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ソング・バッファー・オンライン~新人アイドルの日常~  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』
6章

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予定ミチミチ(2)


「ドカてん?」

「大丈夫? そんなやばい?」

「……やばいなんてものでは……」

 

 と、言ってガタガタと震え始めた。

 そんな反応されると思わなくて、全員不安な表情になってしまう。

 いや、あの日本最高峰のCRYWN(クラウン)がフルメンバーで出演する時点でやばい。


「その……ジャポニーズゲームショーは、元々新作ゲーム機や今後発売されるゲーム技術、ソフトなどのお披露目の場、研究発表の場でした。ですが、eスポーツがオリンピック競技として取り扱われるようになると批判を受けてジャポニーズゲームショーとeスポーツ世界大会と合併して行われるようになった歴史がありまして」

「オリンピック競技だったの!?」

「集中力を高めるため体を鍛えるeスポーツ選手なのですが、イマイチスポーツとして認めてくださらない層がおられまして、どうせでっかいゲームショーというイベントがあるんだからそれと一緒にやっちまえ、と……。まあでも国から予算も出る上、世界のゲーム会社が連盟が各国から予算をもらって発祥の地である日本でeスポーツの複数のゲームジャンルによる大会を同時に行うということになった、本当に大きな国際イベントになってしまったんですよ」

「「「「こ……国際イベント……」」」」


 全員顔を見合わせてしまう。

 後藤もわかりやすくテンションが下がった。

 というより、想像以上にでかいイベントではないか。


「そこに星光騎士団が招かれたのですか?」

「そうなのー。ほら、去年は珀先輩がいたじゃーん? あと、新進気鋭で快進撃を続けるBlossom(ブロッサム)の四分の三は星光騎士団出身者で構成されてるもんだからさぁ、どっかから推薦されたっぽいよぉ。まあ、でもその分出演料はがっぽり! 来年まで安泰ってくらいの金額がもらえるから、ここはしっかり受けておいて経歴として残しておきたいって感じ?」

「つまり宇月先輩は“受ける”方向で考えているのですね」

「そりゃあねぇ。あと凛咲先生も参加賛成だって。一応仕事内容が大きすぎだし、ごたちゃんと二年生ズにも聞いてみるつもりで今聞いてるけど……」


 どうする、と首を傾げる宇月。

 そこで鏡音が片手を挙手。


「あの」

「うん? なぁにドカてん」

「……自分……そのeスポーツ世界大会に出場予定なのですが……」

「え……」


 沈黙が流れる。

 割と重めの。

 鏡音が以前から「eスポーツの世界大会に出場予定」とは言っていたが――まさか……。


「そのイベントなのぉ!?」

「はい。色々なゲームの世界大会が約二週間かけて行われるのですが、自分はその中の『ストリートバトルファイティング8』世界大会にメインメンバーとして出場予定なのです。自分のチーム……『ライデン』は格闘、シューティング、アクション系の対人ゲーム専門なので、『ストリートバトルファイティング8』以外にもいくつかのゲームの世界大会に出場予定なのです。自分はその予備選手に登録されておりまして……」

「ドカてんは選手として出演しなきゃいけないってことね」

「はい。前夜祭と開会式のパフォーマンスサイドの出演は厳しいかと」

「うーん、そっかぁ……それは盲点だったなぁ」


 事前に――むしろ去年から決まっていた予定だ。

 鏡音はジャパニーズゲームショーの“選手”として出場が決まっている。

 今もそれに向けて鍛練に励んでいるのだから、それを横から邪魔するようなことはできない。


「じゃあ六人で――」

「美桜ちゃん、この日……」

「え? あ……! ごたちゃんち全員でアメリカに行く日か!」

「「「アメリカ?」」」


 二年生たちの声が揃う。

 後藤が指差した日付は、ゲームショーの前日。

 アメリカ行くんですか、と周が目を丸くしながら聞くと、大変渋い顔をされた。

 後藤の代わりに宇月が「この日、アメリカのブロードハースト家主催の音楽パーティーがあるんだって。ラスベガスの五つ星ホテルで、二百人規模の。大統領まで来るらしいよ」と少し目を泳がせながら教えてくれる。

 周以外、宇宙猫。

 なんというか、規模が庶民には理解が追いつかない。

 

「いや、でもラスベガスの五つ星ホテル、平日でイベントもないと一泊三万円くらいですしね」

「急に上流階級感出してくるじゃんあまりん」

「そんなつまりはないですが」

「じゃあ後藤先輩も出演できそうにないんですか……」

「一月の時点で決まってた予定だしねぇ」


 こくこく、と後藤が頷く。

 共有スケジュールにも『10/16〜10/19 アメリカ』と書いてある。

 

「二年生ズはぁ?」

「俺は十月十九日にグルメ番組出演くらいですね」

「自分十月十日にトーク番組の予定が入っていますが、それ以外は特に」

「俺は連日レッスン予定ですけど……全部午後五時以降ですね」

「連日レッスンって……ナッシー忙しすぎだねぇ。いや、話は聞いてたから仕方ないのはわかるけど。まあ、でもじゃあ五人で行けるかな? あ、ナギーは?」

「僕は十月いっぱい映画の撮影予定が入ってるんですけど、十月十六日と十七日は大丈夫です」

「へー、忙しいねぇ」


 柳は今のところスケジュールに問題はないとのことなので、全員で顔を見合わせてから、謎のコクリ……という頷きを経て「じゃあ、この五人で……」ということになった。


「曲発注してくるね」

「え、新曲歌うんですか?」

「国際イベントで既存曲はちょっと」

「ぐ……確かに」


 でもスケジュールはより詰まった気がする。



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