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ソング・バッファー・オンライン~新人アイドルの日常~  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』
6章

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残るオタク


「〜〜〜〜♪」

 

 歌い終わり、頭を下げる。

 心だけは込めたパフォーマンスができたと思う。

 心、というよりも……応援の気持ち。

 がんばれ、伝われ、応援してるからね。

 そんな気持ちを強く強く込められたパフォーマンス。

 いつものようにファンサービスをすることはできなかったけれど、仕事は完璧にできたように思う。

 

「というわけで僕とナッシーは明日の開会式とトークショーを観に行くので残りまーす」

「お金大丈夫なの……?」

「キャッシュカード持ってるから大丈夫!」

「俺も親にメールしたら電子マネーで送金してくれるって」

 

 つまりお金の不安はなくなった。

 二人ともお仕事をしてお給料を学院経由でもらっているので蓄えはある。

 が、宇月は自分で管理しているが淳はまだ一部を親が管理しているので今回は電子マネーで送金してもらった。

 音無家、推しが全員同じなのでそういうところは非常に寛容。

 

「はい! 僕も残りたいです!」

「響くんお金とスケジュール大丈夫なの?」

「今日のことがあるので、明日明後日はお休みにしてもらってたんです。お金は多めに持ってきてたから大丈夫ですよ、多分!」

「本当かなぁ? 一応過保護なマネージャーさんに連絡しておきなよぉ?」

「大丈夫です! もう連絡したし、明日の朝にはこっちに到着するって。お金が足りなくなったらマネさんにお願いすればいいかなって」

「ええ……? あの人来るのぉ?」

 

 柳のマネージャーさん、基本的に学院のイベントにはノータッチで“お願い”されている。

 なぜなら入学当初、星光騎士団の定期ライブにもつき添って学院側に注意されたので。

 もっと言うと、東雲学院芸能科は基本的に素人を叩き上げてプロに通用するように育てる養成所の部分が大きい。

 しかし、まったくの素人以外……芸能活動をしている人間が入学してこないわけではない。

 その中でも付き人やマネージャーがいる生徒に対して、付き人やマネージャーへのマネジメントに関する案内が別途存在する。

 学院のマネジメントイベントには手出し口出しをしないこと、事務所経由の仕事依頼やスケジュールは情報共有して、生徒の意思を最優先にすること。

 もしも学院側の斡旋したイベントに同行する場合は事前申請必須など。

 事務所と学院がやっている“マネジメント”の部分が被っているから、そういう事故を減らすために規定が設けられているのだ。

 当然、とても面倒臭い。

 その面倒を避けるため、こういう学院側の斡旋した仕事に柳のマネージャーはついてこない。

 だが前夜祭が無事に終わったあとのことはプライベート。

 マネージャーが来てもいいのだろうけれど、プライベートにマネージャーが干渉するのは――それはそれで話が違うのでは……という気持ちにもなる。

 柳のマネージャーは柳の血縁らしいので、そういう“プライベート干渉”もある程度許されるのかもしれないけれど。

 問題はマジで口うるさいところ。

 いや、柳親子がストーカーに悩まされてきたことが原因なのはわかっているのだけれど。

 

「まあいいや。それじゃあホテル捜しに行こうっか」

「そうですね。柳くんが来るのならツインじゃなくてシングル三部屋の方がいいでしょうか?」

「あーそうだね~。僕とナッシーでお金を出し合えば一部屋で済むかも~、って思ってたけれど……」

「あ、大丈夫です。マネさんとツインで泊まるんで。でも、できれば同じホテルに泊まりたいです。やっぱり知り合いがいた方が安心なので……。僕のマネさん、女性ですし」

「ああ、まあそれはいいけどねぇ。ここから少し遠くなるよぉ?」

「大丈夫です!」

 

 という答えをいただけたので、三人で移動。

 さすがに出番が終わったのに長々と会場に居座るわけにはいかない。

 いや、一応前夜祭を最後まで見て行ってもいいとは言われているのだが、控室からは出て行ってほしいとんことだ。

 前夜祭は歌唱の応援パフォーマンス後、日本のeスポーツチームへの決起集会のようなものが行われる。

 客席に人が入っているので、出演者が前夜祭を観覧する場合は三階の関係者席――天井にガラス張りになっている席が推奨されていた。

 座席が決まっているわけでなく立ち見であることから、あまり学生だけでいていい雰囲気はない。

 選手の家族には席が用意されているので場違いな感じがものすごいのだ。

 なので今からホテルに行って部屋で配信を見ている方が、多分見やすい。

 遠くの席からの本物よりも、配信の方が顔まで見えるからだ。

 

「あ、もう『蒼雷ジャパン』の出番なんだ」

「円くん!」

 

 荷物を持って裏口に移動中、設置されたモニターに選手が入場してくる。

 明日の開会式でも紹介はされるであろうが、日本の代表チームは日本のeスポーツチームから上位成績者が選出され、構成さている。

 各チームから五名ずつ。

 トップ成績はプレイヤー名『エイラン』。

 すべてのジャンルのゲーム成績がトップという怪物。

 それを聞いた時の淳、「え? エイランさんってそんなすごい人だったの……?」とドン引きした。

 そんなトッププレイヤーと肩を並べる星光騎士団の先輩よ……。

 エイランは今回の日本チーム『蒼雷ジャパン』のリーダー。

 登壇してきた青いユニフォームの黒髪黒目の青年が、リアルな『エイラン』の姿。

 若い。そしてイケメンだ。

 これは人気が高いのも頷ける。

 

「え!? あれがエイランさんのリアルの姿なの!? イケメンじゃない!? イケメンじゃない!?」

「イケメンでゲーム成績がどのジャンルも飛び抜けているらしいですよ。今回の日本代表チームのリーダーもあの人ですし。日本代表チームリーダーなのに、俺たちとも気軽に遊んでくれて気さくでいい人ですよね」

「マジイケメンじゃん!? ドストライクなんだけど!? えええ、どうしよう!?」

「え?」



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