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ソング・バッファー・オンライン~新人アイドルの日常~  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』
6章

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『SBO歌姫&歌い手グランプリ』


「第一回、『SBO歌姫&歌い手グランプリ』~! どうも、めっちゃ久しぶりのログイン、『Blossom(ブロッサム)』所属神野栄治(こうのえいじ)で~す」

「同じく『Blossom(ブロッサム)』所属、鶴城一晴(つるぎいっせい)ですぞ」

「思ったよりも人が多くてマジかってなってるけれど参加者が多いのはいいことだよね~。ってことで本日の司会は俺だよね。改めてルールの説明をするよ~」

 

 まず、『SBO歌姫&歌い手グランプリ』の優勝条件は、いかに多く、高レベルのバフを発生させられるかどうかで決まる。

 

 男性女性でトーナメントが分かれており、チャンスは一人一回。

 場所は始まりの町ファーストソングのステージ。

 追加付与までして、さらに精密採点で細かく採点。

 サーバー全体に付与されたバフのレベル、追加付与のレベル、精密採点の点数で算出されより高いバフと点数の人間が勝ち残っていく、いわゆる勝ち抜きスタイル。

 午前は女性の部、午後は男性の部。

 午前に“歌姫”が決まり、午後に“歌い手”が決まる。

 ちなみにアバターの性別が優先されて、たとえ歌声が男でもアバターが女性ならオッケー。

 中には立派なネカマが参入していたが、アバターが女性ならオッケーである。

 もちろん、中には声も作って出場していたネカマもいたかもしれないけれど。

 午前は東雲学院芸能科女子の方から数人が出場しており、そんな彼女らを抜いて『マチラ』という一般人プレイヤーが優勝して初代歌姫となった。

 午後は男性の部。

 実力派の男性アイドルが続々と参戦。

 その中でもやはり元々の歌唱力がが高い淳と千景、周が勝ち進む。

 一応東雲学院のアイドルたちは三回戦まで進んでどんどん脱落していく。

 最終戦は淳VS千景となった。

 

「〜〜〜♪」

 

 先攻、御上千景。

 一年生の時から歌唱力には定評があった千景は最後まで非常に美しい歌声。

 付与されたバフは【攻撃力上昇LV6】【追加付与5】。

 淳は昨日検証した通り和風の曲を歌って【アイテムドロップ率LV6】【追加付与6】を叩き出す。

 この時点で淳が第一回『SBO歌姫&歌い手グランプリ』の歌姫と歌い手が決定した。

 特にトラブルもなく表彰も終わって、スムーズに閉会。

 

「ジーくん、お久しぶり。ちょっお喋りしない?」

「ひえ! え、ええええっ……!」

 

 じゃあ帰ろうかな、知名度も多少は上がったと思うし。

 なんて呑気に思いながら、星光騎士団のメンバーとともにファーストソングにある星光騎士団の拠点に戻ろうとした時、道端で『エイナ』と『ハルナ』に声をかけられる。

 なにもごまかしようのない。

 エイナは神野栄治の世を忍ぶ仮初アバター。

 ハルナは鶴城一晴の世を忍ぶ仮初アバターである。

 

「ははははい! どうぞこちらへ! お、お茶をすぐにご用意しますのでしばらくお待ちください!」

「へー、執事アバターも設置してあるんだ? 高いのによく設置したよね?」

「それはあの、綾城先輩が……」

「そ、そうなんですぅ。珀先輩がほとんど全部最初にオプションでつけてくれててぇ!」

「え? あの、ここ、星光騎士団の拠点ですよ? 勝手に一般のプレイヤーを入れちゃダメなんじゃないんですか? ……もがっ!?」

 

 宇月と淳がそれはそれは丁寧にお迎えすると、先に拠点に戻っていた鏡音と柳が変な顔をして入って来た二人を見る。

 あれ、この二人、エイナとハルナの正体を知らなかったっけ?

 慌てて周が「このお二人はBlossom(ブロッサム)の神野栄治先輩と鶴城一晴先輩ですよ。十四代目の星光騎士団リーダーと副リーダーです」と耳打ちする。

 つまり、圧倒的先輩である。

 先程ステージで見事に司会をこなした人だと知った鏡音と柳は全身を震わせて慌てて道を開いた。

 実に賢い。

 

「あ、あ、あ、す、すみません」

「いいですぞ。どうぞお気になさらず。柳くんとは初対面でもありせんしね」

「は、は、はい! 鶴城先輩、お久しぶりです!」

「ねー、お茶はアイスティーがいい〜」

「はい! すぐに!」

 

 ぺこぺこしながら執事にアイスティーを注文。

 栄治はストレートティー。

 一晴はミルクとシロップを追加で。

 席に座り、ひと段落つくと淳がど緊張のまま一息吸う。

 このお二人がログインするのは結構レア。

 フルフェイスマスク型VR機発売当初はともかく、最近では本当にあまりレベリングにもこなくなっていた二人がすぐログアウトせずにここに来た理由。

 

「ええと、あの……それで……お、お話、とは?」

 

 戦々恐々として聞いてみると、案の定「社長がね」との一言から始まった。

 あの社長案件。

 絶対ろくなことではない。

 

「西雲学園の芸能科はDancing(ダンシング) Link(リンク) Production(プロダクション)が手を出しているんだってさぁ。仕事の取り合いになると思うから、学生セミプロは来年から渋いかもね、だって」

「仕事の取り合い、ですか?」

「そう。俺がいた時代はガチの地域密着型だったんだけれど、多分来年からそれに近い感じになるんじゃないかなって。うちの社長、東雲芸能科の運営理事に参加しているんだけれど、仕事振る系には触ってないんだって。だから多分俺たちがいた頃並みに地域を意識した仕事の受け方をした方がいいんじゃないかな?まあ、これは先輩からの助言みたいな感じだけれど」

「ありがとうございます。参考にさせていただきます」


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