65.恢復②
「まったくオレってやつはなんとも不器用だと思わないか?」
答えなんて期待せず勝手にしゃべる。
「救わせてほしいなんていってた相手を、今度はオレが送ってやったんだから」
「それを言って何とする。立ちはだかるのなら斬るだけだ」
「だろうな、さてと…。自分のガキを…殺した気分はどうだい旦那」
「……ほう」
眉がピクリと、仏頂面が少しだけ変化した。
「血の繋がりがあるだけだ、アレを一度でもそのような目で見たことはない」
「偏屈め、いくら何でも領域条件と四方領域が似すぎだ。だがまあ、今ので旦那のガキってのは決まりだな。戦い方は結構違ったから気付くの時間かかったけど」
ヨナギと旦那の戦いを傷の再生中に見ていたが、なるほど確かにだ。オレは旦那の四方界を誤認していた。
「ったくよぉ、お宅ってばほんとに人間か? 四方界の強化無し、素でその身体能力は異常だろ」
この爺さん、マジのマジで身体強化してやがらねえ。それで全方位からの攻撃捌いて息も切らさないとかなんだよ。
「四方領域は刀身のみ、縛りは…あー、アイツと同じなら武器から手を離さない、効果は刀身のみあたりか。効果はなんでも切れるようになること、どうだい?」
「答える必要が?」
「じゃあいいや、今度こそあってるだろうからさ」
刀身を相手に見せないことが条件かと思ってたがそうでもないんだろうな。あれは単にそれだけ早く振ってただけ、自動迎撃でも何でもない。自信無くすぜほんと。
「誰もが到達できる領域に違いはない。誰もが道半ばで死ぬだけだ」
「あっそ…、その認識間違ってるぜ。ったく歳食うと自分を客観視できなくて困る」
靴を地面に何度か当てつつ体を広げる。準備運動は大事だからな、こっからは攻撃くらったらマジで死にかねないし。
「どうやって勝つつもりだ? 近づくこともできんというのに」
「んー、まあやるだけやるさ。どっかに孔くらいあるだろ」
旦那を中心とした半径2メートル。展開する光帯外縁を境に、オレの大紅蓮地獄は無効化されている。というか侵食自体は今も続いているが中に入った瞬間効果が消え去っている。
あまりの潔癖、まるで浄化だ。相性悪くてやんなるね。
「おかげで傷の治りが遅いのなんの、オレも串刺しされたら死んじまうのかい?」
「試してみればいい」
「お断りだクソジジイっ、どうせ興味ないならほっといてくれていいぜ。勝手に殺しにかかるから」
「ふ…っ」
近づいてきていた歩みを止める。
その手は獲物に、光帯もまた範囲を徐々に広げようとしている。
「ユーリ、わたしがここに来た理由だが『巫女』の始末のみではない」
「へぇ、そりゃあすごい。ボケててなんかと間違えてないか? 例えば晩飯の時間とかさ」
「ホロウを殺すことだ。その後がどうなろうと知ったことではない」
「…へぇ? 一緒に悪企みしてるように見えて実のところは仲悪かったってわけだ」
「解ったうえで放逐されていたにすぎん。この場にいるもの全員が初めからあの男の掌の上だ。必然も偶然も何もかも、起きた出来事を総て嘲笑っている」
旦那の顔はいつものように…いやいつも以上に巌しい。
質問に答えなずとも、嘘をつくことはしない男だ。それほどに大真面目なことならなんで今さら行動に移したのか。そしてなぜ今オレに話すのか。
「それで? ご当主殺すために『巫女ちゃん』を殺すってことか。侵攻先が無くなればやる気も失せるだろうって?」
「まさか、あの男がソレで止まるわけがあるまい。ヤツであれば、そこに在るだけでどうしようもない穢れた汚濁が氾がり続ける」
「……ならなんだ」
「だが、仕留めそこなった時に閉じ込めることは出来る」
それは——、『崩界』にということか。
「アレを外界に出すわけにはいかん。すでに虚構であった影は実体を帯びつつある。もはや復活は止められん。である以上、仕留め損なった時のために此処は潰しておかねばなるまい」
「で、『崩界』の連中はどうでもいいって?」
「ああ」
「仮にもこれまで護ってきた連中を?」
「ああ」
狙いはホロウ、その他は自分の命さえ興味なし。
殺し切ったその先に命の一つさえ残っていなかろうと構わないと言ってのける。
