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ソング・バッファー・オンライン~新人アイドルの日常~  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』
6章

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色々あるようで


「苳茉を星光騎士団(うち)に? ……う、うーん、まあいいんじゃない? 本人とジュンジュンがいいんなら?」

「自分も特に反対はしませんね。本人次第ではないですか?」

「うーん、そっか。一応柳くんたちにも聞いておくけれど、やっぱり本人次第だよねぇ」


 苳茉はB組。

 連絡先も一応知っているので、自分たちで苳茉の意見を聞くのもできなくもない。

 が、ここはSand(サンド)の先輩たちを立てる必要があるだろう。

 先輩たちから苳茉がそれを聞いて、どう思うのか。

 こちらは受け入れ体制だけ整えておけばいい。


「それじゃあ、俺今日も事務所の方に行かないといけないから」

「おっけー。お疲れー」

「魁星も春日芸能事務所所属になったんですよね? 一緒には行かないのですか? プログループのリーダー予定と聞きましたが?」

「あ、えーーーと……うちはちょっとぉ……うんー」

「はあ? なんですか、その曖昧な態度は。守秘義務があるのならそう答えてくださっていいですけど?」

「い、いやぁ? そ、そうじゃなくて」


 ものすごく濁す魁星。

 エアリムだろうなぁ、と思い浮かべるのは銀髪緑眼のモデル。

 プライドが高くてなかなかの自由人。

 彼のことがあって色々と進んでいないのだろう。


「守秘義務関係ないのですか?」

「いや、守秘義務も関係あるんだけどぉ」

「じゃあ詳しくは聞きませんけど」

「なにか困ったことがあるのなら相談してね? 俺なら同じ事務所だし、俺にも話せない相談なら社長やマネさんにするといいし」

「う、うん……マネさんがね」

「んん?」


 そういえば魁星のところのマネさんは槇ではない。

 確か多国語言語を操る牛島紅葉(うしじまめいぷる)さん――恥ずかしいので『もみじ』と呼んでくださいと初対面で土下座された――がマネージャー兼プロデューサー。

 名前がキラキラで就職に苦しみ、ようやく就職したら名前で苦労して即座に海外へ語学留学。

 様々な国を巡った結果「キラキラネームはクソである」という結論を携えて帰国。

 語学だけはしっかり習得してくるが、日本のキラキラネームは海外でも笑いものになったらしい。

 可哀想。

 見かねて社長が「改名しては?」と提案したが「名づけ以外は、いい親なんです。名づけ以外は……!」とのこと。

 マザコンの疑惑が濃厚。

 いや、親を大切に思うことは悪いことではないけれど。


「マネさんと仲が悪いの?」

「そんなことないよ。メンバーがマネさんに迫っててどうしようってなっているっていうか」

「は!? そんなことになっているの!?」

「うん」


 それはそれで大変なことになっている。

 ただすでに社長に相談済み。

 それなら、いいのか?

 しかしメンバーがマネージャーに関係を迫っている?

 魁星以外のあの二人となると……そういうことをするのは……。


(エアリムさん? 栄治先輩のこと好きだったんじゃ……。いや、栄治先輩相手への感情はライバルとか憧れに近いものを感じた。マネージャーさんには恋愛感情? 直接見てないからなんとも言えないけど。……でもさすが外国の人だなぁ。そういうのまでフルオープンというかなんというか……)


 ちょっと想像がつかない。

 魁星のところのマネージャーさんは三十代も半ば。

 キラキラネームのせいで浮いた話は聞かないが、男性相手がOKという人でもなかった気がする。

 それでなくとも大変そうだと思っていたが、想像以上に大変そうだ。


「社長に相談済みならば、我々はなにもできなさそうですね」

「そうだね。でも、まあ、愚痴なら聞くからね?」

「うん……ありがとう……」

「それはそれとして魁星は今から学力向上委員会の中間テスト勉強をしましょうか」

「お、鬼……!」


 スッと教科書を取り出す周。

 魁星、本日の放課後は学力向上委員会の強制命令にて中間テストを行う。

 他の成績底辺者も集められるので逃げられない。

 万が一逃げようものなら、捕まってテストを受けるまで活動停止を言い渡される。

 一人逃げたら、グループ自体に迷惑がかかるのだ。

 なので周の目はガチ。

 逃げることは絶対に許さないし、一年生の加入時……『地獄の洗礼』の時の宇月より怖い。

 一瞬で半泣きになる魁星。

 だが活動制限は嫌なので、おとなしく周の授業を受ける。

 それを見ながら事務所に向かう。

 正式なデビュー日決定を伝えなければいけないので。

 また、初ライブも大晦日に決定。

 元々その予定であるという話は決まっていたが、正式決定と場所、時間、出演も決定した。

 いや、場所と出演は元々押さえられていたが、情報の開示が正式に決定したことで出演情報の開示についても色々打ち合わせしなければならなくなったのだ。

 特にFrenzy(フレンジー)のメンバーは一週間ごとに情報公開される。

 冬の陣が終わるまで、どこからどのあたりまで情報をそれぞれ出していいのか。

 間違えると大変だから、しっかりとすり合わせる必要があるのだ。


(――梅春さんと話そうかな)


 不安要素はそこだけな気がする。

 綾城と同じように。

 だが、自分たちなりの姿で世間に自分たちを表現していく。

 配信もたまに見るが、不安そうな様子が伺えた。

 メンタルケアも、リーダーの務めだろう。

 事務所に行ってみると石動がすでに来ていた。


「あれ? 梅春さんは……」

「別スタジオで収録中。なんか決まったん?」

「はい。揃ったら話しますね」



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