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四方総界縁起  作者: くろよ よのすけ
49/100

49.彼らと、彼女たちの関係③

「——と、いう事なのさ。うん、そういうこと」

 話し終わったリアは気まずそうに、話始める前とは真逆に縮こまってしまった。指先をいじりながらもじもじと、座っている俺に対してさえ上目遣いでいる。

 二人きりになると度々甘えてくるようなことはあったが、ここまで委縮しているようなのは初めて見る。それほどリアにとって言いたくなかった秘密だったんだろう。

 けど、俺から言えることは大して多くない。


「そうか」

「えっ、ちょっとヨナ反応薄くないかい? ワタシ、すっごく緊張したんだけど」

「分かってる。お前のあんな姿、そうそう見れないだろうな」

「な、なら頑張ったなとか、教えてくれてありがとうとか、優しい言葉をかけてくれるべきなんじゃないかなっ!?」

 小刻みに震える指でコチラを指差したリアは顔まで赤くなっている。朝日の逆光が無ければ良く見えただろうさ。

「だって、そんなこといったら調子乗るだろ。そういうのは戦いが終わってからだ」

「む、むぅ…。……イジワル…」

 照れてるのか恥ずかしがっているのか、消え入りそうな声でぼそりと呟いたリアはそれこそ十歳は若返って見えた。

「そういえば——」

「うん…?」

 立ち上がり、縮こまったリアの隣へ並ぶ。

 朝日を背にしたリアとは逆に白光を正面から受け止めると、彼女もおずおずと朝日へと身体を向ける。


「夜に二人でってのは何度もあったけど、夜明けを一緒にってのはあんまりなかったな」

「そういえば…、そうだね。確かにそうだった」

 何もなければ眠っている時間、それもリアは暇さえあれば眠っている生活を送っているせいでこんな時間に起きていることなど皆無だ。

 二人そろって日の出を見ることがあるなんて思いもしなかった。

「『前回』、レギオンを追い出すときに言ってたことがあるんだが」

「ん…なに?」

「お前のことを信じるな、だと。その理由がようやく分かった」

「あはは…、それはそうだろうね。彼等からすればワタシは何よりの裏切りものだ」

「もう一度裏切る予定とかあるか?」

「あー、ヨナったらそういうこと言っちゃう?」

「ああ、後ろから刺してきそうなのは一人だけでいい。アイツの場合は撃ってきそうだが」

 今も俺を狙っていたりするんだろうか。日の出によって徐々に闇が駆逐された始めた世界でわざわざそんな暇なこともしないか。

「おーいヨナぁ、ワタシってヨナのこと裏切ったりすると本当に思ったりしてるの? ねぇちょっとー、そんな優しそうに微笑まれてもワタシの機嫌を取れたりはしないんだぞぉ」

 拗ねるように上着の袖を引っ張ってくるが、いつもの余裕を感じないせいか小動物がじゃれてきてるような気さえする。

「はは、怒るなよ。だったら、リアだけは裏切らないで居てくれればいい。約束を、守ってくれるその日まで」

「……うん、分かってる」

 袖を掴んでいた手は腕に回され、必要以上に身を寄せてくる。

「なんでそこで引っ付いてくる必要があるんだお前は」

「えぇ~? だってヨナが優しいんだもーん。こういう時にヨナ成分を溜め込んでおくの」

「なんだそれ。さて、そろそろ見張り交代するか。つっても気配の一つもなかったし、まず来ないとは思うが」

 俺自身にも、街中の結界にも一つの気配すら引っかからなかった。この調子じゃ下っ端の一人も来ちゃいないだろう。

(他に大物が来てるとかか。いや、連中なら隠れて様子見とかないな)

 ユーリにせよ、レイガンにせよ。あのヌイであったとしても隠れて不意打ちなんてしてこない。前者二人は実力に裏打ちされた自信によって、後者は性格のせいで。


「ねぇねぇ、ヨナヨナっ」

「なんだ朝からうっとおしい。考え事してるんだからもう少し——」

「ちゅー」

「………」

「ん? ほらほら、ちゅー」

 ペシっ

「アイた!?」

 目を閉じて唇を突き出してきていたから額をはたく。

 澄み切った朝の空気の中、程よく響いた音は中々耳触りがよかった。

「ひ、ひどいよヨナ。さっきはワタシからだったんだから今度はヨナからしてくれてもいいじゃにゃないか。ワタシのハジメテあげたんだよ? もう二度と手に入らないものなんだよ!?」

