表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソング・バッファー・オンライン~新人アイドルの日常~  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』
6章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

496/553

リハーサルをしたり休んだり


 しかし、もっとも重要なのはホテル!

 世界大会が行われる会場周辺のホテルは軒並み満室だろう。

 今から宿泊施設を予約することができるかは運次第。

 淳と宇月が恐る恐るスマホで『現在地周辺のホテル 空き予約』を検索。

 想像以上の満室の羅列。

 当然だ、世界中から関係者、報道陣、取材陣、選手の家族、熱狂的なファンが押し寄せている。

 高級ホテル以外で、学生が泊まれそうな一番近くのホテルが隣町。

 

「どうする、ナッシー。お金出しあってちょっとお高いホテル取る? 手持ち僕絶対足りない」

「俺も結構ギリギリですね。でも正直宿泊費で飛んで、食費雑費が足りなくなる可能性が……グッズは買えないですね」

「グッズ……!! 忘れてた……! でもグッズ売ってるかな?」

「少なくともBlossom(ブロッサム)は絶対あると思ったんですが」

「アイドルイベントじゃないのですから、アイドルグッズは売ってないのでは?」

 

 周の冷静なツッコミにオタクたちが「「確かに?」」と我に返る。

 なんなら東京ジャポニーズゲームショー及びeスポーツ世界大会のホームページを見れば物販情報がちゃんと掲載してあった。

 それを確認すると、ゲームショーの方では各社の新作ゲーム、本体などが購入可能。

 世界大会の方の物販は、世界中のeスポーツチーム応援グッズが販売される。

 

「え!? 待ってドカてんのグッズあるじゃん! 冷やかしがてら買おうかな。可愛い~」

「本当だ! なんか……若くないですか!? 鏡音くん!」

「絶対中学生時代のだよね!? ヤバァ、どんだけ若い時からプロゲーマーやってんの?」

「え!? 見たい見たい見たいです!」

 

 自分だって子役上がりなのに、中学生の幼い鏡音グッズに前のめりになる柳。

 まだまだ幼さの残る鏡音のグッズ。

 間違いなく東雲学院芸能科入学前。

 おそらく初めて製作されて以来更新されずに販売されているのだろう。

 

「ゲームショーの方は一般人解放が二日目以降なんだね~。なんかやっぱりまだ、円くんが世界的なプロゲーマーのイメージないなぁ。僕の中ではアイドルのイメージしかないんだもーん」

「そうだよね~。でも実際あのレッスン量の他にゲームも練習してたんだからあの子のスケジュール管理能力結構ヤバいよね。その分部屋は終わっているけれど」

 

 確かに、と鏡音の部屋を見たことのある面々は苦笑い。

 なんにせよもう一度台本を読んで明日のリハーサルに備えて本日は解散。

 長距離移動で疲労をしっかりとって、前夜祭は世界に恥じない最高のパフォーマンスをしなければ。

 

 ◇◆◇◆◇

 

 翌日の前夜祭リハーサルは問題なく終了……とはいかず、広いステージと複数のカメラ、360度の観客席にすべてよく見えるようパフォーマンスを修正。

 と言ってもステージのことは事前に聞いていたので、すぐに修正案を何パターンか試してプロデューサーが納得するものを試行錯誤。

 やはりこういう調整があるのでリハーサルは大事である。

 午前に大まかな修正と流れの確認のあと、午後にさらに細かな修正と流れをスムーズになるかの検証。

 それを数回繰り返していると、あっという間に夜七時。

 明日は開会式のリハーサルなので、前夜祭メンバーは各自の練習と自由行動。

 もちろん、学生らしく……アイドルらしい自由行動を求められるけれど。

 前夜祭出演者は展示品に触れなければゲームショーの方を見て回ることが許されているので、ゲーム好きな淳はさっそく行ってみることにした。

 魁星は日頃の疲れもあってか爆睡中。

 柳は次のドラマオーディション用のセリフ暗記。

 後藤は衣装の最終確認とリハーサル時に気になった部分の修繕。

 宇月と周は受験勉強。

 淳もどうですか、と声をかけられたが「ゲームショーの展示品見たらやろうかな」という感じでまさかの全員部屋に引きこもり。

 いや、なにもおかしいことなどない。

 自由行動の日なのだから、好きなように過ごせばいいのだ。

 なので淳もまずは新作ゲームについて見に行く。

 撮影禁止、お手を触れないでください、もしっかり守って展示を見て回る。

 まだ展示の間に会っていないブースもあるが、ほとんどのブースでせかせかとゲーム会社の営業が駆け回ってディスプレイを整えているところ。

 

(あ、○天堂のブース。おお、あのゲームの新作が出るんだ? あ、アレもやったことある。え!? あれってパソコンでしか遊べなかったゲーム! へえ~~~、あの機種に移植されるの!? うわ、絶対買う~~~!)

 

 と、顔に出さないようにしながらウキウキ見て回っていると「あれ、淳くん」と声をかけられた。

 顔を上げると、数個先のブースに松田がキョトンとして立っている。

 

「梅春さ――」

「し、しーーーーーーーーーっ!!」

「え? あ……すみません、“春樹さん”」

 

 ものすごい勢いで口を塞がれる。

 “梅春”はVtuber名だ。

 普段は――Frenzy(フレンジー)で行動する時はVtuber名、松竹梅春(しょうちくうめはる)

 淳も石動も普段そっちの名前で呼んでいる。

 そちらの名前で呼び慣れておかないと、本名バレしてしまうかもしれないので。

 しかし、なぜ松田がここに?

 ゲームショーの営業ブースに開発部の松田がいることにものすごい違和感。

 

「春樹さんは、え? まさかゲームショーの営業ブースに……? 開発って言ってませんでした?」

「そ、そうだけど……普通に興味があったから見学に行ってもいいですかって聞いたらいいよって言ってもらえて」

「えー、よかったですね。見て回るだけでもやっぱり新作や新技術を見られるの、面白いですもんね」

「そうそう、そうなんだよ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【宣伝】
『不遇王子が冷酷復讐者の手を掴むまで』(BL、電子書籍)
5cl9kxv8hyj9brwwgc1lm2bv6p53_zyp_m8_ve_81rb.jpg
詳しくはヴィオラ文庫HPまで

『国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!』アンダルシュノベルズ様より発売中!
g8xe22irf6aa55l2h5r0gd492845_cp2_ku_ur_l5yq.jpg
詳しくはホームページへ。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