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ソング・バッファー・オンライン~新人アイドルの日常~  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』
6章

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勉強しろ、魁星


「帰ったらその果林って子の話を聞いてあげよう。僕団長引退したら後輩どもの底上げに注力するつもりだからねー。そういう子が頑張る気あるなら手伝ってあげる」

「いいなー。俺もアイドルを応援する仕事がしたいです」

「ナッシーは今後星光騎士団のリーダーになるんだからそれどころじゃないでしょお? 僕が卒業した来年の夏の陣以降にやればいいじゃん」

「そうですね! 来年の一年生のプロデュースとかしたいです! え? していいんですかね? してもいい……? アイドルを俺が? 東雲学院芸能科のアイドルを俺がプロデュース……ふ、ふふ、ふふふ……」

「やば。余計なこと言っちゃったかも」


 想像したら変な笑いが止まらなくなった淳。

 だいぶ顔やばい。

 アイドルとしてアウトだよお、と宇月にほっぺをつねられる。

 若干ドン引きな鏡音と周と後藤。


「話を戻すけどぉ! applause(アプローズ)相手だから当初予定していた新曲の順番を入れ替えるよって。最初は一年生たちの曲にする予定だったけど、相手がやばすぎるからフルスロットルで行くっきゃないよ。二日目初戦も相手によっては去年の新曲、二曲目を一年生二人のデュエット曲にしよう。どちらにしてもどこかでお披露目はするからねー」

「は、はい」

「その方がいいでしょう。初めてのIG夏の陣で一年生だけで歌うと頭が真っ白になりますから」

「わかるぅーーーー!」


 魁星と周が強目に頷く。

 実際去年、初めて数万人単位のお客さんの前でパフォーマンスをすることになったら、頭が真っ白、目の前が真っ暗になりそうになる。

 本当に、あの場の空気は体験してみないとわからないと思う。


「俺も体が動かなくなったし、歌詞吹っ飛んだもん。ドカてん大丈夫?」

「わからないです。ゲーム大会で多くの人の前に出るのは、それなりに慣れているつもりですけど……それとアイドルとしてのパフォーマンスをするのは……違うので……不安です」

「不安でもやるっきゃないよぉ。一回あのステージを経験しておけば割とそのあとのステージはへっちゃらになるしねぇ」

「確かに」


 実感がある魁星、素直に頷く。

 一年生にあの圧の中、一発目を任せるのはしんどいと思う。

 それでなくとも鏡音と響はステージで観客に見守られながらパフォーマンスするのに慣れるのに時間がかかっている。

 最初は全員で歌う新曲の方がいいだろう。


「当然applause(アプローズ)も新曲か代表曲で戦ってくると思うから、マジであとはどうにかなれーって感じだよねぇ。ブサーの集客力に頼ることになるだろうなぁ」

「お、俺そんなに集客力とかないですよ!?」

「は? ないなら絞り出すんだよ? なに言ってんの?」

「ほ、ほげえええええええ!?」


 これには淳と周も冷や汗をかきつつにっこり笑ってごまかすしかない。

 宇月の無茶振りはかなり多いが、その中でもこれはまたトップクラスの無茶振り。

 魁星の悲痛な悲鳴に鏡音と後藤も変な笑顔を浮かべてしまう。

 だが最近の魁星は『アイドルオブアイドル綾城珀の星光騎士団を受け継ぐイケメンアイドル』などと持て囃された謳い文句で、雑誌に引っ張りだこ。

 顔面力の高さは東雲学院芸能科以外にも認められている。

 正直勇士隊の千景と日守もそれはもう素晴らしい顔面だが、星光騎士団のメンバーというだけで注目度が違うだけという感じなのだが。

 その今東雲学院芸能科で一番売れている顔面を遺憾なく使え、と言われても自覚が薄い魁星には難しがろう。

 宇月もそうだが、リーダーであってもグループのセンターを務めるのは顔のいい、華のある者に任せるというのはアイドルの常識。

 淳も星光騎士団では魁星、Frenzy(フレンジー)では石動にセンターを任せるので宇月がそんなことを言い出した理由は良くわかる。

 センターとしての自覚が、魁星にないだけで。


「お前の仕事はごたちゃんのようにその整って目立つ顔を使ってお客さんを集めることだからね? は? まさか今まで自覚なかったの? 殺すぞ」


 言葉が強い。

 魁星が秒で怯え縮こまってしまった。


「ど、どうやってそんなことするんですか!? わかんないですよぉ!」

「えー、僕可愛い担当だからわかんなぁい♡」


 両手に拳を添えてのぶりっこポーズ。

 これに違和感がないのが怖い。

 さすが宇月先輩。

 ある意味一番自分がどうすれば注目されるのかをよくよく理解している。

 宇月美桜は“可愛い”から、“こうやれば”注目を集められる――それを理解している上でやっているのだ。

 魁星はカッコいい系なので、魁星らしいやり方を見つけろ、という意味だ。

 

「ジュンジュンー!」

「仕方ないなぁ。とりあえず動画を片っ端から送るから見て真似できそうなものから真似してごらーん」

「ぎやあああ!? 高速で大量のアイドル動画が送られてくるぅ!?」


 主に魔王軍と石動の動画を死ぬほど送りつけた。

鏡音が「雑誌でポーズ取っているのは、参考にできないんですか?」と宇月に聞くので宇月が「立ち姿の“魅せ方”の参考にはなるけれど、パフォーマンスはそれにプラスだからねぇ」とまっとうな答えをされてしまう。

 突っ立っている時の魅せ方はもちろん役立つ。

 だが、ステージ上ではそれだけじゃ成り立たない。

 トークも立ち居振る舞いも求められる。

 去年一年生だった淳たちはMCを任せてもらえなかったが、今年からはMCに参加しなければならない。

 そういう点も含めて、一番前に出る魁星には勉強させなければならないのだ。



連載増やすのでそのうち不定期になります

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