「自分から押し売りしといて価値を語るな。そっちだ」

「え? あ、おはよう。今日も朝から可愛いね」


「………」

「おや、出てこない」

「髪の毛跳ねてるからその位置じゃ見えてるぞ」

「…っ。あ、お、オハヨ……ございますリア様、ヨナギ様…」

 ベランダから立てた梯子、そこから灰色の頭だけ屋根の上に出している少女は窺うように目元だけでこちらを見ていた。

 髪の毛がやけに跳ねているせいでちゃんと隠れているつもりでもこっちからは丸見えだ。

「おはようシエ、丁度交代をしらせようと思ってたんだ。わざわざ来てくれたのか」

「は、はい…っ。それと朝食はすでに準備しておりますので、よければお食べください」

「ありがとう。それじゃお言葉に甘えさせてもらうよ。ほら——」

 まだ梯子に乗っているシエへ手を伸ばし、引き上げようとする。シエならまず落ちることは無いが、念のため。

 だったんだが——。

「い、いえヨナギ様…っ、この程度のこと問題ありませんのでっ、すぐ、すぐに上がりますから!」

「あ、ああ」

 慌ただしく駆け上がると、そのままの勢いで身なりを簡単に整えていく。髪の毛まではすぐに戻らなかったから所々跳ねたままだが。

「それじゃあヨナ、ここから先はワタシたちに任せてゆっくり休むといい。さぁシエ、二人でしっかり彩音を見守ろう!」

「ふぇ!? そ、そのリア様もですか?」

「え、ダメ? ワタシも二人と一緒に頑張ろうかと思ったんだけどなー」

「で、ですが今までお外にいらっしゃったわけですし、こういった任務は私にお任せいただいてごゆっくりしていただいた方が良いのではないかと思うのですがっ!」

 慌てた様子のシエだが、リアはどこ吹く風で意にも介していない。

 もはや押し切られるのは目に見えている。それに、キスの件がシエに見られたことは任せろと言っていた。こじれる可能性がないわけじゃないが、俺よりもアイツに任せた方が良いのは間違いない。

(女同士のことは一生かけても分からないだろうからな)

 男と女はどうしても別ものだ。理解できない部分はあるし、こっちにその気がなくても傷つけてしまうことは多い。

 だから、少なくとも今は。俺はこの場にいない方が良い。

「じゃあ任せるぞ、何かあれば呼べ」

「はーい」

「あ、えっ…と、あぅ、ヨナギ様ぁ」

「…どうした?」

「え、えと…その…ぉ、なんでも、ないです…」

「そうか、あとは任せたぞ」

「……はい」

 全身から心細いオーラを出していたが…。悪いなシエ、ここで俺が手を出しても解決はしないだろうから。

「それじゃ後でねヨナ」

「ああ」

「………ぅぅ」


 梯子を下り、用意してくれたらしい朝食目当てにリビングへ。

「これか、原因」

 ソファの上にはぐちゃぐちゃになった毛布が力なく垂れかかっていた。位置的にシエが頭を押し付けていたのか。

 なぜ数時間であれほどの寝ぐせが出来ていたのか、その理由。

「…悪いことしたな」

 シエは大事な存在だし、向けられた好意に気づけないほどの朴念仁ではない。

だが、俺は彼女の…シエの想いを受け止めるには足りないものが多すぎると、思ってしまう。自分は、あの子の純粋な想いを受け止めるに足る人間なのかと。

「俺もシエの主として胸を張れるようにする……か」

 時間と状況の流れによって覚悟は風化し、揺らぐ。そんなことはあってならないし、今も失わせるつもりは毛頭ない。


(シエの前で情けない姿は見せられない。アイツを傷つけたくはない)

