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ソング・バッファー・オンライン~新人アイドルの日常~  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』
6章

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高級ホテル


 十月十四日、ホテル入り。

 朝からスタッフに前夜祭ステージの流れを確認。

 さすがに国際大会のリハーサル。

 淳たちが経験したことのないほどの、しっかりとしたリハーサルであった。

 明日は開会式のリハーサルらしく、前夜祭に参加するアイドルも見学OK。

 ただし、撮影したり写真などをSNSで投稿するのは絶対に不可。

 情報漏洩として訴えられる可能性もある、と重々に注意された。

 まあ、当然だろう。

 せっかくの国際大会なのだ。

 スポンサーの看板の数もテレビでしか見たことのない数。

 日本企業だけでなく、海外企業の看板も多い。

 なんというか、会場を見て改めて「これ世界規模の大会なんだ」と実感した。

 会場は有名な都内で一番大きな多目的ドーム。

 各会場でゲームジャンルごとの世界大会が行われ、一部の会場では有名作品の新作のエキシビジョンマッチが行われる。

 午前はVR格闘ゲーム。午後はVRFPS。

 鏡音は格闘ゲームの方に出るが、初日のエキシビジョンマッチ午後の部のVRFPSゲームのプレイヤーでもあるそうな。

 元々FPSプレイヤーとはいえ、格ゲーとアイドルに加えてそちらの練習もしていたらしいのが恐ろしい。

 そして、やはりリハーサルに来るのは超有名アイドル、シンガーソングライター、パフォーマーの面々。

 想像以上に錚々たる名前が並び、体が縮こまりそうなところを背筋を伸ばす。

 こんな時こそ背を伸ばせ、というのは神野栄治の言。

 それに、どうせ星光騎士団の出番はオープニング後の最初の一曲。

 歌う曲も星光騎士団が初代から歌い繋いできた、伝統のファーストソング『Starlight』。

 現代風にアレンジされている、淳が星光騎士団団長の――17代目(・・・・)専用『Starlight』だ。

 そして――。

 

「ホテルがすごい」

「これ、学院側が取ってくれたホテルなんだよね? えええ? 今までこんなに豪華なホテルだったことあるぅ? ないよね? ええー? やばぁ……」

「な、なんだか緊張してきたんですけどおおおおっ」

「さすがにこのレベルのホテルは僕も初めてかもぉ〜。ごたちゃーーーん」

「なぁにー?」

 

 ホテルのロビーに入った瞬間から、広さと装飾品の豪華さに圧倒される学生たち。

 その中でもこういう一流ホテルに慣れている後藤。

「ホテルの泊まり方は一流も二流も三流も同じだよ」とか言いながら仕方なさそうにSDを抱きながらカウンターで対応の仕方を教えてくれる。

 教えてくれると言っても、二人のホテルマンがスッと現れて「お荷物をお預かりします」「お部屋にご案内いたします」「こちらがお部屋になります」「お食事はお部屋にお持ちしますか? それともレストランにいらっしゃいますか?」「お食事代も宿泊費に含まれておりますので、レストランではご自由にお食事くださって大丈夫です」「レストランはビュッフェスタイルとなっておりますので」等々、丁寧な説明。

 ご飯代、宿泊費に含まれている!?

 そんなのも初めてなのだが!?

 

「屋上には室内プールもございます。水着なども販売、レンタルを行っておりますのでご自由にご利用ください」

「屋上にプール……!!」

「ありがとうございます。休ませていただきます」

 

 スッと後藤が手の平を差し出すと、ホテルマンは頭を下げて部屋から去っていく。

 淳たちにあてがわれた部屋は個室。

 普段のホテルはワンルームくらいの広さしかないのに、本日の個室は十畳ほどの広さ。

 アメニティも充実しているだけでなく、風呂トイレは別。

 さらに扉の横にはルームサービスのメニュー表。

 ネットは使い放題。

 無料Wi-Fiは当然のように完備。

 普段の、二段階から三段階上のランクの部屋。


「逆にプレッシャーが増してきたんですけど……」

「わ、わかるぅ」

「ホテルの部屋が俺の部屋より広い……」

「どうしてみんな俺の部屋に集まるの……!?」


 一旦全員がそれぞれのカードキーの記載された個室に行って荷物を置いてきたにも関わらず、なぜか全員淳の部屋にやってきて部屋の感想を呟いていく。

 特にガタガタ震えているのは柳と、絶望顔の魁星は床に座り込んでいる。

 ソファーがあるのだからソファーに座ればいいのに。


「まあまあ。とりあえず明日のリハーサルについて話そうじゃん? 今日聞いた流れ的に僕らの出番は一曲で終わりだけど――」

「そうですね……! えっと、一応いただいている台本なのですが――」


 と、全員で台本の確認。

 淳たちに配られている台本は前夜祭だけのものなので、開会式はまた別に豪華なイベント盛りだくさん。

 流れの確認をしているだけでもリハーサルの役に立つ。

 そして、それはそれとして――。


「見たい……! 開会式のBlossom(ブロッサム)のパフォーマンスが!」

「わかる……! ゲーム好きで有名な蔵梨柚子様のトークショーもあるなんて聞いてない……!」

「オタク出てるな」

「蔵梨先輩もトークショーで参加するんだね……」


 台本に書かれている開会式後のスケジュール読み上げを見つけて、床に這いつくばって悶絶。

 完全にただのオタクと化している。

 それも無理はない。

 なぜなら開会式にはBlossom(ブロッサム)が出るし、それ以降にトークショーがある。

 それなのに星光騎士団の出番は前夜祭。

 ホテルももちろん開会式の日の朝まで。

 出演が終わったらあとは帰るだけ。

 残るのならば私費。



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