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ドルオタトーク


「IG冬の陣の練習きつい」

「コラボユニットの練習が癒しですね」

「わかる〜。でも十月の定期ライブが終わると今度は冬の陣にプラス年末の『聖魔勇祭』コラボユニット『トップ4』一年生の部のメンバーが確定するから、俺たちは覚悟しておいた方がいいよ。そのコラボユニットの練習も追加されるって」

「「……………………」」

「怖い怖い怖い。星光騎士団のやつらめちゃくちゃ怖いこと言ってるってー」

「花房と狗央の目が死んでるんだけど」

「怖い怖い怖い。星光騎士団怖い」

「俺は音無が一番怖い」

 

 コラボユニット、チームAとチームBの打ち合わせ。

 全体の通しまで終わっているチームAに対し、日守が足を引っ張って全体通しまでいっていないチームB。

 このあとそれぞれのチームに分かれて別のスタジオに移動するのだが、全員が集まるまでは打ち合わせという雑談タイム。

 今のところスタジオにいるのは星光騎士団一年生組と御上、北王子と芽黒、多賀城のみ。

 クラスは違うが、今回のコラボユニットのおかげでかなり打ち解けられた。

 

「ねえねえ、音無くん。その年末のコラボユニット――トップ4? の一年生の部って……三年生だけじゃないの?」

「え? うん。『聖魔勇祭』のトリを飾るのが三年生のトップ4。その前に前座として一年生のトップ4と、二年生のトップ4がコラボユニットとしてステージでパフォーマンスをするんだよ」

 

 知らない一年生多すぎないか?

 何度目の説明だろうか、と北王子に説明しながら遠い目になる。

 授業でやっているはずなのだが。

 

「それっていつわかるの?」

「十一月の五日に『イースト・ホーム』トップで発表されるはずだよ。楽しみだね〜。三年生は上半期の順位がほぼ動かないから、綾城先輩と朝科先輩と石動先輩と大久保先輩固定だと思うけど、二年生のトップ4は結構今も順位変動激しいから……あ、でも後藤先輩と茅原先輩はもうまず間違いないはずだから、三位と四位が誰になるか。夏の陣で知名度が爆上がりしている宇月先輩が夏山先輩と麻野先輩を抑えてのし上がるか、顔面偏差値二年生トップの冬紋先輩が滑り込むか……はたまた、グループの人気から苗村先輩と蓮名先輩が追い上げる可能性もあるよね。IG夏の陣で勇士隊もシード枠に滑り込んでいるし! 楽しみだねぇ!」

「……え? あ、お、おう……?」

 

 とにかく、二年生は変動が激しい。

 トップは星光騎士団の後藤と、魔王軍茅原の首位を奪い合っている。

 宇月は知名度が高い割に、あざと可愛い系なのでグッズ売上は遅れをとっているらしい。

 喧嘩っ早いのも玉に瑕。

 ぶりっ子しているのはファンの間で有名なため、どうしても女性ファンからは支持が少なめ。

 その代わり、男のファンを多く呼び込んだと有名。

 二年生に可愛いアイドルランキング、があれば間違いなく宇月と『Color(カラー)』の初春珊瑚(ういはるさんご)がトップ争いに熾烈を極めることだろう。

 そういうわけでオタクは二年生のランキングが楽しみだったりする。

 一年生は変動が二年生よりも激しいものの、星光騎士団のIG夏の陣準優勝で淳たちはおそらく一位から三位の上半期結果はほぼ動かないだろう。

 もちろん、今回のコラボユニットで頭角を表すものが現れれば、容易く蹴落とされるだろうけれど。

 

「千景くんは誰だと思う? 二年生」

「えっ、あ……え、えーと……そ、そう、で、すね……ええと……やっぱり後藤先輩は不動だと思います。顔もパフォーマンスも群を抜いて美しいですしやはりオーラが違いますよね。人の理想を体現するアイドル! というか。同じく魔王軍の茅原先輩といえば男も惚れる男前。同級生たちからの熱い支持が多いと聞きますし、次代の魔王は麻野先輩より茅原先輩ではないか、と言われていますものね。ですが星光騎士団の宇月先輩も知名度が爆上がりしていますから、滑り込む可能性は非常に高いかと。それに、『Color(カラー)』の夏山真紅(なつやましんく)先輩と冬紋翡翠(とうもんひすい)先輩と睦秋琥珀(ともあきこはく)先輩も着実に知名度を上げておられますし、麻野先輩の人気も侮れるものではありません。校内売上に限定されるのであれば、『らいじんぐ』や『Puff(パフェ)』も……」

「わかるわかる。『Color(カラー)』は絶対誰か一人入ってくると思う。歌上手いよねー」

「そうなんですよね! 四人全員幼馴染、というのも胸熱ですよね。仲良してぇてぇ」

「わかる! てぇてぇーよねぇー! ちょいちょい自分たちにしかわからない昔話とかしてファンが置き去りにされるんだけどそれがいい」

「そう! それがいいんですよね!」

 

 申し訳ないが、淳と千景のドルオタトークに魁星たちが置いてけぼりになっている。

 いつもはおどおどした話し方の千景は、淳とのドルオタトークの時だけやたらと流暢に早口で大量に喋った。

 ので、完全に「あ、こいつもドルオタだ」と理解されて生温かい目で見守られる淳と千景。

 盛り上がっているところに、スタジオの扉が開く。

 飛び込むように入ってきたのは日守風雅。

 ギョッとしてドルオタトークが止まる。

 他のメンバーの雑談も止まる。

 

「てめえだな、このクソ隠キャオタク野郎! 熱血センコーにチクリやがったんわ!」

 

 第一声で硬直する千景。

 淳は思わず「え……今時まだ先生のことをセンコーなんて呼ぶ男子校生が存在するんだ……?」と斜めなことを言う。

 それは確かに、若干、芽黒と北王子も思ったけれど。

 

「センコーってなに?」

「さあ……?」

(((あ、通じてない)))

 

 ドラマや漫画やゲームにも触れてこなかった魁星と周は首を傾げる。

 そのことにカァーと顔を赤くする日守。



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