 けど、いつかは裏切ることになってしまうのではという予感がある。その場所に至る理由を持っている。

そしてなにより、この先起こる事柄に対してシエは今と同じように——。

「………」

 毛布を整えてソファに掛けておく。

 用意してくれた朝食は冷めてしまっていたから、一度温めようかと思ったが、何故だかそんな気分にはなれなくて。

「うん…、いつも通り美味いな」

 冷気に晒された彼女の心に寄り添えるような、あんまりにも勝手なことを想いながら、冷え切った朝飯を静かに食べ進めていった。



  □ □ □



 そして、屋根の上に残された二人は、残り少ない護衛の時間を日の光を受けながら護衛対象である皆方彩音の様子を窺っていた。

「くぁ…」

 とはいえ、ヨナが言っていたように特に何も起こらない。

おそらく今日は来ないんだろう。下手にさらった後にレギオンが『崩界』に来るのを危惧してるのかな?

 彼等は『巫女』さえ殺せればいいから、わざわざこの世界で殺さなきゃいけないわけじゃない。一つの世界へ侵略を行えば次に攻め入るまで期間が空くだけなのだから。あとはその時に『巫女』がいる世界へと攻め入るだけ。

 何とも単純で、何とも哀れだね。あの子達も


「………ぇと」

「んー…、むにゃ…。流石に眠くなってきたねぇ」

「は、はい…、い…いえっ私は休憩をいただいておりましたので…! あ、すみませんっ」

 落ち込んでいるかと思うと慌てる姿は、シエの心が波打っているのがバレバレになっちゃってる。ワタシが原因なのはあるし、申し訳ないところもあるけど、可愛らしいと思ってしまうワタシもいる。

「ふふっ、謝らなくって大丈夫だよ。ワタシが勝手にここにいただけなんだから」

「そう…ですか…。分かり…ました」

 耳や尻尾が生えていれば、間違いなくしな垂れ落ちているのが手に取るように分かるくらい落ち込んでしまった。

「ヨナも罪な男だね。こんなにも可愛い子に愛されてるだなんて」

「わ、私はそのようなくぁわいいなどと…っ。アゥ…」

「ふふ、ゴメンね。シエからしたら落ち着かないのにワタシと二人きりなんて気まずいよね」

「いいえっ、リア様のお傍に仕えることを気まずいなどとっ。そ、それにリア様とヨナギ様の間に何があろうと従者である私には関係のないことであり、祝福すべきことでしかありませんので——」

「ねぇ、シエ」

「ひゃ、はいっなんでしょうかリア様!」

「ヨナとキスしちゃった」

「ぉ…———————ぉぉ……」

 水から上げた魚のように口をパクパクさせる。いけない、ちょっといきなりすぎた。まあいっか。いやダメかな。

 血の気が引く音が他人から聞こえてくるなんてそうそう出来る体験じゃない。元々色白なシエの顔色がさらに白く、通り越して青く染まっていく。

「大丈夫、シエ? はい、もう冷めちゃってるだろうけど」

 さっきシエが持ってきてくれた軽食の中から、まだお茶の残った水筒を差し出す。

「———っ…!」

 すると、シエは勢いよく手に取るとコップに移すこともせずに注ぎ口の部分を外して勢いよく飲み始めた。

「んく…っ、……んきゅ——!」

「おお……」

 勢い任せに、言ってしまえば男らしくもある飲みっぷりを披露し終わると、数度の深呼吸。そしてようやく落ち着きを取り戻してくれた。

 とはいっても少し呼吸は荒いけど。


「もう大丈夫かな? うんつまり、ヨナとはそういうことなんだ。あ、勘違いしちゃダメなのはヨナがワタシを選んだということじゃないからね? 今回のはワタシの不意打ちだし、そこに偶然シエが来ちゃっただけなんだ」

「と、とはいえ…っ、やはり従者である私がお二人の恋路に関わることはできません。その…ヨナギ様がリア様か、アヤネをお選びになったのだとしても、その意思決定に私が関わるべきではないのです…」

「その割には随分落ち込んでいるようだけど」

「それは——っ、……それは、違います。きっと…きっと違いますっ」

「そっか。それなら、どうして涙を流しているの?」

「へ…?」


 哀し気に、朝日に煌めく輝きは彼女自身には気づけないもので、今まで目を逸らしていたモノだったから。

「シエは、もっと我儘になるべきだよ。自分とヨナとの差を考えているのかもしれないけど、それは理由にならない。あの子はあの子で、シエのことをちゃんと考えてくれてるはずだよ」

