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コラボユニット四人目(1)


「わ、わかり、ました。秋野さんに……頑張っているところ、見て、ほしい……です」

「うんうん。推しは偉大だよね」

「わかります〜!」

 

 ウェルカムドルオタ沼。

 大きな括りで秋野直も東雲学院卒業生のアイドルなので、淳も千景もそれはもうあれやそれやと新たにドルオタの道に入ってきた初心者にアイドルグッズや歴史を語り出す。

 千景は作詞作曲しながらなのがすごい。

 

「秋野さんって……こ、こんなに、すごい人だったんですか……!?」

「え、知らなかったの!?」

「えっ、知らなかったんですか……!?」

 

 が、アイドルにまったく興味のなかった苳茉が二人の話を聞いて秋野直――岡山リントの経歴を聞いて震え始めた。

 岡山リント、芸歴イコール年齢の超ベテラン。

 そう、秋野直、本当にすごい人。

 秋野直は最初から本名で活動していたが、Ri☆Three(リ・スリー)の時に“岡山リント”という芸名を名乗っていた。

 現在は秋野直だったり岡山リントだったり。

 東雲学院の普通科を卒業して、従業員やタレントを奴隷のように扱う実母の事務所をぶっ潰すほどの漢っぷり。

 その後は瞬く間にアイドル業界を席巻。

 IGを年に二回開催するほどに収益を上げた。

 なんでも、秋野直芸能事務所の社長に据えた女性がマジで超有能だったとか。

 

「だから初心者の推しにするのならやっぱり秋野直を始めとしたCRYWN(クラウン)を選ぶのは見る目があるよね」

「ありますね。王道中の王道。いえ、覇道ですよね!」

 

 いつもおどおどしている千景もうんうんと頷くくらいのテンション。

 困惑の双子と苳茉。

 

「あ、一曲書き上がりました。まだ細かくはできてないので、あとで詰めますけど……」

「千景くん天才〜。仕事早すぎ」

「「そんなスピードで一曲仕上がることある?」」

 

 声をそろえる双子。

 そこに扉が開いて、夏山が「お待たせしてごめーーーーん!」と叫びながら入ってきた。

 パッと顔を上げて見ると、夏山一人。

 

「あれ、冬紋先輩は」

「それが……絶対ヤダって……辞退するって」

「「「ええ……」」」

 

 なんとなく冬紋の性格的にそうなる気はしていたのだけれど、まさか本当ににそうなるとは。

 しかし、それならそれで「6位の睦秋(ともあき)先輩は……?」と聞くと睦秋も「そういうの興味ないし無理。バイトしたいし」と一刀両断。

 ならば7位の初春珊瑚(ういはるさんご)先輩は、と続けて千景が聞くと夏山がもごもごとしながら「あいつは……実家の関係で夏の日程海の家で長期のバイトが……」とのこと。

 スケジュール的に無理、ということらしい。

 もしもIG夏の陣に出られることになったなら、その場合はバイトも免除、と親と約束していたがコラボユニットは大会というわけではないので、睦秋と初春は大学費用のためにもバイトを優先させたいという。

 めちゃくちゃ堅実な理由に誰もなにも言えない。

 綾城ですら彼女さんもとい婚約者さんとの結婚のためにもちゃんと大学卒業したい、と通っている。

 

「そ……それは……ええと、それじゃあ……8位の『Monday(マンデー)』、松土結良(まつどゆうら)先輩……でしょうか?」

「そうだね。今日登校しているかな? とりあえず宇月先輩に相談して連絡を取ってもらおう」

「え? 松土でしょ? 翡翠たちが同じクラスだから聞いてもらうよ?」

「えっと、一応コラボユニット企画者は宇月先輩なので……」

「あ、そっか」

 

 というわけで夏山の申し出をやんわりお断りして、また電話をして報告。

 バイトなら仕方ないかぁ、と言って、宇月も松土に声をかけるのを了承してくれた。

 そして宇月の方から連絡をするからー、と言って電話が切れる。

 

「宇月、休みの日も忙しいなぁ」

「そうですね」

 

 しかし、星光騎士団のチャットルームでしっかり『本日の予定。午前中、収録。午後からオフ』と書いてあるので宇月、本日も半日お仕事である。

 その上、ちゃんと電話対応もしてくれるので、本当にありがたい。

 収録中以外は電話出れるからねー、とは言われていたけれど。

 しばらくすると、松土から夏山に電話がかかってきた。

 

「うん……うん……そ、そっかぁ……いや、まあ、それもそうだよな。うん、わかった。ありがとうな」

 

 電話はすぐに終わってしまう。

 なんとなく口調からして嫌な予感がする一同。

 

「……ダメだって⭐︎」

「な、なんでですか!?」

「普通に夏休み中は仕事と予備校入れちゃったって」

「「あ…………」」

「そ、そうですか。えーと、じゃ、じゃあ……9位の、あ、ダメだ、新座(にいざ)は花鳥風月だ」

「じゃあ、10位の芽黒(めぐろ)くんか」

 

 全員顔を見合わせる。

 ついに10位の芽黒にまで到達してしまった。

 

「お、音無くん……芽黒くんのスケジュールがダメだった時のことも考えて、11位以降のメンバーの確認もしておいた方がいいですよね……?」

「そうだよね、一応確認しておこう」

「夏山先輩~、こういうのって三年生で1位の先輩がやるべきことなんじゃないんですかぁ?」

「え!? あ!? そ、そっか! あの、あの、音無くん、御上くん、俺がやるよ!?」

「「あ、大丈夫です」」

 

 やんわりお断りして、イースト・ホームからランキングのメンバーを確認した。

 11位は『らいじんぐ』、七宝葉鐘(しっぽうはがね)

 12位は『SAMURAI(サムライ)』、白戸天皚(しらとてんがい)

 13位は『Monday(マンデー)』、駿河屋祝(するがやしゅく)

14位は『SWEETS(スイーツ)』、村崎芳(むらさきかおる)

 15位は『Puff(パフェ)』、美袋樹里(みなぎじゅり)



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