「なるほどね。やっぱテメエはクソだ」
あそこは日の光もなく、作物も育ちにくい環境下。誰もが苦しみながら生をすり減らし、光を求めて戦うしかない。
だが、オレにとっての故郷だ。護り導かねばならない奴らだ。
「で、オレに手伝えとでもいうつもりかよ、ああそれなら速攻お断りだ。おいぼれが死に際におかしな夢見ちまったか。ならオレが最後の面倒見てやるよ」
「勘違いするな。初めからお前の、誰一人として手を借りるつもりない。これはわたしの戦争だ。若造の預かるところではない」
「ハッ、ぬかしやがる! いいぜやってやる。なんにせよテメェを殺さないと『崩界』に未来がないってのは分かったからな。…ここでぶっ潰してやらぁ!」
一気に湧きあがった怒りが波紋となって大地を揺らす。
華咲き誇る氷獄が意志を持ったようにレイガンへ襲い掛かる態勢を整えていく。
武器の形をしているのはもはや意味をなさない。そこにあるのは自然現象という驚異、天災そのもの。どれほど人間から外れた頑強さを、極めた技巧を持とうが更に上から、世界そのもので圧し潰せばいい。
「死にたがってるならここで死ね。せめてもの情けだ、見送ってやるよ」
「くだらんな。——勘違いをするなといったはずだユーリ、焦らずとも相手をしてやる」
抜刀、人間が単身地獄に挑むための準備はそれだけだ。
「『巫女』を殺すのは保険のようなものだ。事前処理のための優先順位としては下がる」
「なに…?」
「さて、死にたがっているというのならおまえもだろう。その、器として生み出された肉体では生の実感もあるまい。それにイユラが生きていたのは都合がいい、わたしの知らないところで遺体を確保しているという疑念はぬぐい切れなかったからな」
「……っ、ああそうかよそういうことかよ! ったくこのジジイッ、煽ってきやがると思ったらそういうことかよ。テメェの狙いは——」
「ホロウだけでは足りん。ナイギの血族、ホロウの系譜は根絶やしにせねばならないからな」
「———ッ」
それこそオレが『総界』に行くように仕向けた理由。
(獲物が一か所に集まってた方が始末も楽ってことか。そのうえここならご当主がちょっかい掛ける心配もない…。いつから狙ってやがった…っ!)
しかもそんなことやる気配も感じなかったぞ。てか殺気駄々洩れすぎだから気付けなかっただけってか。
「ほんと…、血の繋がりを感じるな。親も子供も隠し事が大好きだ」
「ラゥルトナーか。知ってなお、まだ『巫女』を手に入れると?」
「ああもちろん、変態爺にかわいい女の子を渡すわけにゃ行くまいよ」
「さて、いい加減話すのも時間の無駄だ」
「奇遇だな、オレも飽きた。ってわけでだ——」
「………」
「ぶっ潰せェ!!」
怒号を放ち待機させていた大量の武具が豪雨となって降りかかる。
人が扱える通常の大きさのものから巨人が扱うためとしか思えぬ巨大なものまで出し惜しみは無い。この場で殺せなければオレの護るべき者たちまで危険にさらされる。
「どうして今更動き出した! アンタならいつでも始末をつけられたはずだろうが!」
「機会というものがある。それがいまだったというだけのこと」
豪雨はこれまでと同様に防がれる。むしろ光帯の効果によってオレの攻撃が完全に届いていない。ナイギの扱う界燐は穢れてるからな、あの縄の浄化領域の前では旦那に届くまでの間で氷が崩壊を始める。
「機会だと!? それが来るまで標的のホロウの前でこびへつらってたわけだ」
「否定はせん、お前にも心当たりがあることだ」
不可視の斬撃の前に何もかもが切り刻まれる。
動きを読もうにも速すぎて何が起こっているのか理解が追い付かない。刃の煌めきさえこの目に届きはしないのだ。
「呑み込め」
「……」
ならば堕とそう、奈落の底へと。
ビル一つが収まるに足る巨大な孔を地面に空ける。これまで大地であった場所は奈落の空洞と化し、表面をオレの張った氷だけが足場を支えていた。
ならばあとは一擲投じればいい。
空から地上へ投じられたように天地さかさまに飛翔する氷の槍。
それはオレとレイガンを挟んで中心を穿ち、氷となった大地を砕き割る。
「旦那、アンタの体はどの高さまで耐えるんだ?」
