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ソング・バッファー・オンライン~新人アイドルの日常~  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』
5章

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ゲリラライブ


「高校生の時から会社のお手伝いをしていたそうだよ。謙虚だけれど、とても優秀で素晴らしい感性の人なんだ。片手間で星光騎士団(ウチ)の衣装デザインもしてくれることもあるしね。ほら、こたちゃん、結構忙しいでしょう? 部活や他のグループ衣装の依頼とかも来るし」

「ああ、魔王軍(ウチ)の衣装も後藤くんに依頼しちゃうことある~」

 

 そうだったんだ、と初めての情報に驚くシーナ。

 部活の助っ人に練習に衣装制作。

 あの人本当に洒落にならんくらい忙しいな。

 

「そっかー。上手くいくといいね! マジで!」

「うん……サプライズだから、なんて思われるか……。とにかくやれるだけのことはしようと思う。それじゃあ……行こうか」

「はい!」

「オッケー! 三人で歌うのも楽しみだねー!」

 

 ステージの裏手に移動して、控え室のテントでアバターを『お気に入り①』に変更する。

 リアルと同じ姿かつ、ステージ衣装は星光騎士団のものと雛森は魔王軍の衣装。

 ステージ前には彼女さんしかいない状態。

 ただ、夏休み中なのでログインしているプレイヤーは多い。

Blossom(ブロッサム)』がIG夏の陣を優勝したので、新規プレイヤーがまた増えているのもある。

 Vtuberがフルフェイス型を使い始めたのも相まってフルフェイスマスク型の知名度も上がり、SBOも人気が鰻登りらしい。

 そんな好調に新規プレイヤーが増えている現在の、始まりの町のステージ。

 一呼吸置いて、綾城がステージに登る。

 その後ろから、淳と雛森も上がった。

 ざわ、と新規プレイヤーたちがステージを振り返る。

 

「え? 綾城珀じゃない? 本物?」

「うそ? なにかのイベント? 告知あったっけ?」

「ねえ! あの子! 星光騎士団のドルオタの子じゃない? 一年生の!」

「あっちの子も知ってる! IGに出てたよね! すごいえっちな感じのグループの……なんだっけ」

 

 人があっという間に集まってきた。

 笑顔でプレイヤーに手を振る綾城は、マイクを取り出して周辺への声がけを開始する。

 

「初めましての方もそうじゃない方もこんにちは! 東雲学院芸能科、星光騎士団及び春日芸能事務所Blossom(ブロッサム)所属、綾城珀(あやしろはく)といいます!」

「同じく東雲学院芸能科、星光騎士団第二部隊隊長、音無淳(おとなしじゅん)です!」

「同じく〜! 東雲学院芸能科、魔王軍西軍リーダーの雛森日織(ひなもりひおり)くんだぞ〜! 今日はステージの予約に来たら綾城くんに誘われちゃった〜! 初めましてのみんな、月初めのライブで観に来てくれたみんな、IG夏の陣で見かけて覚えててくれたみんなも〜、やっほー!」

 

 両手で周りに手を振りながら、ステージの前へ歩きステージに沿うように大きな声で呼びかける雛森に、反応するプレイヤーがわらわらとステージ近くに集まってくる。

 さすが三年生たちは集客力が違う。

 知名度というより、集客テクニックが。

 パフォーマンスの前にお客さんを集める術。

 とても勉強になる。

 

「こんにちは〜! あ、こんにちは〜!」

 

 淳も先輩たちに習って、目が合ったプレイヤーに手を振りながら声をかける。

 目が合って挨拶をするだけで、「きゃー」と嬉しそうな声をあげてステージに寄ってきてくれるプレイヤーはとても多い。

 ある程度人が集まってから、綾城が「実は今日は突発的サプライズライブです! 本当は一人でやるつもりだったんですが、たまたま淳くんと雛森くんがログインしていたんで誘っちゃいました」と説明する。

 それでかなりのプレイヤーが淳や雛森にも親近感を覚えるだろう。

 掴みは上々。

 人が増えれば、人垣に興味を持つ野次馬根性のあるプレイヤーがまた増えていく。

 そんなプレイヤーもお客さんに仕立て上げて、取り込んでしまえばいい。

 ステージ上の三人にはそれをするだけの、できるだけの実力がある。

 

「でも三人でやるつもりじゃなかったから、歌は今さっき決めたばっかりなんですよね。淳くんと僕はグループが同じだけど、雛森くんは別グループだからグループの持ち歌は歌えないし」

「そーそー! だから日織くんが歌ってみたいアニソンリクエストしちゃった〜! みんな〜、なんだと思う〜? アニソンだよ〜」

 

 客席に問いかけると、ちらほら承認欲求強めのプレイヤーが曲名を挙げてくれる。

 その中で、正解の曲名がいくつか聞こえてきた。

 

「お! 正解が聞こえてきたなー! みんなマジ鋭〜い! そうそう、その曲だよー。持ち歌歌ってもいいんだけどさぁ、たまにはこういうのもいいよねー」

「そうですね、僕は初めて歌うので、なにか間違えたらごめんなさい」

「俺も歌うのは初めです! 先輩たちと歌うなんて緊張しちゃいますし、間違っちゃったらすみません」

「えー、大丈夫大丈夫〜! そもそも普段は一緒に歌うことがない日織くんたちがデュエットするのがもうマジレアなんだもん! 別グループの日織くんたちが一緒に歌うとか、そんなの年末の『聖魔勇祭』くらいじゃん?」

「そうだね。あ、知らない人の方が多いと思うから説明しようね。『聖魔勇祭』っていうのは――」

 

 綾城が丁寧に『聖魔勇祭』の説明をしていく。

 その間にまた、人が集まる。

 かなりの数が集まったのを確認した綾城と雛森は、アイコンタクトで合図し合う。

 

「――というわけで、東雲学院芸能科は下半期もイベントが目白押しです! お近くにお越しの際は是非お立ち寄りくださいね〜!」

「さあさあ〜、宣伝も終わったことだし、人も増えてきたしそろそろアニソン、歌っちゃう?」

「歌っちゃいましょうか?」

「歌っちゃいましょう!」


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