「いえリア様っ、ですがそういう事ではなく…、ワタシが選ばれてはなりません。ワタシは墜天子、この身は『崩界』の穢れが混じり、ヨナギ様の埋め込んでくださった聖槍が無ければこうして生きてはいられません」

「自分は汚いからヨナと添い遂げられない?」

「そ、そうですっ。私なんかよりもリア様や、アヤネの様な素敵な方と一生を過ごしてほしいのです。私は…、私では——」

「そうじゃないよ、シエ。それを言うなら、ワタシは汚物みたいなものさ。どうしようもないくらい汚らしくって穢れてる。今までシエには黙ってたけど、ワタシはそういうものなんだよ。決して、輝かしい存在なんかじゃない」

「それ、は…どういう——」

「今は言えない。でもいつか話すと約束するよ。それは戦いが終わってからかもしれないし、もしかしたら死の間際かもしれないけど、約束する。シエは大好きだから、ちゃんと話すよ」

「………」

 考え込むシエ、本当にワタシのことを信じてくれていたのだと思うと嬉しさで胸が一杯になるけど、ここでは少し我慢。ワタシの事なんかよりもシエの事の方が大事だから。


「ゴメンね、話が逸れちゃった。それでね、やっぱりシエってヨナの隣に居るのが自分って思ってないよね。あくまで自分は後ろで幸せなヨナたちを眺めてる」

「……それが、私の幸せでは、いけませんか?」

「ううん、悪くないよ。ワタシにシエの幸せは否定するなんてできない。それが心からのものだったら横やりなんていれられない。幸せなヨナを見てシエが幸せになれるなら、ワタシはそれだけで嬉しいよ」

 ワタシ達がヨナと別れて十年、その間二人きりで過ごした静かな日々は、心の孤独を育むには十分すぎる時間だった。

「ワタシも、シエにはあまりかまってあげられなかったからね。それは悪かったなって思ってる。でも、それとこれは違うことさ。ねえシエ、気付いてる?」

「なにを、ですか…?」 

 この世界に来てからヨナと再会して、従者として尽くすことに幸福を感じていたことも、感じていることも嘘じゃない。それは彼女を構成する中でも大事なことの一つだから。

でも、シエはもうそれだけじゃ満足できなくなってることを自覚していない。

「シエは、ヨナのことを男の子として好きでいいんだよ?」

「…え——」

 そんなことは考えたことも無かったとでもいうように絶句する。

 それはキスしたことを伝えた時とは違う、自分の中の常識が打ち破られてしまってどうすればいいのか分からなくなったような一時的な混乱。


「アハハ、ワタシも結構せっついてみたし、初心な反応してたからシエったらてっきり気づいてるのかと思ったけど、やっぱり自分では分からないものだよね。わかるわかる」

「い…っ、いえ……いいえ。そのような…こと、思ってなんて——、いえ違うのですリア様、私はそのような思い上がったマネは——っ」

「あ、そっか、ワタシのせいだ」

 シエの慌てた姿に漸く合点がいった。

そして同時に、胸の中に罪悪感が顔を出す。

「いいえ、いいえ! リア様のせいであるなどありませんっ! 全て私の不始末なのです、私の心が弱く、満足に鎮められていないからこその——っ」

「あのね、シエ。ワタシは、一度も冗談で言ったつもりは無いよ?」

「…なにを、ですか」

「みんな幸せになってほしい。ヨナはワタシのものなのは変わらないから、シエもアヤネもヨナと好きなだけ仲良くしてくれていいってこと」

「ですので、ワタシは幸せで……、幸せ…で…」

「うん、何度も謝ってばかりだけど、ゴメンねシエ。ワタシがヨナをワタシのものなんていってるから真面目なシエはそういう風に考えるようになっちゃったんだよね。自分のことは二の次で、いつもワタシたちのことを一番に考えてくれるくらい優しいから」


