。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