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五月になりました


「ふんふんふんふーん♪」

「ご機嫌だなぁ?」

「当たり前だよ! 明日、ツルカミコンビとBlossom(ブロッサム)のライブがあるんだよー! もー、もっと早く告知してくれればいいのにぃ!」


 と、次の日浮かれまくる淳。

 おそらく今頃鏡音は『マギ』として一人レベリングに潜っていることだろう。

 東雲学院芸能からは『魔王軍』と『勇士隊』が出演予定らしく、星光騎士団は「今回は遠慮して」と頼まれたので欠席。

 学院側としては星光騎士団一強になるより、他の三大大手グループ二つにも活躍の場を増やしてほしいという思惑がある。

 凛咲先生が独断で「オッケー」と返していたため宇月も知らなかったらしく、若干プンスコ怒っていた。

 しかし、鏡音のこともあるのでどのみち今回の出演は見送っていただろう、とのこと。


「そういえば星光騎士団の新人、なんかヤバかったらしいじゃん。大丈夫だったのか?」

「大丈夫になる見込み」

「おーい、天皚ー! くっちゃべってないで手ぇ動かせよー! ゴールデンウィーク、今年は明後日からなんだからさー」

「そうだぞー。今日と明日で会場準備して、明後日本番なんだからさー」

「わ、わかってるよー!」


 駿河と山原に叱られて、天皚が物販用のカートを移動していく。

 今年のゴールデンウィークは五月三日、明後日から。

 もちろん職業によっては一昨日から休みに入っている人もいるだろうけれど、平日を挟んでしまったので連休は明後日からという人も多かろう。

 で、東雲学院芸能科は明後日のゴールデンウィーク、三大大手グループ以外のグループはプチライブを行うことになっている。

 プチと言っても擬似IG(アイドルグランプリ)方式で、三日間かけてトーナメントを行うのだ。

 五月五日に去年と同じく一年生たちのオーディションライブが中央区のショッピングモールで行われるが、そうなると二年、三年が暇……もとい仕事のないグループは目立つことができない。

 仕事のない二年、三年のグループが、営業も兼ねてIGを想定したライブバトルを行うことにしたというわけだ。

『イースト・ホーム』で参加グループのメンバーのお気に入り投票や、グループの勝者を決めてもらいつつメンバーのランキング上位は『コラボユニット』を結成する、などの企画も用意してある。

 昨年淳と千景が中心になり行ったコラボユニットの企画が大変好評だったこともあり、二年生が中心になり、学年無関係のコラボユニット企画をやってみようということになった。

 淳はコラボユニットリーダー経験者として、少しだけお手伝いに来ている。

 魁星と宇月が本日お仕事で留守なので、少し持て余し気味なのもあるが。


(周は柳くんのレッスン見ているし……俺も歌詞覚えないとなぁ)


 今年のIG用新曲、星光騎士団のものが二曲。

 来年のデビューに向けた二曲、IG夏の陣用の新曲六曲。

 シンプルに鬼畜な量である。

 これプラス、学校の勉強。

 そして振付。

 さらに言うとFrenzy(フレンジー)メンバーの調整。

 これが一番大変。

 星光騎士団の事務作業なども多少あるので、本当に多忙だ。

 そんな多忙気味なお供にVtuberデビューを果たした松竹梅春の配信を嗜みつつ、昨日の鏡音の事件対応も少々と、このように別件のお手伝いなどなど。

 演技のオーディションオファーも来ているが、これに例のBLドラマ撮影も入ってきてスケジュールが涙目レベルのミチミチ。

 嬉しい悲鳴と言われれば、実に嬉しい悲鳴ではあるのだが。


「あ、まずい。そろそろ仕事行かなきゃ」

「淳ちゃんマジで忙しそうだねー」

「うん。ごめんね」

「大丈夫! あとは自分たちでなんとかするから」


 というわけで残りはクラスメイトたちに任せて、淳は学校を出る。

 SNSをチェックすると、鏡音の件でSNSは相変わらず盛り上がっていた。

 今朝、鏡音のプロゲーマーチームの方が正式に『暴力行為は許されるものではないが、警察、弁護士からは正当防衛として認められるとされたためチームでの処分は特になし、とする』という声明が公式に出されたので、それが追加燃料になっている。

 学院側も『警備に不備があったことは認めるが、今回の件は同グループのメンバーが狙われたところを防衛したものという見解であり、学院側としては処分はしない方向』という表明が出ていた。

 SNSの反応は「当たり前じゃん」「悪いのは犯人」「鏡音くん早く戻ってきて」というものばかり。

 もちろん、アンチはどうしてもいるので穿った意見も散見されたけらど。

 

(こうなると鏡音くんの復帰のタイミングだなぁ)

 

 鏡音は昨日の時点で「明日からSBOに潜ってレベリングします。三日以内にファイブソングのダンジョンまで行きたいです」と目をキラキラさせてやる気に満ち満ちていたので少なくともゴールデンウィーク中は無理だろう。

 当然、他の一年生たちのようにオーディションライブには参加しない方向。

本人はすでにプロゲーマーチームに所属しているので、事務所に所属したいとは思っていないらしいので余計に。

 柳もすでに劇団に所属しているため、参加は見送るつもりとのこと。

 正直淳としては去年と同じくBlossom(ブロッサム)が出るのなら全力で見に行きたい。

 しかし今年は「他の仕事のスケジュールがあるし、去年のおかげでオーディションライブ自体が周知され済みだからBlossom(ブロッサム)は出さないよ」と春日社長が言っていたので出ないそうな。

 確かにIG夏の陣で全国区の知名度になったから仕方ない。

 むしろ、来年のFrenzy(フレンジー)だろう。



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