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ソング・バッファー・オンライン~新人アイドルの日常~  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』
6章

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二年目夏の陣、二日目(4)


「本当に大丈夫なのですか?」

「うん。心配してもらってありがたいけれど、最後までやるよ。大丈夫。手足の骨が折れたりしたわけではないし、やらせてほしいな」

「………………淳がそう言うのなら……自分からはなにも言いませんけれど」

「うん。あ、魁星はともかく鏡音くんと響くんには内緒にしてほしいかも。響くんは特に五月のあの件もあるから、動揺してパフォーマンスに影響が出たら困る。いくら宇月先輩を“演じている”としても、多分動揺しちゃうと思うから」

 

 ええ、と周は困惑。

 宇月と後藤は「確かに」と賛同してくれた。

 その代わり、夏の陣が終わったら今回の件をちゃんと話す、と約束した。

 しかし、魁星は二年生なので伝えても大丈夫だろう。

 

「魁星にも話さない方がいいと思います。結構、その……激情的なところがありますからね」

「あとで言うって言っても納得しなさそうだから、夏の陣が終わったら話したいことがある、って一言言っておくのはどう?」

「あ、あのさぁ……ごたちゃん、それはそれで別な誤解を生みかねないよぉ。僕それははんたーい。僕の方から魁星には話があるからって言っておくよ。ナッシーはこの件、これ以降は触れなくていい。犯人についても凛咲先生にお任せしよう。はい、今日はこの件もう終わり!」

「は、はい」

 

 後藤と淳が「誤解を生む……?」と首を傾げているが、周が目を閉じて天井を仰ぐ。

 宇月の言う通り、この件はひとまず終わり、ということにしておこう。

 モニターに目を向けると、花鳥風月が敗退した瞬間だった。

 さすがに初出場の花鳥風月と、プロのアイドルグループではあと一つ届かなかったのだろう。

 宇月と「まあ、初出場ならこんなものかなぁ。でも、二日目まで進んだから十分な戦果じゃない?」との評。

 確かに。

 星光騎士団が初めて出場した時は初日敗退。

 二年目で二日目、三年目で最終日まで進んだという。

 神野栄治と鶴城一晴の時代でそれなのだ。

 そう考えると、初出場で二日目まできた花鳥風月は十分すごい。

 

「次は魔王軍ですね」

「魔王軍はちょっと苦戦気味だねぇ。その代わり勇士隊は『いいね!』の数Blossom(ブロッサム)に迫る勢いだけど。っていうか、マジ勢いよすぎない? 今年の勇士隊。星光騎士団(うち)よりも『いいね!』が多いのムカつくんだけど。生意気!」

「曲、ほんとよかったですもんね〜! 盛り上がったし、二年生たちも顔がいいし」

「まぁね。認めたくないけど蓮名と苗村も顔はいいもんね。認めたくないけど。認めたくないけど!」

 

 どんだけ認めたくないのだ、宇月。

 

「魔王軍も頑張ってほしいですね」

「クオー、なんか飲み物買ってきてえ」

「は、はい!」

 

 と、お金を渡して周を部屋から追い出す宇月。

 淳の頰の怪我を「もう一度見せて」と確認し直して、コンシーラーを塗り、ファンデーションを塗る。

 絆創膏を貼っているのは近づけば間違いなくわかるが、遠目からならまずわからない。

 

「配信ならバレないけど、地上波はバレそう〜」

「画質年々上がっていますものね」

「あ、いいこと考えた。ちょっと待ってね」

「「え?」」

 

 はあー、とがっくりしている宇月を見て、後藤が紙袋からなにやら小物を取り出す。

 インカムの左頬の目元のあたりにその星の形の小物に大きめなリボンをつけて、ドヤ顔で見せてきた。

 

「これで隠れるんじゃない? これを全員分につければ、全員の装飾品だと思ってもらえると思う」

「ごたちゃんてんさーーーい!」

「すごい! 後藤先輩、いいんですか? あ、ありがとうございます!」

「すぐに全員分作っちゃうね」

 

 さすが服飾部部長。

 天才である。

 淳の左耳につけて、位置の調整を行い、周が帰ってくる頃には完成だ。

 周もそれを見て「後藤先輩、天才……」と思わず呟く。

 これなら無事に、今日のパフォーマンスも心置きなくできそうだ。

 

「自分も手伝います、後藤先輩」

「あ、俺も」

「じゃあ各自メンバーのリボンを作ってくれるかな。インカムには自分がつけるから」

「「はい」」

 

 

 

 そうしてトーナメントは進んでいく。

 あっという間に午後の部も進み、魔王軍はかろうじて勝利。

 勇士隊は魔王軍よりも余裕で勝利して三日目に駒を進めた。

 次は星光騎士団の番。

 

『いやっほーーーう! 星光騎士団、可愛い担当、団長の宇月美桜だよぉ〜。みんな〜、星光騎士団へのいいね! は忘れずに押してくれているかなぁ?』

『星光騎士団、副団長の後藤琥太郎でーす! 今日はお喋り解禁! 皆さん、最後まで楽しんでいってくださいねー』

『いえーい! 星光騎士団第一部隊の花房魁星だっせーーーい! 一時まで寝てたから元気いっぱいでーす! ってわけでぇ、最後まで飛ばしていくぜー!』

『こんにちは、会場の皆さん。配信の皆さん。地上波でご覧の皆さん。星光騎士団第一部隊、音無淳です。名前だけでも覚えて帰ってくださいね〜』

『同じく星光騎士団第一部隊の狗央周です。紳士淑女の皆様、水分補給しながら楽しんで観ていってくださいませ』

『こんにゃちはぁ〜! 星光騎士団第二部隊の柳響だっよぉ〜ん♡ 宇月先輩に可愛い自己紹介を考えてもらったから見ててねえ? 風にゆらめく柳みたいに愛の歌声響かせる、柳響! 柳響だよぉ〜!』

『星光騎士団第二部隊の鏡音円です。よろしくお願いします』

 

 各々自己紹介をしてステージに登る。

 すぐに曲が開始して、最後に入ってきた一年生二人が前へ出る。

 

『それでは聞いてくださいー。一年生ズの専用曲! |Meme au-dela du danger《ミーム・オー・デラー・ドゥー・デーンジャー》!』



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