攻撃が効かないのなら単純な物理法則で殺す。
落下の衝撃までは斬れないだろうよ。
いくら人のままに人外の強度を有し、地獄の顕現さえ断ち切る刃を振るおうとも、破壊の衝撃までは無効化できるわけじゃあるまい。
「焦るな未熟者」
薄ら瞬く光線、氷に光が反射した程度の輝きの後、体のバランスが崩れる。
「———ッイ!?」
右腕が飛ぶ、灼ける様な痛みは浄化の焔か。
(距離はとってる、あそこからじゃ届かねえ。四方界の範囲は刀身のみ——、いや)
ガキの頃、ヨナギに技を教えたのはコイツだ。自分で決めた条件を護りながらも屁理屈で強化するような、どっかでイカサマ染みた領域条件にしてるに決まってる。
「———ッ」
「チィィ!」
孔の中から見た空は丸く切り取られ、雲がかかったように影を纏う。
ギロチンの刃のようにオレと旦那の間へ落した壁は仕切り板となり、互いの姿は視認できなくなる。
その間も周囲を囲む壁からも空からも攻撃は続けているが手ごたえはない。まさかこれほどに光帯の力が強いとは思わなかった。
相手は剣士だ、初めから敵を前にしての斬り合いで勝てるだなんて思っちゃいない。
そんな相手に対してはオレの四方界は基本優位に働く。剣をどれだけ早く振ろうが空間そのものを凍らせてしまえば意味はない。
だが、胎蔵領域によって極限まで強化された特性も、生者に血の花を咲かせる彼岸華も、旦那の前では意味をなさない。
(光の帯、羂索、ヨナギの持つ倶利伽羅の片割れ、ならその効果は——)
かすかな光がオレの体を通り抜ける。
「ガッ、っぶねぇ…クソッ」
仕切りとして落した壁の向こう側から斬撃が届いた。
(光に反応できていなかったら首が泣き別れて終わってたぞ…っ)
オレの首から血が噴き出すのと仕切り板が真っ二つにされたのは同時。やっぱり距離も無視してきやがるか。
だが地面は目前、肉体の強度がどれほど鍛えられていようが自然落下の前では限界があるはず、いいやそうでなくとも次の一手に繋げられる手掛かりを——。
「ぐ——っ」
着地という名の墜落を甘んじて受け入れる。どうせ腕も飛ばされたんだ、傷の直りも遅い。それなら全身最初っから直した方が早い。
隙を与えることなく超速での再生を達成し、旦那のいるはずの場所へ目をやった時、そこには血の染みも、一滴でさえも落ちてはいない。
「帯とは縛るだけのものではない」
「……、ああそうかよ。あやとり得意だったか? オレは苦手だからよくわからんが」
見上げた空洞には蜘蛛の巣のように張り巡らされた光帯が壁から壁へと走り、その内の一本の上にレイガンが立っていた。
「今度は壁ごと崩落させて生き埋めにでもするか?」
「それで死んでくれるならいくらでも」
「なら無駄だな。やるだけやるというのなら止めはせんが、次は最低でも左腕をもらう」
「は…っ」
どうしようもない力の差に笑いがこみあげてくる。
なんというかあれだ、まじでなんともできん。やれることの全部が全部、初手から潰されちまうと次の手が浮かばねえときた。
「いややるんだけどさ」
諦めるという選択肢はありえない。というか諦めたらオレも含めて全員死んじまう。
「その縄厄介すぎだろ、ナイギのくせにナイギ特効持ってきてんじゃねえよ」
掠り傷だった首の傷はふさがったが、斬り飛ばされた右腕はまだ再生しない。さらされた断面は炭化一歩手前のように焼き焦げている。
「血の繋がりはない。必要があればその役目を背負うだけだ」
「そうかい、血の繋がりがあっても斬るくせしてその言い分は勝手が過ぎるぜ。…とッ?!」
またしても閃光が瞬くと同時に幾重にも氷壁を作り上げ、攻撃を再開する。ここは奈落の底、オレの領域の最深部に近い空間ともいえる。
氷の張った壁から、剣に槍に斧に棒、武器として使えるものならば何でも生成しレイガンへと猛速度で射出する。斬り砕こうが氷の破片に襲われれば肉は抉られる。
羂索の領域内に斬撃を飛ばす攻撃なのであれば、能力の展開と抜刀の速度が分かれば回避に繋げられるかもしれない。
「ぐゥ…っ」
だが氷壁を切断されることなく、首元から胸にかけて無慈悲な刃が走り抜ける感覚。
(飛ばしてるんじゃねえ…っ、この領域の内側に発生させてやがる…!)
