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ソング・バッファー・オンライン~新人アイドルの日常~  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』
6章

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邪悪なるネカマ



「おいこら柚子。先輩たちを無視してネカマ楽しんでるなんていいご身分になったものだよね?」

「あ、ごめんなさーい♡ 寂しかったんですかぁ? もー、栄治先輩ってばかっわいぃ〜♡」

「殺しても問題ないよね?」

「まあ、ゲームの中なので問題はないかな、と」

「嘘嘘冗談だから! まあ、喧嘩売られてもゲーム苦手な栄治先輩とレベルカンスト目前のあたしならあたしの方が勝つと思うけどねぇー♪」

「じゃあリアルでお説教してあげるね? 楽しみにしててね?」

「それは嫌かなあーーーー!」


 物騒な方向に仲良しである。

 肩を落とした神野が「まあ、こいつが一緒なら大丈夫でしょ? 俺帰るね」と疲れたように言って二階に向かって歩き出す。


「え? 栄治先輩、リス地ここに設定してあるんですかー?」

「星光騎士団の拠点なんでしょ? いいよね? 別に」

「はい! なにも問題ありません! ご自由にお使いください!」

「ほらね」

「い、今の星光騎士団リーダーがいいって言うならいいんだろうけれどさあ〜……時々横暴がすぎる時あるよね〜」

「いいえ! 光栄なことです!」

「そ、そう〜」

「ではでは、次にお会いするのはいつになるかわかりませんが、後輩たちの活躍を楽しみにしておりますぞ」

「ありがとうございます!」


 神野栄治、鶴城一晴、ログアウト。

 少し寂しいが仕方ない。

 気を取り直して参入してきた蔵梨柚子ことエルミーを振り返ると、鏡音を後ろから抱きしめてご満悦。

 

「マドカくん、ハイチーズ」

「はあ」

 

 力なくピースする鏡音と、ぶりっこ全開で写真を撮ったエルミーはにっこにっこのままなにやらメッセージを誰かに送る。

 送った直後、ニチャア……とだいぶ危ない笑顔を浮かべていたので多分相手はエイランだろう。

 というかいくらネカマ中とはいえ元アイドルで現人気声優がしていい表情ではない。

 

「ちなみに『岩戸』は誰か行くの?」

「一応全員レベリングしておきたいので、現星光騎士団全員で行く予定です。あとは鏡音くんのゲームチームの後輩の(うずら)ナツメくんが合流予定でしょうか?」

「あー、ナツメくんね。あの子のアバター可愛くないんだよなあー。リアルでは可愛いのに〜」

 

 謎の感想だが、思い返すと確かに可愛いとは褒め難い。

 オッサン寄りのゴリマッチョ青年なので、カワイイモノが好きなネカマエルミーには不評のようだ。


「あ、エイランから爆速連絡きた。草。岩戸来るってさ」

「え! エイラン先輩来るんですか!?」


 普通に嬉しそうに顔を上げる鏡音。

 鏡音の反応がなにかしらに面白くなかったのか、エルミーの笑顔が感情を失う。

 鏡音、あまり感情を表には出さないのだが、エイランのことは本当に尊敬しているらしい。可愛い。

 

「エイラン、ファーストソングにわざわざ来るみたーい。ちょうどいいしー、全員で『岩戸』にテレポートするかぁー」

「一度行ったことがないと、テレポートはできないんじゃないんですか?」

「えー。新大陸の新アイテム『定点転移陣』っていうやつがあるんだよねー。パーティーを組んだメンバーを全員指定位置に転移させることができるんだよ〜。エイランが十二個くらい持ってたから、あいつに頼めばオッケーっしょ」

「そんな便利なアイテムが?」

「そうそう。新大陸マジすごいよぉー。なんかFB(フィードバック)が反映されまくっててマジ別ゲーか? ってぐらい便利アイテム満載。ドン引きする勢いだよぉ。かなり満足度(二重丸)って感じ? 早くみんなレベル100になって新大陸おいでー。いや、やっぱ来なくていいや。プレイヤー増えるとうまうまタイムが終わっちゃう」

「ええ……」


 しかし話を聞けば聞くほど新大陸はゲームとしての完成度が高いらしい。

 淳はあと12ほどレベルが足りないので、今日、できるだけレベル100に近づけたいと思う。

 エルミーが「あ、お前ら目立つからこのまま拠点で待ってなー。エルミーちゃんがエイランを連れてくるからさ〜」と言って拠点から出かけていく。

 数分後、純白の和鎧を纏った白髪金眼の美青年アバターと金髪褐色の肌のゴリマッチョアバターを連れたエルミーが帰ってきた。

 

「ちーっす! 鏡音先輩、星光騎士団の先輩! お疲れーっす! もー! 『岩戸』攻略楽しみすぎて朝からログインしてたー!」

「普通に新大陸行ってたんじゃないの?」

「はい!」

 

 ウッキウッキとスキップするゴリマッチョオッサンアバター。

 それを呆れたような目で見る白髪青年のアバター。

 ゴリマッチョオッサンアバターはもちろん昨日一緒に冒険した鶉。

 なんか昨日よりゴリマッチョになっている。

 絶対アバターをいじっただろう。

 白髪美青年アバター、エイランもだいぶ装備が変わっている。

 

「エイラン先輩、装備めちゃくちゃ強くなってる!」

「うん。新大陸でかなりいい素材が手に入るようになったし、交換武器が予想以上に強くてスキルツリー育て甲斐があるよ。多分新大陸に対応している職人がまだいないせいだろうね。レベル85以上の職人はいないって聞いたことあるし」

「新大陸に入れる職人がいないってことなんですね」

「そう。だから新大陸は交換武器しか使えないんだよね」

 

 教えてくれるエイラン。

 交換武器、防具、それらをまとめて交換武具とも呼ぶ。

 それらは初期配布されている武具のスキルツリーを解放していくと、NPC武器屋で上位武器に交換してもらえる。

 途中絶対に職人武器に乗り換えてしまうが、初期武具をスキルツリー解放し続けて育てていくと、新大陸ではレベリングが追いつかなくなった職人武器よりも強力になるというわけだ。



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