表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソング・バッファー・オンライン~新人アイドルの日常~  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』
6章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

406/553

松田と鏡音のコラボ配信(1)


『みなさんこんばんは。鏡音(かがね)です。本日は告知していた通りコメットプロダクションのVtuberさんとコラボになります。えっと……』

『は、初めましてー! コメットプロダクションの松竹梅春(しょうちくうめはる)でーす! 本日はよろしくお願いします!』

『こちらこそよろしくお願いします。えっと、なんてお呼びしたらいいですか?』

 

 から始まった鏡音と松田のコラボ配信。

 淳は久しぶりに勉強机に向いて勉強中。

 借りにも学力向上委員会役員を務めておきながら、成績が落ちたら面目が立たない。

 正直あの底辺25位に落ちたくない気持ちがある。

 それにあの神野栄治や綾城珀は、あれほど多忙でも成績が落ちることはなかった。

 なので色んな意味で成績を落としたくなかったのだ。

 まあ、今の二年生はどうやったって周が一位の座から落ちることはないと思うのだが。

 

『じゃあ、今日はFPS講座という感じでやっていきますね。経験はどのくらいですか?』

『ぶっちゃけランクは一番下で……』

『それは大丈夫ですよ。ゲームのルールはわかりますか?』

『た、多分? なにぶんこのゲーム起動させるの久しぶりでして』

『それならプレイしながら確認してみましょう』

 

 淳はFPSがわからないので、スマホで流しながら配信を聞き流す。

 松田が淳が時々見る配信の中でも聞いたことない裏返った声で鏡音と話している。

 元々人見知りではあるものの、まだ登録者数二千人弱の松田にとって登録者数五十万人越えの鏡音はやはり個人勢大手。

 アイドルデビュー前から配信を見ていた鏡音とコラボということで、多分本当に緊張しているのだろう。

 こういうところが可愛い人だな、と思うし松田のチャンネルのコメントは『声がガチガチで草』『緊張しすぎ』『鏡音くん、普通にイケメンだな』『顔と声なら負けてないぞ』という応援が流れる。

 なんとなく鏡音のチャンネルの方に行くと、コメント欄の量が松田チャンネルの倍、流れていた。

『声も動きも固いな』『初心者にしては上手い』『おもろ人間』『Vtuberでこんな緊張わかりやすい人初めて見た』『鏡音教えるのも上手い』『久しぶりのFPS嬉しい』『勉強になる』『やっぱ鏡音FPSうま』『講義助かる』『松竹さんも上手い』などなど。

 松田が褒められているのを見るのは、なぜか嬉しい。

 淳はFPSをやったことがなく、最初からルールの説明をしてくれるのはありがたかった。

 まあ、それでも半分くらいなに言っているのかよくわからないのだけれど。

 一応松田は経験者なので、専門用語についての解説はなし。

 

『だいぶ思い出しました!』

『じゃあランク潜りましょうか』

『ラ、ランク!? いきなり!?』

『ヘッショもできているし大丈夫ですよ。やってみましょう』

『あ、う、あ、う……や、やります!』

『はい、行きましょう』

 

 よくわからないが対戦をするらしい。

 てっきり松田と鏡音が戦うのかと思ったら、場所を変えて他のプレイヤーとランダムでチームを組み、別のランダムチームと5V5で陣取り? をするようだ。

 しかし始まっていきなり鏡音が『あ、チーター』と言い出す。

 チーターという単語はさすがの淳も知っている。

 違法なソフトを購入し、自動で弾が当たるようにしているプレイヤーのことだ。

 わざわざお金をかけてまで人に嫌われるようなことをする、常人には理解しがたい人種。

 

『マジっすか!? チーター!?』

『オレ、やられちゃったんですけど軌道が本当にあり得なかったです。気をつけてください』

『ど、どうすればいいんですかぁ!?』

『他のメンバーにチーターのプレイヤー名を共有しましたから、四人でチーターを倒しましょう。Cエリアにおびき寄せて待ち伏せして』

『俺が指示するんですか!? 無理無理無理……』

『落ち着いてください。このままではチーターが楽しむだけの狩場になってしまいますから』

 

 鏡音は非常に冷静だ。

 リスナーにも聞こえるようにゲーム内ボイスでチームメンバーへ指示を出す鏡音。

 なにやら様子が変わってきたので、ついタブレットに切り替えて鏡音のチャンネルを表示する。

 鏡音のチャンネルのコメント欄は大紛糾。

 チーターはプレイヤーだけでなく、リスナーにとってもフェアな勝負を邪魔する憎むべき存在だった。

 まあ、普通に腹が立つ。

 批難轟々のコメント欄を見た鏡音が『あ、次のラウンドで相手チームにもチャットで伝えるのでみんな落ち着いて。大丈夫。ヴァロランドはチーターが一人いても勝てない(・・・・)から。思い知らせてあげるから』と、冷静な声で宥める。

 一瞬でチーターへの批難コメントが応援コメントに変わる。

 

『オッケー。梅春さんも落ち着いて、そのままBエリアに移動して。接敵しても倒さなくていいです。他メンバーが全体チャットでチーターのことを伝えてくれたので、そのまま挟み撃ちにしましょう。このラウンドを捨てていただいても構いません』

『は、はい』

 

 鏡音が他メンバーとのゲーム内ボイスで指示をして、松田が指示通りに動いてチーターと対峙する。

 上手く壁を利用して隠れたはずが、弾が壁を曲がって松田の頭に命中。

 DOWN、と松田のチャンネル画面が暗くなる。

 すぐ仲間の視点に替わり、松田がやられた瞬間別のチームメンバーがチーターを倒したのがわかった。

 なんというナイスプレイ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【宣伝】
『不遇王子が冷酷復讐者の手を掴むまで』(BL、電子書籍)
5cl9kxv8hyj9brwwgc1lm2bv6p53_zyp_m8_ve_81rb.jpg
詳しくはヴィオラ文庫HPまで

『国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!』アンダルシュノベルズ様より発売中!
g8xe22irf6aa55l2h5r0gd492845_cp2_ku_ur_l5yq.jpg
詳しくはホームページへ。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