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コラボユニット始動(3)


「では、そろそろシャッフルに移ります。アプリで行うので、完全にランダムです。相性もあるとは思いますが、本番に向けて一丸となって頑張りましょう! 気に入らない相手と上手く付き合っていく練習だと思って!」

 

 と、あえて日守にニコリと笑いかけて言ってやると、それはもう嫌そうな顔をされる。

 ぽち、とタブレットに入れたアプリで名前を入れてスタートボタンを押す。

 ランダムに表示される名前が、Aチーム、Bチームに振り分けられていく。

 画面の見えない淳の代わりに、天皚や双子が「わー!」「おー!」といちいち歓声をあげるので地味に気になる。

 

「えっと、決まった?」

「「………………」」

「なにその顔!?」

 

 タブレットから聞こえる音が止まったので、淳も確認しようとしたら左右にいる魁星と周の顔の歪みに驚愕した。

 逆に気になるんだが。

 

「じゃあ、改めて発表するね~……わあ……」

 

Stars born(スターズ・ボーン)』チームA

 音無淳(おとなしじゅん)御上千景(みかみちかげ)狗央周(くおうあまね)白戸天皚(しらとてんがい)北王子密(きたおうじひそか)多賀城千乃(たがじょうゆきの)桜屋敷太陽(さくらやしきたいよう)

Stars born(スターズ・ボーン)』チームB

 花房魁星(はなぶさかいせい)駿河屋祝(するがやしゅく)山原未空(やまはらみそら)日守風雅(ひもりふうが)桜屋敷月光(さくらやしきげっこう)芽黒那実(めぐろなみ)熊田芳野(くまだよしの)

 

「………………わあ……」

 

 恐る恐る、魁星を見る。

 ものすごく嫌そうな表情。

 そのまま視線を日守に移す。

 あっちもものすごく嫌そうな表情。

 

「まあ! 仲良くお仕事をやり遂げる練習をする、っていうのもコラボユニットの目標みたいなものだから! 決定で!」

 

 と、容赦なく言い放つ淳。

 周がすぐさま「しかし、ダブルリーダーが同じチームになってしまったのは……これは、どうします?」と怪訝な顔をする。

 確かに。

 淳と千景のダブルリーダーという名の言い出しっぺがどちらもチームAになってしまった。

 

「チームBは自分たちでリーダーを選出してほしいかな。魁星でもいいけれど星光騎士団ばっかりになってしまうのも……と思うから、魁星じゃなくてもいいかも?」

「じゃあ、『SAMURAI』のリーダーやってる芽黒っち、リーダーやる?」

「ほげええええええ!?」

 

 完全に気が抜けていた『SAMURAI』リーダー芽黒。

 突然の名指しに全力で叫んでしまう。

 リーダー経験ある人の方がいいかと思って、と魁星が言うと、他のメンバーも「賛成〜」と笑顔でぶん投げてきた。酷い。

 

「じゃあ、副リーダーはおれがやるよ」

 

 と、手を挙げたのはもう一人の勇士隊、熊田。

 同じクラスで三大大手グループの勇士隊メンバーである熊田がサポートにつくのなら、大丈夫かな、と芽黒がコクコクと頷く。

 これである程度は決まりだ。

 

「はいはい! 質問でーす! チームを分けたけど、スタジオって一つしか借りてないんだよね? もう片方のチームはどうするの?」

 

 挙手をしたのは桜屋敷の双子兄、太陽。

 それに対して淳はあっさりと「大丈夫。チーム分けをする予定だったから、スタジオは二つ借りてある日も多いから」と答える。

 スタジオレンタル料は綾城と雛森が「出す出す♪」とか言ってたんだが、さすがに申し訳ないので第二部隊の活動費から支払った。

 たくさん借りれば割引も大きくなるので、問題なく支払えたし。

 先輩たち、隙あらば絡もうとする。

 

「じゃあ、とにかくチームB! 歌詞とダンスの練習を始めよう! 今日ってもう一つのスタジオ借りてる?」

「チャットルームのスタジオレンタルスケジュールを見てもらえれば。とりあえず今日はチームAとチームBで使うスタジオを決めてしまおうか?」

「うん! そうだな!」

 

 と、いうことで淳と芽黒でスタジオの振り分けを始め、他のメンバーは歌詞と振付を覚えることに。

 振付は担当する位置も決めなければならないので、その辺りは副リーダー主導で話し合いを始める。

 今のところ、一年生だけだが非常にスムーズ。

 

「さすが朝科先輩と宇月先輩。全員まんべんなくセンターに出る機会があるな。ここの交差するところとか息が合わないとかなり難しいぞ」

「え? ちょ、こんなことできんの? 俺ら?」

「しれっとやってるけどかなり難しくねぇ!? この振付!」

「怖い怖い怖い。三大大手グループの二、三年怖い怖い怖い」

「ちょ、おい、よくよく聴くとサビ手前の高音めっちゃ難しくない? え? 嘘だろ?」

「マジだ……Cメロのとこもやばい。え? ハモリあるの?」

「大変だ、リーダー! ハモリある!」

「ぐううう……それの上下も決めるのかぁ!」

 

 決めることがいっぱい。

 千景が「すみません、すみません、欲望のままに書いてすみません。歌う人間のことを考えてない楽譜書いてごめんなさい」と土下座を始めたので、淳が千景の頰を両手で包んで顔を上げさせる。

 顔が近くて、千景が一気に真っ赤になった。

 

「今度千景くんがごめんなさいとかすみません、とか言う度に耳元で俺が千景くんの好きなところを囁く」

「………………ッッッッ」

 

 ブンブン顔を左右に振る千景。

 涙目。必死。

 もうなにも言えなくなる千景。

 B組生徒、沈黙。

 そうか、これが御上千景の正しい取り扱い方。

 わかるかこんなん。



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