この身を容易く切り裂く斬撃はまさしくレイガンのもの。目を凝らしていても気配をたどろうとも意味などない。レイガンの動きを見ていようが分かるのはタイミングだけ、この体そのものに発生する斬撃をどう防げというのか。
「が…っ、こ、のぉ…ありえんぞマジでよ…ォ」
あの閃光、すでにこの身は不浄の内側にとらわれていた。四方界による防御に意味はなく、完全な回避は初めから許されていなかった。
左肩から胴体に掛けて切断され、上半身はちょうど胸の中心あたりで二股に分かれている。このまま断面に手ぇ入れて力込めたら裂けそうだな、鳩尾より上と下とで。
「得意の胎蔵領域を封じられればこの程度か。まだ足掻くか?」
「——ハハ…ッ、当然だろ、諦めは悪い方だ……!」
氷壁を幾重にも張ったというのに、傷を負ったのはオレだけだ。オレとレイガンの間に存在する壁についてはかすり傷一つ付けられていない。
(一瞬かそれ以上の間、羂索の範囲は広げられる。そんでその中に入ったら刀でズバッ、だな。刀身の範囲ってのをあの領域内全体って解釈してやがる。…その上、帯自体は障害物を素通りします、と)
インチキにインチキを重ねるのはどうかと思う。
何でも斬れる刀と、その範囲を四方領域である刀身の外にまで広げることのできる羂索。しかもその内側にはオレの領域は侵食できなくて攻撃も弱くなる。
(ホント、オレたち殺しにきてやがる四方界だな。元々“そういうもの”だからかヨナギの剣より効果が強い)
レイガンの持つ縄、羂索だったか。
あれはマズい、どこぞの明王様が持ってた神器の原型。羂索を用いて不浄を捕らえ、剣を以て悪を滅する。
『崩界』なんて場所に生まれたオレたちからすれば天敵も天敵。その上、ナイギなんていうご当主の影響をもろに受けた一族ときたもんだ。穢れてるといえばオレたち以上の穢れなんてものは存在しない。
だからこそ、地獄の顕現さえも光帯の内側では意味をなさない。あそこは『崩界』の住人がどう足掻こうと手の届かなかった領域に他ならないのだ。
ゆえに拒絶され、浄化という名の殲滅が発生する。
縄だけなら捕らえて動きを封じるのが関の山だろうが、レイガンにはあの剣技がある。ただ斬られただけなら回復もできるが、羂索の内側ではそれも封じられる。
「なんでそんな大層なモンをテメェが持ってたのかは知らねえが…」
残った腕を天へ向けて伸ばす。
差し示すような指は着弾地点、どうやっても斬られるっていうなら戦い方をさらに変えよう。この体の性質を最大限に活かしきってやるよ。
「想像通りだご名答、だから褒美をくれてやる…!」
「…なるほどな、やってみろ。無駄なことだが」
「抜かせクソジジイ」
歯をむき出しに笑う。
なんせ出来るといってもやったことはないんだ。
だってそうだろ? どんな怪我でも治るからって自分から怪我したいってのは違う。オレは別にそんな変態ってわけでもないからな。
「オレ痛いの嫌だからよ、加減は無しだ。合図は…いらねえか——」
「シ………ィ」
見たくなくても見えるだろう?
