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先輩たちつよつよ


 事務所にまだ所属しておらず、即戦力になり得る生徒(アイドル)……。

 いっぱいいるなぁ、と真顔で悩んでいると、後ろから廣瀬が「待ってください」と前へ出る。

 

「じ、自分は構いません。演技のお仕事も、回していただけるんですよね……!?」

「ええ、それはもちろん。というか、例の乙女ゲーム声優のお仕事は『嫌』と言ってましたけど、これも一応演技のお仕事ですがやっぱり嫌ですか?」

「それは……」

「はあ? 声だけでも演技は演技でしょ? 言ってやってよ、一晴」

「大変勉強になりますぞ」

「……そうじゃなくてぇ……」

 

 大先輩からのありがたいお言葉。

 神野が考えていたより優しかったらしい。

 

「やりたい仕事だけやりたい、という気持ちはわかりますが、それだけでは己の成長を止めてしまいますからね。私もアイドルを通して今までやったことのないお仕事をたくさんやらせていただき、演技の幅が非常に広がりましたぞ。やりたくないからと仕事を断るのは自分の成長の妨げになります。人との出会いも重要です。次の仕事に繋がることもありますからな」

「ぐ……は、はい。それはもう」

「では、やりますか? 乙女ゲームの声優のお仕事」

「「やります」」

 

 早瀬&廣瀬、陥落。

 しかし社長、笑顔で淳に「あ、でも即戦力ほしいです。紹介してください」と言い放つ。

 それならば改めて腕を組んで考え込む。

 

「うーん、それなら……やっぱり現魔王軍、現勇士隊のメンバーは間違いないのではないでしょうか? 勇士隊はちょっと今ごちゃごちゃしているようですけれど、パフォーマンス能力はピカイチなので。あ、千景くんとか! とてもおすすめです! 好き」

「ああ、御上千景くん」

「はい! そうです!」

 

 ご存じでいらっしゃった。

 淳としては現在の東雲学院芸能科アイドルの中で最推しと言っても過言ではない。

 元々美人系アイドル大好きだったので、同学年で一番美人系の千景は最初から推しだった。

 超おすすめです、と満面の笑顔で千景を推薦しておく。

 

「じゃあリストに入れておきましょう。でもモデルと俳優から一人ずつほしいんですよね……」

「うちの同級生、モデルと俳優はいないんですよね……かろうじて魁星と日守くんがモデルの仕事が増えているくらい?」

「そうね」

 

 魁星と日守は顔も体型も整っているし、成長期真っ只中。

 だが二人ともモデルというジッとしている仕事が苦手。

 需要は多いが、本人たちの性質が合わない。

 かといって根が素直なので俳優業も苦手。

 あと、シンプルに二人とも学力がアレでセリフが覚えられなかったり漢字が読めなかったりという絶望。

 柳もそれなりにアホだが、頑張れば受験突破できる程度の学力はある。

 

「でも俺はあくまでもアイドルなので!」

 

 というわけで魁星は胸を張ってそう宣言する。

 魁星の反応に社長は「なるほど」と、若干なにがなるほどなのかわからないが納得をしてくれた。

 

「三年生にもモデルや俳優をやっている先輩はいないんですよね。うちの宇月先輩はもう事務所所属していますし」

「柳は?」

「響くんも事務所にはもう所属しているよ」

「あ、そっか」

「基本的に素人出発だからね、東雲学院芸能科は」

 

 最初からなにかしらの活動をしている生徒は、非常に少ない。

 アイドル以外の選択肢は、卒業後――というのが東雲学院芸能科のルートだ。

 

「まあ、本人たちのやる気次第で再考しますか。とりあえず魁星はRepression(レプレッション)仮メンバーに決定です。来週からレッスンを開始してもらい、適正が問題ないようでしたら正式契約を交わしていただきましょう。それで構わないですか?」

「は、はい! 喜んで!」

「残りの二人、どうしましょうね。東雲学院からばかり取るのはちょっとなぁ。Vtuber部門は松田くん以上に歌って踊れる子がいないし、やっぱり新人をスカウトするか……ううーん」

 

 悩み始めた社長。

 今までのやり取りで早瀬と廣瀬は期待されなくなった模様。

 反省しているように見えて、一度失った信用は取り戻すのが難しい。

 目の前でそんなことを言われると早瀬と廣瀬はさすがに焦り始める。

 

「あの、社長……今更ですが、自分もその新グループをやらせていただければ精一杯頑張りますので」

「え、いいですよ。無理しなくて」

「いえ、いえ! や、やらせてください!」

「俺も……やりたいです」

「え、いいですよ。無理しなくて」

「「う……」」

 

 Repression(レプレッション)、出だしが最悪すぎる。

 オタクとしては熱い〜と思っていたが、Repression(レプレッション)始動はまだ先になりそうだ。

 

「それにしても、魁星が春日芸能事務所にちゃんと入れそうでよかった〜。やりたいことが見つかるといいねえ」

「う、うん。アイドルを続けられそうなのもちょっと嬉しい。ジュンジュンとはライバル関係? みたいなグループになりそうなのが、ちょっと不安だけど」

「えー、ドルオタからするとあっついけどなー!」

 

 はしゃぐ淳。

 不満気な顔になる魁星。

 他のメンバーが早瀬と廣瀬になるのか、それとも新しいメンバーが連れてこられるのか――。

 ドルオタ的にどちらもワクワク。

 

「あ、そうだ。栄治と一晴にも言おうと思って呼んでいたんですけど」

「え?」

「ああ、別にちゃんと用事があったの?」

「もちろんですよ」

 

 てっきり早瀬&廣瀬の教育で呼ばれたのかと思ったら、ちゃんと別件の用事があったらしい。

 自分たちは退席した方がいいのかな、と淳が「では、俺はこれで……」濁したら「あ、淳もFrenzy(フレンジー)リーダーとしてここにいてくださいねー」と言われてしまう。



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