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ソング・バッファー・オンライン~新人アイドルの日常~  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』
6章

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二年目夏の陣、二日目(1)

 

 そんな二日目の朝。

 

「ヤバい……緊張でよく眠れなかった……」

「自分もです」

「ぼ、僕もですぅ…………」

「目バキバキですね」

「鏡音くんは眠れた?」

「………………」

「ゲームやってたね?」

「すみ……ません……」

 

 朝の食堂。

 集まってきた一年、二年生ズ。

 あまりにも淳と鏡音以外の顔が死んでいる。

 宇月の危惧した通りになっていていっそ笑える。

 いや、笑えないのだけれど。

 しかも鏡音に至っては格ゲー練習していた。

 本業がプロゲーマーなのだから無理のないことなのはわかるのだ。

 十月に控えているのは世界大会。

 鏡音の一番得意なゲームがFPSで、大会は格闘ゲーム。

 畑違いながらも選手として選抜された以上、やはり責任も伴う。

 お金をもらってゲームをしているのだから、絶対に手を抜くことはできない。

 日本を背負って出場するのだから、負けるとしてもみっともなく負けるわけにはいかないのだから。

 だが今夜は本当にしっかり体を休めた方がいい。

 でないと去年の魁星や周のようになる。

 最悪、それ以上にグロッキーになりかねない。

 

「おはようー。チャット確認したぁ?」

 

 スマホをパタパタさせながら、後藤とともにジャージ姿の宇月が現れた。

 第一声のチャットとは、星光騎士団チャットルームのこと。

 

「おはようございます。チャットルーム、すみません、まだ見ていません」

「んもー、ちゃんと見てよぉ〜。いや、ナッシーは公式番組で確認してそうだけどねぇ?」

「はい。今日の相手ですよね」

「あ! そういえばまだ見てない! ちょ、ちょっと待ってください……!」

 

 魁星が慌ててスマホを取り出す。

 それに追従するように、周と鏡音と柳もスマホを取り出してチャットルームを開く。

 

「……今日の相手は『リゾッタ』。なんかの造語がグループ名ね。昨日に引き続きDancing(ダンシング) Link(リンク) Production(プロダクション)のアイドルだねぇ」

「去年の十二月にデビューしたまだ新人のアイドルですね。四人組で、Dancing(ダンシング) Link(リンク) Production(プロダクション)では今一番勢いのあるグループ」

Dancing(ダンシング) Link(リンク) Production(プロダクション)って、Walhalla(ヴァルハラ)のやつらと同じ?」

「昨日戦ったapplause(アプローズ)Dancing(ダンシング) Link(リンク) Production(プロダクション)だよお? ダンプロは去年、Blossom(ブロッサム)が優勝したらすぐに動いたみたいで、結構たくさんデビューさせてるんだよねぇ」

 

『リゾッタ』はそのうちの一つ。

 かなりダンスに重きを置いたパフォーマンスが中心。

 知名度は他の直近デビューアイドルに比べてだいぶある方だろうが、星光騎士団の知名度の方が優勢。

 開始前から『いいね』は星光騎士団の方が多い。

 Blossom(ブロッサム)は当然のように他に圧倒的な差をつけて一位。

 昨日も新曲を披露して、すでに今日も新曲を披露してくれるだろうという期待で満ちている。

 去年から新曲連発で、アルバムが二つほど作れそう。

 

「新曲ですか?」

「そうねー。練習してた二曲どっちもぶつけちゃお。ここで負けたくないしねぇ」

「う……緊張してきた……」

「頑張ってねぇ? 最初の一曲は一年生ズの曲にするからぁ?」

「えええっ……」

 

 肩を跳ねさせる鏡音と柳。

 今日、披露するのは二曲。

 一曲目に一年生たち二人の専用曲。

 MCを挟んで二曲目は千景が提供してくれた星光騎士団らしい新曲。

 通例なら二曲を持ってくるところだが、千景のおかげで今年は手札が一曲増えている。

 後藤も「上手い」と太鼓判を押す千景の作詞作曲スキル。

 

「はい、じゃあブサーと一年たちは喉に食事が通るうちにしっかり食べておいてねぇ。今日も午後から出番だからもう一眠りしてもいいけれど、遅刻したら殺す」

「「「は、はい」」」

「自分は昨日同様控室で衣装のチェックしているね」

「自分もお手伝いします」

「ありがとう、狗央ちゃん」

 

 後藤と周は昨日同様先に控室に行く。

 宇月は昨日の件で凛咲先生とともに呼び出されているらしい。

 鏡音は部屋で格ゲー練習と、柳と魁星は部屋で休む。

 

「俺も会場にライブ観に行こうかな……。いや、でも昨日より人増えているだろうしなぁ」

「身バレしたら面倒だから行ってもいいけれど気をつけなよぉ?」

「そうなんですよねぇ……」

 

 昨日の――初日の時点で身バレしそうな人の数。

 最終日に向けて人はどんどん増え続ける。

 しかしやっぱりアイドルのライブは見たい。

 特に本日も午前中の花鳥風月を応援したいじゃないか。

 

「せっかく花鳥風月の推しうちわとサイリウム準備してきたし、花鳥風月だけ観に行きます」

「本当に気をつけておいでよぉ? 昨日もなんか不審者見つかってたとか聞いたしぃ」

「響くんの伯父さんね」

「僕の伯父さんが毎回ご迷惑を……」

「ううん。響くんの身の安全が第一だもん」

 

 後ろでSPもこっそり頷いていたのが見える。

 本日も柳の護衛をどうぞよろしくお願いします、とこっそり会釈しておく。



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