奈落の底にかろうじて届いていた光に影が差す。光を食らいこの奈落の底をも無に還そうと、空より来るは氷塊の流星。
「じゃあこっからはこうしようぜ、最後の最後に原形をとどめてた方の勝ちだ」
「………」
閉ざされる陽光、真に奈落の底と化したこの空洞の中において、羂索の維持する領域が広がりながらさらに強く光を放つ。
やはりさっきオレを斬った時は領域を広げていた。
その気になればもっと広げられるだろうにそうしないのは舐められてるのか、維持し続けるのに消耗が激しいのか。
「まあ何でもいいよなぁ! 手足の一本でも取れば大分有利になるからよぉ!!」
空から感じる圧力は奈落に侵入した流星が迫る気配であり、この孔を埋め尽くす大きさであるがゆえだ。
逃げ場などくれてやるものか。落し蓋のようにすっぽりと嵌り落ちる流星は眼前まで迫り、陽光は完全に閉ざされた。
「アレが直撃したとしてもオレは元通り、アンタは治らない。さて、何発目で限界が来るんだ? それともまだ足りないか? ならもうちょい足さねえとな」
「チ——」
舌打ちとともに氷が砕かれる音が響き渡る。
壁から、床から、何もない空間から、果ては流星そのものから武具が生成され襲い掛かる。隙が無いのなら作る。そしてそれはレイガンに対していえば無理やりにでもこじ開けるしかない。
「全部防がれるってなら、防いでくれや。オレはその間にケガ治してるからよ」
自爆巻き込みなんて好きでやってるわけじゃないんだが、結構いいだろ? なんたってアンタの嫌そうな顔が見れたからな。
「は——っ、我ながら無茶苦茶やって——」
防ぎようのない、防ぐつもりのない衝撃が頭蓋に到達した瞬間、意識は消失する。脳がつぶれ骨格は拉げて粉々に。血肉はミンチになって地面に小さな染みを作った。
人間二人を殺すには十分すぎる威力を如何なく発揮し、奈落は超威力の爆発が起こったかのように地上まで被害を及ぼす。
子供が遊ぶ砂場のように、あまりにも容易く街の半分が吹き飛んだ。
それも地表面が吹き飛ぶという言葉では足りない。まさに天地をひっくり返したように大地が捲れ上がったのだ。
常人であれば死んでいる。常人でなくとも言葉通り流星の直撃を受ければ死ぬ。
だが——、この場にいる二人の男は例外が人間の形をしている。
「んだよまったく、無傷はねえだろうがッ!」
「そういうお前は腕が生えたようだが」
自分自身でぶっ潰した体はレイガンの不浄の力を上書きし、回復速度はほぼ戻っている。そしてレイガンは止むことのない攻撃を捌き、流星の直撃を経てなお無傷。
「予想通りだな、つーわけで正解者には追加のプレゼントだ」
「いくらやろうが無駄なことだ」
間髪入れずに二発目が墜落してくる。
その次もその次もさらにその次も控え、空には輝くばかりの流星群が形成されている。
狙いは違わずクソジジイとオレ、さぁてこれでどこまで削れるか。
オレの時間はあるがレイガンが決めに来るまでどこまでやれるかだな。
「一人で潰れるのは寂しいだろう? 特別にオレも一緒に潰れてやるよ。まあ治るんだが」
けどやることに変わりはねえ。
アンタは敵だ、オレの護る奴らを闇に葬ろうとしやがって。
「『崩界』、ナイギの次代として反逆者には死んでもらう。光を求める我等を侮辱する行いは許すわけにはいかない。アンタは此処で死骸を晒す」
二発目の着弾、意識が飛ぶ寸前にレイガンの抜刀する輝きが映った。
これより先は力任せの我慢比べ。
オレは覚悟が足りないらしいからな。バトンを渡せるまで続けられるかは怪しいが…。
「舐めやがってあの野郎、見てやがれ。オレの決意と覚悟ってやつを見せてやるよ」
天より降りしきる流星は絶え間なく襲い掛かる。砕けた花びらが宙を舞い、レイガンの周囲を除いて朱く染め上げていく。
羂索による不浄領域の突破したときこそアンタの最後だ。
彼女の命を賭した姿を目の当たりにして、オレもようやく心の中で何かが嵌った気がする。救済という言葉を使ったのだ。
やるといったからにはやってやる。それこそが、キミが主へ捧げた思いに報いることだと、そう思っているから。
『本編について』
・ヨナギとレイガン
血の繋がった父子です。ヨナギの戦闘は彼が幼少期に教えたものになります。
しかし、レイガンからは子供としての愛情は存在しないため、容赦などは一度もされたことはありません。またその理由については今後になります。
・ユーリ、身を削る
不死身な以上は自爆攻撃が最も有効なので頑張っていますが、胎蔵領域による弱体化は羂索により無効化され、純粋な技量で押し切られています。主人公が何とかなってるような、なってないような状態なので頑張ってほしいところです。
『定期連絡』
・高評価、いいねなどいただければ、皆様には特に見返りはありませんが自分が喜びます。
・更新日の後にそのことを伝える呟きをしているので、思い出す用にツイッターフォローいただけると幸いです。
・細かい設定や反省点等々は完結後にでもおまけでまとめようとでも思っているので、質問をいただければまとめて回答します。よければどうぞお願いします。




