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コラボユニット始動(1)


 悩む智子の横で、お弁当を四人分詰めていく。

 白米がほかほかしているので、冷めるまで蓋をしないで放置。

 二階から父母も下りてきた。

 

「おはよう。智子ちゃん、どうしたの?」

「おはよ~。お兄ちゃんが今度コラボユニットを組むんだって! 誰とやるのか今考えてるところ!」

「お! 誰とやるんだ?」

「もしかして日守風雅くん? 御上千景くんとか? お母さん、御上くんの推しうちわ新調したのよね~」

「智子も御上くんだと嬉しい~! 御上くん、神野様系のダウナー美人なのにSNSアカウントも持ってないからすっごいミステリアスなんだよね~。お兄ちゃんともクラスが違うんで、よく知らないんだよね?」

 

 さすが淳の家族。

 第一印象もツボもまったく一緒。

 目をつけていたアイドルも同じ。

 ですよね、と言いたくなる。

 中身を知っても多分「ギャップ萌〜〜〜」となること間違いなし。

 

「御上千景くんです」

「「「おおおおおー!」」」

 

 喝采である。

 朝からテンション爆上がりの音無家。

 

「あとはA組とB組の生徒を誘ってて、今の時点で十八人くらいになってる」

「「「十八人!?」」」

「さすがに多すぎるからシャッフルして二つのコラボユニットにして、『決闘』しようかと思ってて」

「「「『決闘』するの!?」」」

 

 すごい。

 なんという見事なハモリ。

 さすが家族。

 

「まあ、今はまだ人数を集めてる最中で、スケジュールによっては減ると思うけど」

「さすがに九人ずつ……増えれば十人以上だろう? 二つよりも三つか四つにした方がいいんじゃないかな?」

「うん、それも考えてる。最終的に残った人数で調整するつもり」

「そう……。MV作る時は言ってね」

「さすがにコラボユニットだからMV作るところまでいくかなぁ……?」

 

 そんな話をして、朝食を食べて登校する。

 教室に入ってすぐに、魔王軍一年の長緒、飯葛、緋村に「仕事で練習参加難しくなる」との報告が入った。

 この三人はそんな気がしていたので「大丈夫だよー」と答えて、三人の同意を得てから今回のコラボユニットメンバーから外す。

 今年はもう新曲を作る予定はない、と凛咲先生には言われているので、星光騎士団の三人はこのまま参加の方向で問題はない。

 B組の方は『勇士隊』から御上千景(みかみちかげ)熊田芳野(くまだよしの)

 他の二番隊メンバーは練習に注力したいからと参加は避けた様子。

 そして宣言通りB組の『双陽月(そうようげつ)』桜屋敷月光。

SAMURAI(サムライ)』のリーダー芽黒那実(めぐろなみ)

Lack(ラック)』の多賀城千乃(たがじょうゆきの)

 そして『魔王軍』から日守風雅。

 

「えーと、十四人? 結構な大所帯だな。ひとクラス半って」

「まあ、想定内かなぁ。ここからシャッフルするんだけど――アプリでやろうかな」

「あ、あ、あの、あの……仮歌録音、終わりました……」

「ありがとう〜、千景くん」

 

 借りているスタジオに星光騎士団第二部隊と千景が先んじてやってきて作業を開始。

 今の時点で仮歌と楽曲は完了。

 なぜか張り切った朝科と宇月が振付を考えてくれて、映像で送ってくれた。

 三年生、そろそろ暇な時期らしい。

 いや、二人ともIG夏の陣から仕事はかなり詰まっているはずなのになぜ。

 グループも学年も違うのに、なんという世話好き。

 特に宇月は口は悪く悪態も激しかったものの、朝科のセクシーダンスを華麗に矯正してかなり曲に合った爽やかなものにしてくれた。

 おそらくダンスにおいて一番の功労者である。

 ただ、やはり三年の朝科が考案し宇月が修正を入れつつ完成させてくれたダンスはそこそこの難易度。

 星光騎士団第二部隊の三人は宇月のクセも知っているので難しくはないし、なんなら一度見てある程度これまで覚えた曲に入っている振付もあったので大丈夫そう、と頷きあったくらい。

 しかし、初見の千景は「えええ……む、難しくありませんか……いえ、必ずやり遂げて見せます、けれど……!」と半泣きで映像を何度も見直している。

 そうこうしている間に続々と参加希望の一年生たちがスタジオに集まり始めた。

 

「お待たせー、淳ちゃん! 『SAMURAI』メンバー全員集合だぜ!」

「「よろしくお願いしまーす!」」

「よろしくー!」

「もしかして初めましての人もいるんじゃない? クラス違ったりグループ違ったりすると絡み全然ないしね」

「部活同じヤツはちらほらいるけどね」

 

 と、顔を揃える双子の桜屋敷。

 SAMURAIの三人と、他の中堅グループ所属の北王子、多賀城、駿河屋も入ってきた。

 さらに、勇士隊の熊田と魔王軍の日守も。

 熊田は無表情、日守は相変わらず敵意剥き出し。

 話を聞いていた周も日守の態度に「はあ」と溜息を吐く。

 

「全員揃いましたね。それでは早速今回のコラボユニットについての概要の説明、メンバーの自己紹介を行いましょう。まずはリーダー……という名の言い出しっぺ、よろしくお願いします」

「はーい。星光騎士団第二部隊隊長、A組の音無淳です」

「ぁ、ぁあ、は、初めまして……あの、ええと、B組の、勇士隊二番隊、み、御上千景、です」

「俺と千景くんがコラボユニットリーダーということで申請しています。責任持って最後まで面倒を見ますので、どうぞよろしくお願いします!」

 

 と、挨拶して周の方を見る。

 こくり、と頷いた周が「同じくA組、星光騎士団第二部隊、狗央周(くおうあまね)です」と続き、魁星も「同じく! A組、星光騎士団第二部隊所属、花房魁星(はなぶさかいせい)だ!」とリレーを繋げた。

 そのまま全員が自己紹介をしていく。



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