表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

137/553

コラボユニットメンバー募集中


「はい! 白戸天皚、参加したいです!」

「俺も!」

「おれも参加したい!」

「俺も!」

「じゃあ今からスタジオレンタルスケジュールを確認の上、練習スケジュールを組むから『イースト・ホーム』のグループチャットにカレンダーを貼りつけるから、参加できる日にチェックを入れて返信してね〜。最低でも五日以上参加できない、と判断したらコラボユニット自体を辞退してくださ〜い」

 

 と、パソコンから『イースト・ホーム』にログインして練習棟二階の空きのあるレンタルスタジオ複数を二ヶ月後まで一週間中三日ほど仮押さえして申請。

 即座に仮押さえした日の申請が通り、スタジオの確保が完了。

 その日程をコピーしてカレンダーに変換して、チャットルームに貼りつけた。

 数分で仕上げたカレンダーに、一年A組でコラボユニットに参加を表明したメンバーは……硬直。

 首を傾げる淳。

 

「じゅ、淳ちゃん、す、すごいね……?」

「え? うーん? 宇月先輩に事務手続きのやり方は教わっていたから……?」

「え? え? スタジオのレンタルってこんなに一気にできるもんなの? え?」

「え? パソコンからログインして、スタジオレンタル申請すればできるでしょ?」

「いや、でも……レンタルってお金かかるじゃん? それに……チャットルームにカレンダーにして貼りつけられるの?」

「日数まとめて借りれば割引されて安くなるよ? 一時間100円が五日まとめて借りると一時間70円になるし、カレンダーに変換するのは申請後にメニュー欄からここのボタンを押すだけでできるし」

「うわあ! 知らなかった、スゲー!」

 

 と、叫ぶのは天皚と同じ一年生だけの新規グループ『SAMURAI(サムライ)』のリーダー山原未空(やまはらみそら)

 パソコンを覗き込んでから頭を抱え、「こんなに安くなるならスタジオ借りられるじゃん……」と呟く。

 今までスタジオ借りていなかったのか、と呆れた顔で見上げてしまう。

 

「音無、なんでこんなこと知ってんの? 星光騎士団ってワンフロア持ってるじゃん。俺らみたいな弱小グループと違ってスタジオで練習するためにレンタルする必要もないのに……」

「コラボユニットをするって言ったら、宇月先輩がスタジオのレンタルについて教えてくれたんだ。宇月先輩も一応、ライブ執行委員会だからって」

 

 ライブ執行委員会は生徒会直属の組織。

 生徒会には入っていないが、定期ライブのタイムスケジュールの調整や、イベント会社との橋渡し役、ステージごとのMC役などを担当する。

 三大大手グループから必ず一人、参加することにたなっているため後藤より社交性のある宇月が委員会にいるという。

 淳の声が出なかった時期にその委員会で教わったことを、宇月は細かく教えてくれた。

 来年、淳に委員会担当を引き継ぎたいと言っていたのもある。

 忙しいが得るものも多いのでオススメ、とドヤ顔をしていたが、同級生たちの様子を見ると本当にその通りだな、と思う。

 

「というか、一年生でもライブ執行委員会にはなれるから、天皚や山原くんたちみたいな新規グループは参加してみるとすごく勉強になると思うよ。ライブ間のMC役とか執行委員会から順番にやるっていうし、執行委員会所属グループがステージの配置決めるから大きなステージでライブできるようねじ込めるらしいし、活動費出るし、MCは報酬も出るらしいし」

「そ、そうなの!? 全然知らなかったぁー! で、でも執行委員会とかどうやってなるの?」

「生徒会に申請すれば執行委員会になれるって。人手にはいつも困っているから、審査とかなしに入れるって。『イースト・ホーム』からも申請できるよ?」

「未空、すぐに申請しようぜ!」

「おう!」

 

 山原と天皚が頷き合い、自分のスマホから色々操作を始める。

 魔王軍の三軍から二軍である、四天王グループに格上げになった長緒幸央(ながおゆきお)が「やっぱり音無がいると知らない情報がぽんぽん入ってくるな〜」とスマホをぽちぽちいじり出す。

 うーん、と目を閉じて委員申請する同級生たちに困り果てる。

 

「あなたたち、あとにしなさい。今はスケジュールの調整が先でしょう。コラボユニットに参加するなら、まずは自分のスケジュールを確認しなさい」

「そーだそーだー。俺たちも参加していい?」

「うん、人数制限は今のところするつもりないし……その代わり仕事減らすことになるよ?」

「大丈夫大丈夫ー」

 

 と、淳の机にのしかかってきたのは魁星と周。

 二人はしっかりカレンダーを自分の仕事や星光騎士団のレッスンスケジュールと重ね合わせ、スタジオをレンタルされた日にちと照らし合わせチェックを入れて返信してくれた。

 星光騎士団、第二部隊全員コラボユニットに参戦決定だ。

 

「ご、ごめん、俺も」

「俺もー!」

「これでいい?」

「はい、ありがとう。……え? 天皚と山原くん、全日程大丈夫なの? 長緒くんたちも、魔王軍のレッスン出なくてもいいの?」

 

 返信されたスケジュールを整理すると、一年生グループの天皚と山原コンビは全日程オーケーになっていた。

 魔王軍二軍に上がった長緒、飯葛(いいくず)緋村(ひむら)

 彼らも魔王軍のレッスンよりもコラボユニットの練習を優先させるつもりらしい。

 心配した淳に対して、「魔王軍は練習ゆるいから」と答える三人。

 だが、淳は彼らに魔王軍の練習スタイルは『蠱毒』だと伝えている。

 自主練しなければ、上に上がることは不可能。

 練習をサボればB組の日守のように格下げされていく。

 

「大丈夫、コラボユニットの練習も練習になるし」

「それに音無主導のコラボユニットって聞けば先輩たち『しょうがないな〜♪』って許してくれるって」

「う、うーん……まあ、言いそうだけれど……」

 

 残念ながら確実に言う。

 魔王軍三年生トリオは確実に。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【宣伝】
『不遇王子が冷酷復讐者の手を掴むまで』(BL、電子書籍)
5cl9kxv8hyj9brwwgc1lm2bv6p53_zyp_m8_ve_81rb.jpg
詳しくはヴィオラ文庫HPまで

『国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!』アンダルシュノベルズ様より発売中!
g8xe22irf6aa55l2h5r0gd492845_cp2_ku_ur_l5yq.jpg
詳しくはホームページへ。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