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ゲームのプロ(1)


「はーい、ちょっとお仕事のお話しまーす」

「はーい」


 と、いうゆるい始まりからブリーフィングルームで開始した星光騎士団のお仕事話し合い。

 今月の定期ライブの話と、来月の仕事の振り分け。

 来月の仕事は基本的に一年生の二人に『東雲学院芸能科のアイドル』として受けられるものを選んでもらい、全員が受けられないものは『イースト・ホーム』から受けられるグループに横流しする。

 横流しという言い方はよくないが、手が空いているグループに仕事を渡すのは三大大手グループの役割だ。

 だが今年の一年二人はすでに仕事が入っていることが多い。

 今回の仕事もほとんど別グループに回すことになった。


「ドカてん、マジ忙しそうだね。このあとも練習なんだって?」

「はい。世界大会なのと、今年はダロガさんという方が格闘ゲーム部門からシューティングゲーム部門に移籍するので、今回チームで出るのが最後なんです。それでみんな気合いが入ってて」

「ああ、それは気合い入っちゃうかぁ」

「それは頑張らなきゃって思うね」

「頑張んなきゃな!」

「はい」


 宇月、淳、魁星がコクコクと頷いて納得。

 ある意味、卒業のようなものなのだろう。

 一緒に頑張ってきた仲間が外れる、となるとそりゃあ頑張る。


「自分は二軍なので、出番はないと思いたいんですけど……本番で欠員が出たらまずいので……」

「ドカてん出ないの?」

「わからないです。うちのチーム、人数多いんですけど他の部門チームは予備人員ゼロなので、別部門チームから欠員が出たら格ゲー部門の二軍のうちから人を出さなきゃならなくなるんで」

「部門が違っても出られるもんなの?」

「うちの二軍って扱いですけど、複数のカテゴリ得意な人が多いので。自分も格ゲー部門にいますけど、FPSの方が得意なので……」

「へー、なんか、ふーん……?」

 

 よくわからん宇月。

 淳もそれほどゲームに明るいわけではないので、ゲームをまったくやってこなかった魁星や周よりはわかる、くらい。

 ただFPSは淳もやったことがないので「へー」としか言えない。


「ゲームの世界大会っていまいちピンとこないよね〜。格ゲーと、シューティング? と、他にもあるの?」

「もちろん。スプラシューティーっていう色を塗り合うゲームやFPSの中で有名な三つのタイトル戦、サッカーや野球ゲーム、乗馬ゲーム、ゴルフゲームなどのスポーツ系が今回同時に開催されますね。同時開催なので予備人員がない部門に、欠員が出た場合二軍から派遣されていく形になるんです。スポーツ系のゲームもやっている人は多くないんで、あっちで欠員が出ると困るんですが……」

「え……結構種類たくさんある……。ちょっと舐めてたごめん……」

「なんで予備人員そんなに少ないの?」

「世界大会に同時開催されるようになったのが一昨年からなので、まだ人員の補充が間に合っていないんです。FPSやシューティング、格ゲーは人口が多いんですけど、その分他チームとも人材の奪い合いになっていますしスポーツ系はプレイヤー人口が少ないのでプロになれるレベルがちょっと……という感じだそうです。あと、既存ゲームプレイヤーとVRゲームプレイヤーでも差が出てますね。格ゲーは特にフルダイブ型の人口が極端に少ないんです。目の前で殴る蹴るをやるので、既存ゲームプレイヤーでも咄嗟に反応ができなかったりするんですよ」

「「あー」」


 とても納得である。

 そもそも格ゲーでVRというのが『暴力事件の増長に繋がる』云々で普及がかなり遅れた。

 反対に『か弱い女性が咄嗟に加害者に立ち向かう練習になる』という声もあるのだが。

 だいたい、フルダイブ型VRMMOが普及してもう十年近いというのに、まだそんな声があることが驚きだ。

 そんなこと言ったら既存のバトル系VRMMOは全部『暴力事件の増長に繋がる』ではないか。


「そういう意味ではドカてんって最先端走ってるんだねぇ。へー」

「新しい技術が今も開発され続けていますから、それについていけるうちは最前線で戦っていければと思っています。VR格ゲープレイヤーが少ない今、自分がチームに貢献できるのならしたいですから……。もちろん、他の部門で人が足りなくなったことも想定して、他のゲームも一定レベルまで上げておきたいのです」

「真面目〜。でも、そんな話聞いちゃうとゲームの大会楽しみになってくるね〜。ドカてんが大会に出場して活躍するかどうかはわからないけど、応援は全力でしちゃう〜」

「ありがとうございます。頑張ります。でも、欠員が出ないのが一番です。専門部門の人たちの方が同じゲームをやり込み続けているのを見ているので、彼らの頑張りが認められるのが一番だと思うので」

「まあねー」


 それはどの仕事も同じだ。

 柳もだよねー、と頷く。

 練習したら、その分報われてほしい。


「でも、なんかそう考えるとVRゲームで格ゲーできる人って『次世代』って感じだね」

「そうですね」

「ドカてんのチームで一番ゲーム上手い人って誰?」


 え、それ聞いちゃうの? と二年生ズが宇月を見てしまう。

 今さっき部門が結構な数ある、って言ってたのに。

 ジャンルが違うから部門に分かれているだろうに、その中で一番上手い人って。

 そりゃあその部門ごとに一人いる、という感じだろう。


五十嵐衛(いがらしまもる)先輩ですね。ほとんどのゲームでだいたい上手いです。人生の半分以上ゲームに潜って生きてきたって言ってるだけあって、あの人だけ反応速度おかしいです。多分人間じゃない」

「「ええ……」」



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