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東雲能科GP、個人ランキング結果発表


「さて、それでは集計が終わった模様ですよ〜!」

「茅原先輩、よろしくお願いします!」

「おう! まずは個人ランキング! 改めて説明するぜ、よく聞きな!」


 双子に促され、茅原と麻野が個人ランキングの説明を始める。

 星光騎士団、魔王軍、勇士隊を除いたグループメンバーが対象。

 投票は定期ライブの時の『決闘』『侵略』『下剋上』と同じ。

 ネット配信アンケート、公式ホームページでの『いいね』など。

 公式ホームページ、『イースト・ホーム』での『いいね』投票は無制限なので、票数は愛の連打でなんとかなってしまう。

 それで集計にはやや時間がかかってしまっている。

 ランキング上位四名は学年、グループ関係なくコラボユニットを結成し、八月の定期ライブで発表され、南区海岸沿いの海開きイベントでの専用ステージでのパフォーマンス、SBO内でライドイベントとサブスクに楽曲提供、専用衣装配布などが約束されている。

 ……割とガチでしっかり仕事で聞いた時にビビった。

 ビビったが「海開きイベントは星光騎士団に来ていたイベントなんだけどぉ、夏の陣の予定とガッツリ被ってたからさぁ」とのこと。

 星光騎士団が出られないということは魔王軍も勇士隊も出られない。

 それならいっそ、IG夏の陣に出られないグループに出番を譲ればいい。

 知名度不足は『期間限定』『東雲学院芸能科のお客さんが選んだメンバー』などの要素でカバーできる。

 ……天才か?

 問題は人気アイドルのランキングに、Color(カラー)の夏山真紅が入っていること。

 宇月により優勝グループはIG夏の陣にも出場、という景品が追加された。

 夏山が選ばれてもIG夏の陣にColor(カラー)が出演になったら、次点に譲るしかなくなる。

 しかし、もしも花鳥風月がグループ優勝したらその心配もない。


「ってわけでぇ! 出たぜ! 個人ランキングの集計結果!」


 麻野がモニターに向かって叫ぶ。

 指先を掲げ、客席の視線もモニターに集まる。


 10位 芽黒那実(めぐろなみ)SAMURAI(サムライ)

 9位 新座優星(にいざゆうせい)『花鳥風月』

 8位 松土結良(まつどゆうら)Monday(マンデー)

 7位 初春珊瑚(ういはるさんご)Color(カラー)

 6位 睦秋琥珀(ともあきこはく)Color(カラー)

 5位 冬紋翡翠(とうもんしんく)Color(カラー)

 4位 桜屋敷月光(さくらやしきでっこう)双陽月(そうようげつ)

 3位 桜屋敷太陽(さくらやしきたいよう)双陽月(そうようげつ)

 2位 桃花鳥咲良(ときさくら)『花鳥風月』

 1位  夏山真紅(なつやましんく)Color(カラー)


「「マジで!?」」


 と、叫んだのは『双陽月(そうようげつ)』の二人。

 確かに昼からずっとMCの手伝いをしていたが、それは蓮名によってインタビュー時間を潰された分を先輩たちがフォローしてくれたからだ。

 だが、その時間をお客さんたちは大々的に評価してくれたのだろう。

 双子はお互いの顔を見つめ合い、涙を滲ませながら飛び上がった。


「や、やったー! やったやったやったぁー!」

「すごいすごい! マジで!? マジでぇ!? うわあああん! ありがとうございます! 投票してくださった皆さん……! ありがとうございます!」


 双子がそれはもう、心の底から嬉しそうに飛び跳ねる。

 客席からはほっこり空気と笑顔。

 目の前でこんなに無邪気に喜ばれたら、そりゃあにっこりもしてしまう。

 もちろんMC補助だけで追い上げただけではこの順位にはならない。

 ちゃんと一定の順位を、三日間で稼いでいた。

 MC補助はトドメだろう。

 双子がちゃんと、合間を見て「桜屋敷太陽&月光もよろしく〜」と自分たちを宣伝していたのも大きい。

 そんな双子の喜ぶ姿に淳も部隊袖から涙を滲ませつつ――虚無っている宇月と茅原の顔になんとも言えない気持ちになる。


「宇月先輩、すげー顔してんなぁ。なんで?」

「1位と2位が優勝候補グループの人だからでしょう。Color(カラー)だった場合、繰り上げになるはずのメンバーも5位から7位……」

「お、おおん……」


 優勝がColor(カラー)になったら双子と桃花鳥(とき) 、松土。

 花鳥風月が優勝なら、双子と夏山・冬紋という二つのグループメンバーというやや偏りが出る形。

 宇月としては多種多様なグループから、メンバーを集めたかったはず。

 まあ、だがしかし、どちらになっても戦力強化の面は大成功といえるのではないだろうか。


「1位と2位は夏山と桃花鳥(とき) か。おめでとう」

「ありがとうー! 投票してくれたみんな! 本当にありがとうー!」

「投票感謝する」

「さて、ここで主催の宇月からなんか言いたいことがありそうだな?」

「うん! 優勝グループメンバーは、コラボユニットメンバーから除外になっちゃうんだよね。理由はこのあと発表するよぉ」

「えええ!? じゃあ、俺と桃花鳥(とき) のどっちかはコラボユニットに参加できないの!?」

「そう。理由はこのあと発表するけど、無理かなぁ」

「そんなぁ……」


 しょんぼりする夏山。

 ここで勘のいい者なら『優勝グループの景品』になにかしら察することだろう。


「ほら、とりあえずしゃんとしてコメント!」


 茅原が夏山の背中を殴る。

 そしてマイクを持ち直して「改めて、ランキング1位になりましたー! 投票ありがとーーーう!」と左手をブンブン客席やカメラに向けて振りまくった。

 2位の桃花鳥(とき) も丁寧にお辞儀をして「僕も、投票本当に感謝する。ありがとう」と軽く手を振る。

 次は3位と4位の双子。

 喜びが抑えきれていない二人は「ありがとう!」「ありがとうー!」と涙ながらにぴょんぴょん跳ねる。


「まあね! 今回の個人ランキングは不動の東雲学院芸能科、三大大手グループのメンバーが除外されたランキングですから、あぐらなんてとてもかけるもんじゃないんですけどね!」

「そうそう! でも、それでも俺たち二年生ではここまで高順位初めてなんですよ! 本っっっっ当に嬉しいです! ありがとうございます!」

「うんうん。その調子で校内ランキングも食らいついていけよ」

「ありがとうございます、茅原先輩!」



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