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東雲芸能科GP、最終日(6)


「あ、あのさぁ……それって売名行為ってやつなんじゃないの……? い、いいのぉ? プロなんでしょ、一応」

「プロでも知名度アップは課題だよ。だから事務所は“広告費”っていうお金をかけて大々的に宣伝するんだから。たとえば綾城先輩たちのBlossom(ブロッサム)。あのグループはデビュー自体あまり有名じゃない。俺が騒いだのと東雲学院出身者が三人もいるからうちの学校の中で話題になったけれど、世間で爆発的な知名度の広がりを見せたのはIG夏の陣だよ」

「っ……」


 そして東雲学院芸能科の三大大手グループもまた、IG夏の陣で『学生でありながら、プロと遜色ないアイドル』として知名度を上げた。

 その分プレッシャーも増したが、そんなふうに全国区に名の知れた分、三大大手グループを利用して自分たちの知名度を上げようという者たちが現れるのもまた時間の問題だったのだろう。

 宇月は多分、そこまで織り込み済み。


「むしろ、今回宇月先輩が企画した東雲芸能科GPは他の東雲学院芸能科のアイドルグループの実力強化と、知名度アップが目的って言ってたでしょ? 東雲の他のアイドルグループもIGに出られる程度の実力をつけさせたい、っていう」

「う、うん……。じゃあ、あんなに怖く脅してたけど、『決闘』を受け入れたのも特にダメって感じじゃないの?」

「ダメって感じではないけどタイミング的にはダメだったかな。蓮名先輩の乱入で双陽月(そうようげつ)の二人のインタビューは結局時間がなくてできなかったでしょ? それじゃ本末転倒なんだよね」

「ああ……」


 まあ、双陽月(そうようげつ)の双子は去年の淳と千景が主導したコラボユニットに参加して、他の二年生よりはそれなりに知名度も実力もつけたグループではある。

 だが、出番の時間を奪われたのには違いない。

 そのあたりの補填で茅原と宇月が「午後のMCを一緒にやろう」と誘っていた。

 要するに、そういうフォローが必要になるから結局は邪魔だった、ダメだったというわけ。


「つまり、先輩たちは割とガチで怒ってたのか」

「そうだね。喧嘩を売られたことじゃなくて、太陽くんと月光くんの出番を潰したことに怒ってたって感じかな。ちなみに蓮名先輩をシメてもらうために上総先輩にも連絡してきてもらっていたんだけど」

「え? かずさ先輩……? 誰……?」

「石動先輩。石動上総(いするぎかずさ)先輩だよ。今年卒業した元『勇士隊』の君主(リーダー)

「なんで名前で呼んでんの!?」

「え? 事務所同じだから」


 しれっと答えると思い切り嫌そうな顔をされた。

 一応今度魁星も面接に行く事務所なのだが?


「ええ……? 来たの?」

「うん、来てくれたよ。今頃控え室で蓮名先輩をシメ上げてくれていると思うな」


 蓮名が唯一この世で逆らえないのが石動上総だ。

 なぜなら蓮名が一年の時から目をかけて、蓮名がやりたいようにやらせていたのは石動が後ろ盾になっていたから。

 ヒーローショーの欲求も「まずはテーマソングだろ」と丸め込み、ニチアサテーマソングっぽい曲を率先して歌わせていたおかげ。

 そんな恩人に怒られたら、蓮名もおとなしくなるはず。

 千景に頼まれてもいたので、石動も気にかけていたから予定を空けておいてくれた。

 淳がメッセージを送ったら即『行く』と返してくれたほど。


「そっかぁ……。でも、あの一年生グループ、『決闘』で負けたらどうするんだろうな?」

「条件提示とか、そういえばしていないよね。まあ、どちらにしても今月の定期ライブで『決闘』するんだと思うから、今月中に条件決めるんじゃないかな。まあ、どちにしてもあの子たちの踏み台になってあげるほど親切にしなくていいと思うけれど」


 ゴミをまとめて捨て、文房具をまとめて小箱にしまう。

 最後に掃除をして終わり。

 魁星が「あれ? ジュンジュン怒ってる?」と聞いてきたので笑顔で「うん♪」と頷く。

 宇月が代わりに全部言って怒ってくれたのだけれど――


「太陽くんも月光くんもコラボユニットで一緒に頑張った仲間だからね。あんな形で邪魔して、千景くんにも心配と迷惑をかけた蓮名先輩にもちょっと怒っている。それに便乗したWalhalla(ヴァルハラ)の子たちにも……まあ、ちょっと怒っているよ。三大大手グループの三年生たちが勢揃いしたところはエモーいって喜んじゃったけど」

「そこは喜んじゃったの?」

「だってかっこよかったじゃん」

「ええ……? 俺は普通に怖かったけど」


 そのあたりは人それぞれ。

 ドルオタの感性が完全に観客と同じだったというだけの話だろう。

 ただ、東雲学院芸能科アイドルの感性としては宇月たちと同じ。

 同級生たちの出番を無理矢理奪われてお怒り。

 その観点から言われると、当然魁星もムッとはした。

 そりゃあ同じコラボユニットで苦労した仲間だ。


「でも、実際三大大手グループ全部と総当たりするつもりだとしたら本当にセンブリ茶のプール飲ませることになるから……子ども用のプール通販で買っておこうか」

「ジュンジュン宇月先輩に似なくていいところ似てきてない? 大丈夫? 普通に怖いよ?」

「え? そう? でもほら、プロデビュー済みとはいえ先輩たちに喧嘩売っちゃったあの子達が悪いから仕方なくない?」

「それはわからんでもないけど……」

「ええ……? じゃあMサイズにしておく?」

「Lサイズ買う気だったの?」


 魁星が頑張ってSサイズに押し留めた。



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