 シエは自分の事よりも他人にお世話することに喜びを見出している。頑張った分褒めらって、もっとやる気を出してさらに頑張る。

 単純なくらい素直で真面目で、だからこそその姿が愛おしい。

「でもね、ワタシの言っているシエの幸せは違うんだ。親愛じゃなくって、恋愛」

「……れんあい」

 ポツリと、意図せず転がり落ちた言葉は形となってシエの外側からその意味を教えてくれる。これまで無自覚だったものが意味を持って彼女が意識するきっかけになる。

「ねえシエ、キミはヨナを一人の男として見ていいんだよ? 仕えるんじゃない、尽くすんじゃない。隣に立って、並んで歩いて。そんな関係を選ぶ権利をちゃんと持ってるんだ」

「ですが……、リアさま…。ワタシに、そのような価値は——」

「ヨナがなんて言ってたか、ヨナに何て言ったか忘れちゃった?」

「え…? それは——、『…自分を貶めるようなことは、言うな』と…」

「うん、ヨナはシエを認めてる。それはシエにとって気遣ってくれているからと思っているかもしれないけどそうじゃないよ。あの子は、ちゃんとシエを見てくれてる。なのにシエはヨナのことを対等に見てあげられないのかい」

「わた…私は——、ヨナギさまのことを…すきで、本当に想っていてもいいんでしょうか…」

「いいさ、少なくともワタシは初めからそう思ってる。だからその点においては彩音も入れて三人がライバルだ。…まぁヨナのハーレムでも別にいいんだけど」

「……それでも、やはりヨナギ様は私をお選びにはならないと思います」

「む、そういう自信がない発言は良くないよ。努力次第で何とでもなるさ」

 一度は顔を上げたシエだったけど、またしても俯いて影を落としてしまう。胸の前でそろえた指先は不安げに折り重なり、己の進むべき道を選び取れないでいるよう。


「私は、ヨナギ様のことを一人の人間として好意を持っていること。…分かって、いるのです…。けれど、どこまでいってもあの方にとって私は…庇護すべき対象でしかありません。私は…、彼の隣に立つことはできない」

「…シエ、そっか。ずっとそんな風に思ってたんだ。分かっていたんだね」

「いえ、今日リア様に言われるまで形にもなってはおりませんでした。霞のようにとらえどころがなく、けれどこの身を濡らすような意識。それが、その…殿方への愛、と呼ばれるものに当たるなど…っ、思いつきもせず…」

 今度は顔を赤くするシエに嬉しいやら悲しいやら。

 無意識を自覚してくれたのは嬉しいけど、彼女はその先の認識の時点で苦しんでいる。考えると苦しんでしまうから、ずっと考えないようにしていたんだ。

 その強さと、強さゆえの選択は辛いものだ。その道を征くということは常に貧乏くじを引く羽目になってしまうから。

 ——その先は、どう足掻こうとも報われないのに。


「ありがとうございますリア様、貴女様のおかげで私は私の心を、自覚することが出来ました。ですが、…その先に手を伸ばすことはいけない事なのです。まして墜天子であり、従者である私には、あの方にご迷惑をおかけしてしまうだけですから」

「シエ」

 涙混じりの声の中で顔を上げてくれたシエは、想像していたよりもずっと可憐な笑みを浮かべ、今この時こそが最も幸せだとでもいうような。そうとしか感じ取れない表情を浮かべていた。

「いいの?」

 だからワタシは聞き返すことしかできない。

 自らの心のありようを承知し、その上で押し潰してでも前に進むことを選んだから、ワタシにはこれ以上何も出来ない。

 みんなが幸せになってほしいなんて、元々自己満足みたいなものだから。自らの意思で、進むべき道を選択したシエに、ワタシなんかがこれ以上何か言えるわけない。

「シエは、いつのまにか強くなってたんだね。ふふふ、いやぁ若い子の成長を見るのは嬉しくなっちゃうなぁ。うんうん」

「ハイ。私はヨナギ様が進む道を後ろから手伝わせていただければよいのです。私が隣に立って進むなど、それこそ誤り、間違いなのですから。ですので、リア様も今まで通り接してください。不肖シエっ、これまで以上に頑張りますので!」

