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罰ゲーム


「お、集計が終わったらしいぜ」

「本当だねぇ〜。さぁ〜、誰がこのプールいっぱいのセンブリ茶を飲むのかな〜」

「はははははは! 飲むのが辛かったら全部俺が美味しく飲むから安心してくれ!」


 麻野、宇月、蓮名が叫ぶ。

 未だにコップ一杯を一気飲みした玖賀が戻ってきていない事実に震えるほどの恐怖を感じるセンブリ茶。

 それをプールいっぱいに貯めた状態で、宇月がによによとWalhalla(ヴァルハラ)を見る。

 ゾッとしてしまうWalhalla(ヴァルハラ)メンバー。


「では! 集計結果を三位、二位から公開します!」


 芽黒がマイクを持ち直し、客席に向けて宣言する。

 客席から一際大きな歓声が上がった。

 天皚が後ろのモニターを見上げながら、指先を掲げる。


「第三位! 魔王軍!」


 表示された順位。

 その三位の横に、魔王軍のグループ名が浮かび上がった。

 客席はワア、と大きく盛り上がる。

 そして続けて「第二位!」と山原が指差す。


「勇士隊!」


 より大きな歓声。

 三位、魔王軍は色気と病みに振りすぎたせいだろう。

 そして勇士隊は間違いなく千景の評価と元気よすぎる可愛い振りの蓮名が別な恐怖だったから。

 残るはWalhalla(ヴァルハラ)と星光騎士団。


「一位と罰ゲームの四位を同時に発表します! いくよー! 表示お願いします!」


 目黒が手を挙げる。

 パッと大型モニターに表示された順位は――


「一位、星光騎士団! 四位! Walhalla(ヴァルハラ)!」

「嘘だろおおおおおおおお!?」

「フッフーン。当たり前だよねぇ」


 Walhalla(ヴァルハラ)メンバーが信じられない物を見る顔で、モニターを見上げる。

 ドヤ顔の宇月と柳。

 まあ、選出メンバー、桜音響は完全にWalhalla(ヴァルハラ)の上位互換。

 表現力に差がありすぎた。


「なんでだよ! 俺たちの歌なのに! ねえ、お客さんなんで!」

「フッフーン。今まで教えなかったけどぉ、『決闘』って申し込んだ側と、先制の方が不利なんだよねぇ。お前ら負け要素踏み抜きまくっているんだもん〜」

「「な、なぁにぃ〜〜〜〜!?」」


 石神と高倉が派手に驚く。

 なぁにぃ、じゃないんだよなぁ、と淳がにっこり。

 仕方がない、全員誰も教えなかった。

 だからこそ淳たちは「可哀想だなぁ」と呟いていたのだ。

 宇月はによによ笑いながら「それじゃあー!」と手を叩く。

 その拍手音にWalhalla(ヴァルハラ)の四人は肩を大きく跳ねさせた。


「約束通りお腹いっぱい飲んでもらおうね。プールいっぱいに用意したから、美味しく飲んでほしいなぁ〜」

「うむ! すごく苦くて美味かったぞ! いつも飲んでいるセンブリ茶よりも高価な茶葉が使われている! オススメだぞ! たくさん飲めなくても残りは俺が飲むから、心配しないでたっぷり飲むがいい!」

「う……っ」


 蓮名、非常に力強くおっしゃるのだがWalhalla(ヴァルハラ)メンバーはなにも言い返せない。

 というか、宇月は有言実行タイプ。

 Walhalla(ヴァルハラ)メンバーを全員プールを囲むように並んで座らせる。

 宇月が石動と高倉の後ろに回り込み、麻野が折織と陸奥更の後ろに回り込む。

 宇月と麻野がガシッとそれぞれの後頭部を掴み、「せーの」と掛け声を入れて思いっきり、Walhalla(ヴァルハラ)メンバーの顔面をプールに叩き込んだ。

 観客から悲鳴が上がる――かと思ったが、今まで聞いたことのないキャーキャーという黄色い悲鳴が聞こえて盛り上がる。

 未だかつてないほどの盛り上がり。

 いやはや草。


「ぶはぁ!」

「はい、飲んでねー」

「う……」

「ぐうええええ……っ」

「ゲフゲホ!」

「はい、タオル」


 宇月と麻野が手を離すとWalhalla(ヴァルハラ)の四人が勢いよく顔を上げてプールの脇に咳き込む。

 すぐさま魁星と周が四人にタオルを手渡す。


「ギャハハハハ!」

「きゃっきゃっ」

「うむ! 素晴らしい飲みっぷりだ! いいぞ、君たち!」

「「「………………」」」


 三大大手グループ三年生の皆さん、さすが、えげつない。

 見ようによってはイジメにも見えるのだが。

 だが、客席も盛り上がりまくっている。

 宇月と麻野はヒール役としてしっかり務めた。

 咳き込んだ石動が、土下座して「対戦ありがとうございましたーーー!」と叫ぶことで、一件落着――ということでいいのだろう。

 対あり、大事だな、と鏡音が腕を組んで頷く。


「じゃ、紙コップに分けて残りは裏で飲んでもらおうね」

「うむ! 俺に任せろ!」

「いや、多分お前に飲ませる話じゃねぇよ」


 淳と魁星、魔王軍二年生でプールとステージの床をサクサク掃除して、悶絶するWalhalla(ヴァルハラ)メンバーを舞台裏に連れて行く鏡音と柳と江花。

 あとのことはステージに残っている先輩たちとSAMURAIメンバーに任せればいいだろう。


「あ、玖賀くん」

「大丈夫?」

「……大丈夫……ちがう……」


 ダメそうである。

 顔を青くして甘ったるい炭酸飲料を片手にテーブルに突っ伏す玖賀。

 Walhalla(ヴァルハラ)の四人も震えながらまだ咳き込む。

 センブリ茶怖い。


「センブリ茶ってそんなに苦いんですか?」

「苦いですよ。試飲しますか?」

「怖いけど……ここまでされると一回飲んでみたくなるかなぁ」


 宇月を演じている柳がプールごとセンブリ茶をスタッフさんに手渡す。

 残っているのはポットの中のセンブリ茶。

 興味があるのなら、と紙コップを取り出す淳。

 まあ、飲みたいのなら試しに飲んでみることを推奨している。

 鏡音と江花は絶対拒否。

 賢い。


「はあ、はあ……こ、こんなに苦いなんて……」

「ちなみに甘さの強いチョコレートとかお菓子を食べたあとに飲むと甘さが引き立って、センブリ茶もあまり苦く感じないよ。抹茶と同じだね」

「そ、そうなんですか?」

「はい、これ柳くんの誕生月チョコレートケーキ」


 と、淳がクーラーボックスからカットケーキを並べていく。

 顔を上げる玖賀とWalhalla(ヴァルハラ)四人。



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