表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソング・バッファー・オンライン~新人アイドルの日常~  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』
6章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

493/553

VSロックエレメンタル


「ここが『岩戸』、ですか?」

「そう。高レベルダンジョン『岩戸』に出てくる魔物は岩系のものが多く、攻防共に優れHPも高い。その代わり魔法は撃ってこないし、魔法防御が低い敵が多い。っだし、ダンジョン奥地の洞窟に入るとHP・防御・魔法防御が桁違いに高い敵が増えて歌バフ必須になる。ぶっちゃけ新大陸の魔物よりも硬さは上だね」

「「「え……ええ……」」」


 全員ドン引きである。

 しかし、おそらくこの『岩戸』新大陸β版という立ち位置のダンジョン。

 なので新大陸に通用するプレイヤーは最低限、このダンジョンをクリアしなければ通用しない。

 ひとまず全員でダンジョンの中を進むことにする。

 青白い光る苔がありとあらゆる場所に生えており、ダンジョンの中を照らしているような神秘的に見える場所。

 小鳥の鳴き声がするような、一見穏やかな渓谷だが『岩戸』経験者の皆さんの話では大きな岩があったらそれはだいたい魔物らしい。

 突然立ち上がって襲いかかってくるそうだ。

 なにそれ怖い。

 しかも本当に大きい上、人間の走力で逃げられるものでもないらしく、追いかけてこられたら戦闘は不可避。

 ほぼ強制戦闘となる。

 レベリングが目的なのだから、出てきてもらった方がいいのはわかるが正直新大陸より強い敵と戦うのはしんどそうだ。


「硬い敵って効率悪いから嫌いなんだよねー」

「わかる」

「だるいよねぇ」

「武器、槍に替えておこう。貫通攻撃は効果絶大だからオススメ」

「貫通攻撃が効くんですか?」

「岩系の魔物は一点集中攻撃が基本ですよ」


 プロゲーマーどもとそれについていけるレベルのゲーマーの言っていることだ、説得力が違う。

 淳としてはバフに注力するつもりだったから、貫通系のバフをショートカット選択しておくことにした。


「でもさー、岩だらけでよくわからないよねぇー。どれが魔物なの――」


 と、鶉が笑いながら頭の後ろで腕を組んだ瞬間、その後ろの岩壁の一部がドォッという音を立てて岩の巨人になった。

 ロックエレメンタルという、岩の巨人。

 出現した瞬間、両腕を拳にして振り上げる。

 殺意が高すぎないだろうか?

 こちらが認識した瞬間には、その硬い両射手が振り下ろされる。


「歌バフよろしく」

「は、はい!」


 装備を槍に替えていたエイランが振り下ろされた腕の隙間から、ロックエレメンタルの顔面に向かってジャンプした。

 目の前に“獲物(プレイヤー)”が現れたらロックエレメンタルも、どうしたってそちらにヘイトが向かう。


『オォォゥゥォォ!』

「歌バフよろしく!」

「はい! 〜〜〜♪」


 エルミーが淳の歌バフの確認をした瞬間、大斧の持ち手を組み替える。

 真横に構えて、エイランが額に槍を突き立てた瞬間、左足を軸に斧を体全体で回転させて武器スキルを発動させた。

 こちらに両腕を下そうとしていたロックエレメンタルが額に食い込んだ槍を抜いてエイランを投げ飛ばそうとする。

 その前に――。


「〜〜〜〜♪ おっしゃ行くぞごるぁ! 大斧武器スキル 大回転斬り!」


 必殺技(ウルト)ではなく通常技。

 確かにボス戦でもないのに必殺技(ウルト)を使う必要はない。

 それでもレベル100越えのプロレベルプレイヤーの、攻撃力上乗せ貫通バフ増しの一撃は――。


『ルォゥゥゥウオオオオ!?』


 足二本、真っ直ぐに“カット”された。

 エイランが槍を軸にして回転して頭から離れる。

 ロックエレメンタルが足という支えを失って前のめりに倒れた。

 ものすごい音。

 上にジャンプしていたエイランが、槍を倒れたロックエレメンタルに向ける。


「槍武器スキル 突貫落雷槍!」

『ウォオオウウウヴヴヴ!』


 エイランの槍スキルが発動。

 同じく攻撃力上昇と貫通バフで強化されたエイランの、強烈な一撃。

 頭を貫いた瞬間、ロックエレメンタルの頭上のHPが一気にゼロに。

 なんでぇ、と情けのない声が柳から上がる。


「防御力が高い敵の中には一撃必殺のウィークポイントがあるんだよ。雑魚にボス戦並みに時間がかかると非効率だからね」

「新大陸の中のボスの中にもウィークポイントがある敵がいるよねー。体力多すぎてウィークポイントなしじゃやってらんないとも言うけど」

「それな」

「ヤバいですよね、火山のダンジョンボス」

「ヤバいヤバい。三層ガードケージ五個はマジヤバい。その上防御力まで高いとバフ何掛けしても時間かかるって。レイドボスかよって」

「あれでもレイド戦を重ねて検証した結果らしいなら悔しいよね」


 新大陸経験者たちの新大陸話、どれもえげつない。

 その割にたった二人でレベル120の――いわく雑魚――ロックエレメンタルを倒しているのがさすがである。

 そのままプロゲーマーたちと彼らと肩を並べるエルミーにキャリーしてもらいながら、ダンジョンを進む。

 こんなにもスムーズなのは、ゲーマーたちの実力ゆえ。

 本当に頼りになる。


「さーてと、そろそろダンジョンボスのいるところだと思うけどー……」

「え。クールタイム!?」

「え!?」

「クールタイムとか今までなかったんじゃない!?」


 ダンジョンボスの巣の前に『侵入禁止』『クールタイム中』の文字とカウントダウン。

 しかもクールタイムは一時間三十分。

 アップデートでしょうか、と淳がしお知らせ掲示板でアップデート情報が掲載されていた。

『いくつかのダンジョンボスのステータス調整のため、一部ダンジョンボスの出現にクールタイムが設けられます』らしい。


「とのことです」

「よ、よりにもよって!?」


 お知らせは見ないとこうなる。

 こまめに確認しましょう、お知らせ。

 しかもちゃんと対象ダンジョンの名前も羅列されていた。

 気づかなかった。


「じゃあなに、一回倒したらまた一時間半とか……あたや、前に倒したパーティーとすれ違ってないし、もしかしなくても二時間とか三時間の可能性とかあるってこと!? うっわ!」

「これは……レベリングダメそうだね」

「雑魚狩りじゃあ時間かかるもんねー」


 とか言っているプロゲーマーたち。

 エイランが「ちなみにステータス調整って?」と聞かれたので、改めて掲示板を読み直す。


「HPアップ、および経験値の2%増加だそうです」

「グッ……」

「……後日改めて来ようか」

「そうですね。経験値増加は美味いです」


 撤収することにした。

 まあゲームやってるとこんなこともある。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【宣伝】
『不遇王子が冷酷復讐者の手を掴むまで』(BL、電子書籍)
5cl9kxv8hyj9brwwgc1lm2bv6p53_zyp_m8_ve_81rb.jpg
詳しくはヴィオラ文庫HPまで

『国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!』アンダルシュノベルズ様より発売中!
g8xe22irf6aa55l2h5r0gd492845_cp2_ku_ur_l5yq.jpg
詳しくはホームページへ。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