 朝日を背に、胸を張った少女の姿は勇ましくも痛々しい。


 出来ることなら、シエには家事だけをしていてほしかった。

『四方界』の才能が無ければ、そういう道もあったのかもしれないけど。彼女がいなければヨナは戦いに来ることもできなかった。

「ありがとう」

 だったら、ワタシからかけることのできる言葉なんてそれくらいしかないじゃないか。

「——っ、はい…、ハイ!」

 涙をこらえ、頭を下げる。その姿は、これまで見てきたシエの中で最も強く、悲しい。

 辛いよね、苦しいよね。

 好きなのに、大好きなのに。自分の事より相手のことを優先する生き方しかできなくって。

「きっと、ヨナに似ちゃったのかな」

「いいえ、それは違います。リア様」

「えぇ? だってヨナったら自分の事よりも——」

「リア様に、似たのだと思います」

「———」

 もう涙を見せはしない。

 ほんのりと照れながら、朝の光に融けてしまいそうに柔らかな微笑みを浮かべたシエは、彼女と一番長く共にいた女の名を上げた。


「——そっか、嬉しいな」

 その女が、キミに悪影響を与えてしまっていることに気を悪くしないでいてくれるといいのだけれど。ううん、例えそうであったとしても、キミは笑顔で傍に居てくれるんだろうね。

「じゃあ、いいんだね?」

「ハイ、私はヨナギ様とリア様、そしてアヤネを守護し、ナイギを打倒する一振りの槍となりましょう。この身、朽ち果てるまで」

「ん——」

 ああ——、眩しいな。

 羨ましいくらい、キミは眩しくて、綺麗だよ。なんて言ったらキミは照れてしまうのだろうけど。それでも、ワタシにとって手の届かないくらい、無垢な光であるキミを直視するのは、難しく思っちゃう。


「——アさま…リア様——?」

「ん、うん?」

 呼びかけに気づいた時にはシエが目の前でワタシの顔を覗き込んでいた。

 何か失礼なことを言ってしまったのかと思っているのか、心配そうに眉を寄せていて困らせたかったわけじゃないけど、この顔をみれるなら困らせたくなっちゃくらい可愛い。

「どうかされましたか。なにやら遠くを見ていらしたようでしたので」

「そんなことないよ。ちょっと、そう。羨ましくって」

「羨ましい、ですか?」

「そ、ふふっ、でもシエは気にしなくってもいいことかな。ワタシもまだまだと思い知らされただけだよ」

「い、いえっそのようなことはありません。なぜならリア様は私にとって誰よりも素敵な主なのですから!」

「アハハハ、ありがとシエ。それと一応聞くけど、ヨナよりも素敵かな?」

「ぐ……ぅ、そ、それは…その…」

「アハハ、ゴメンゴメン。よぉーし、そろそろ彩音も起きてきちゃう時間だろうし、ワタシたちも降りようか。ここに居る姿を見られちゃったら説明も手間だからね。あと眠いし」

「そうですね。襲撃もなさそうですし、学校では私たちが傍におりますのでリア様はごゆっくりお休みください」

「うん、そうしよう。じゃあ行こうか、ヨナももう寝ちゃってるかな?」

「どうでしょう、もしそうでしたら毛布も掛けずに寝ているやもしれません。心配です」

「そうだね、自分のことだとその辺適当だから。ワタシが寝てると投げつけてくるときはあるんだけど」

 なんだかんだと言いながら、上着を寄越してくれたりする分には彼は優しい。ワタシと二人きりじゃないと発揮されないのがあんまりだけど。

(もっと普段から甘えていけばいいのかな。…でも人に見られるの恥ずかしいし)

 こんなことをヨナの前で言ったら『嘘つくな』なんて言われちゃいそうだけど、ワタシにだって恥はあるのだよ?


「じゃあシエから先に降りて。ワタシが落ちちゃったら受け止めてほしい」

「お任せください。たとえ手すりより先に跳んで行ってしまったとしても受け止めきって見せますっ」

 梯子を使わずベランダに降り立ったシエは此方を見上げながら、ふんすと息をはく。やる気満々、ワタシが落ちないためなら『四方界』でもなんでも使うんだろうね。

「よい…、しょっと。よし、問題なしっ」

 多少なりとも梯子を揺らしつつシエをハラハラさせつつ、ベランダに到着。

 胸に手を当てて安堵するシエの姿から、端から見た時の自分の姿はどれほど危なっかしいのかなんて想像するけど、きっと情けない姿だから止める。ワタシはカッコよくありたいのさ。

「ではリア様、先に朝食になされますか? すぐ眠られるというならベッドの用意をしますが」

「ねえシエ」

「はい、あ、お風呂ということもありました——」

「ヨナに会っても、大丈夫?」


「………ありがとうございますリア様、ですがご心配には及びません。私は私の意志を以って決定したのです。この忠心、決して揺らぐことはありません」

 ぱちりと瞬きを一つした後、シエは真っすぐな言葉で己の意思を伝えてくれた。ヨナとの関係性についてはワタシの我儘でもあるけど、やっぱり少し寂しい。

「…そうだね、うん。ならワタシの考えすぎだ、気を遣わせちゃってごめんね」

「いいえっ、リア様には何の責もございません。ですのでそのように謝らないでくださいっ。そ、その、どうすればよいか分からなくなってしまします…」

「アハハ、そっか。シエは可愛いね。ああそうだ、さっきの質問だけど…そうだな、まずは寝ちゃおうかな。今はまだ眠くないけど、ご飯食べたらすぐ寝ちゃうだろうし」

 すぐ寝ると太っちゃうかもだし。

「そうですか、ではすぐベッドの用意を——」

「いいよいいよ、ソファで寝るから。掛けるものくらい適当に部屋から持っていくし、シエは自分の準備をしていてよ」

 不思議なことにベッドでちゃんと寝るよりソファでだらける方が良い気持ちなのはなんでだろう。厳密には眠るためのものじゃないのにね。


「分かりました。では毛布だけご用意させていただきます。朝食は用意しておきますので、お目覚めになられましたら温めてお食べください」

「ありがと、シエの御飯は冷えててもおいしいのが不思議だね。ワタシじゃ作れないや」

「そのようなことはありません。あ、ですがリア様でしたら私が作る以上覚える必要はありませんよ」

「あはは、そうかもね。ワタシもヨナもそういうところではシエに頭が上がらないな。胃袋を掴まれるっていうのはこういうことを言うのかもね」

「喜んでいただけているなら私も嬉しいです。あ、そう言えばヨナギ様は目覚められているでしょうか」

「部屋にはいなさそうだったから、寝てるならリビングだろうね。さぁて、寝てたらイタズラしちゃおっと」

「リア様…それは……」

「ふふーん」

 さぁて、せっかくだし顔に落書きでもしてみようか。ワタシのソファ取られてるかもしれないから正義は多分こちらにある。


「おっはよぅヨナぁー…、起きてるかなぁー…?」

 静かにドアを開け、頭だけで隙間から覗いた先、角度的に足先しか見えなかったけど案の定、ソファに座ってるみたいだった。

(ふふ…、シエには悪いけどワタシはワタシでヨナへの想いを隠すつもりは無いからね。イタズラと言いつつこのままヨナのひっざまくらーっ♪)

 うきうきの心を抑えつつ、ゆっくりとリビングへの第一歩を踏み出して——。

「何やってる。どうせ変なこと考えてるんだろうが」

「…なんだヨナ、起きてたの」

「寝る気分でもなかったからな、予習復習して…。それも飽きたから本を読んでた」

「あぁ、その本か。合わないなんて言いつつやっぱりはまっちゃった?」

「そういうわけじゃない。ただ、シエが泣いてたくらいだったからな。何が引き付けるのかと思って」

「ヨナギ様、おはようございます。…あの、私はまだ上巻しか読んでおりませんので…、お話しの内容は伏せていただけると…」

「ああ、分かった。ただ、個人的に悪くなかったとは言っとく。…お前が好きな終わり方かは知らないが」

「そ、そうですかっ。では楽しみに読ませていただきます」

「………」

「? どうかされましたか?」

「いいや、なんでもないから気にしないでくれ。そうだ、朝飯ありがとう。美味しかった」

「お口にお合いしたのでしたら良かったです。時間も空いておりますし、もし何か食べられるのでしたらご用意いたしますが」

「いや、いいよ。腹は減ってないから」

「そうでしたか。それでは…、洗濯でも——」



 食事の用意が必要ないのなら次は洗濯、その後は部屋の掃除か。

 朝から働いてくれている姿に心の中で感謝しつつ、いつの間にか太ももに頭をのせてご満悦な表情を浮かべるリアの頭を片手で掴む。

「アテ、アテテテっ。ちょと、ちょっとヨナっ、結構力入ってるから…っ、ぐぬぬ」

 両手を使ってアイアンクローを外そうと苦心するリアだが、お前の力ではどうあがいても外すのは無理だ。

「もーぅ、ヨナったら膝枕くらい許してくれないの?」

「せめて一言いってからにしろよ。まあ断られたうえでやってくるんだろうが、順序ってのがあるだろ」

「だってシエと話してたし」

「そのことだけど、ダメだったみたいだな」

「んー、ダメっていうのも本来おかしいけどね。ま、ワタシの行ってほしかった方にはいかなかったね。あの子は、従者として傍に居たいんだって」

「そうか…」

 シエの様子がいつも通りだったから、そうなのだろうとは思った。

リアと話したことで何かしらの変化はあって当然だ、アイツが俺に対してどう思っているかはともかく、外側から無理やり意識させられたのだとしたら対応にも何かしら変化が起こって当然なのだから。

 けれど、以前と何も変わらない。むしろ硬くなった印象を受けるということは、シエの選んだ道を予想するのはそう難しいことじゃない。

「どこまでも、真っすぐだね。出来ればその想いを平穏な世界で使う機会を与えてあげたかったけど」

「全部終われば、可能性はある」

「それ、ヨナが言うの?」

「お前も似たようなもんだ。…それに、そうなるかはまだ分からない」

「そだね。それといい加減痛いんだけど…」

「ん、ああ悪い。どうにも掴むのにちょうどいい大きさだったもんでな」

 掴んでいたリアの頭を解放するとソファから離れて椅子に座り直す。

「あれ、こっちに居ればいいのに」

「枕代わりにされるのは目に見えてるからな」

 あのまま眠られたら後が面倒だ、今のうちに離れておくに限る。


「んんむ残念、でもヨナは寝てなくてよかったの? 今日も学校あるでしょ、勉強も」

「一日くらい寝てなくても問題ない。結局襲撃はなさそうだし、今日の夜はちゃんと寝ればいい」

「暇だったから、って言ってたけど…。そんなに面白かった? あの本、最後まで読んだんでしょ?」

「ああ、嫌いじゃない、ってくらいだったけどな。あの終り方、どうなんだろうとは思わないでもないが、…ああいうのも偶に読む分にはいいんだろうさ」

「ま、確かに。あの最後は何度も目にしたら飽きちゃうね」

 寝る気も起きず、やることも無かったから読んでいた小説。この前軽く目を通した時に恋愛ものだったのは分かっていたが、一通り目を通してみた。

 元々本を読む方じゃなかったし、ジャンルも普段目にする者じゃなかったから軽く目を通した程度の読み方だが。

「あの終りかた、シエはどう思うのかな」

「さぁな、それは俺たちに予想がつくもんじゃないさ」

 

 あの小説の大まかな流れはこうだ。

 主人公である少女は貧富の差が大きな街で最下層出身。しかしある偶然から名家の息子に見初められ、愛情を育んでいく。

 しかし彼らの周囲は当然反対し、主人公たちは様々な苦難に晒されることとなる。そして上巻の最後、主人公に向けて放たれた悪意ある攻撃を名家の息子が庇い、その怪我が原因で意識不明となる所で終わってしまう。

 シエがやけにハマっているのは、主人公の境遇がシエと近しいところがあるからか。多分、応援したくなるんだろうな。


 けれど、それも読んでみると分からないでもない。

「なんとも意地の悪い話じゃないか。幸せを常にチラつかせながら一番いいところで奪い去る。一度ならともかく話の区切りごとにやられるからな。アレ書いたやつは性格悪いぞ」

「どうだろう、書いてる内容がそのまま作者の内面に繋がるわけでもないだろうしね」

「どうだか」

 その上であのラストシーン。

 なんとも納得はいかない所があるが、あれで終わりだというのなら読者としてはそのまま受け取るしかないのだ。

「悪いわけじゃないが、スッキリはしないな。女はああいうのが好みなのか?」

「んー、そこでひとくくりにされるのはどうかと思うけど、ワタシもヨナと近いかな。別に嫌いじゃない、としか言えないかな」

「そうか、お前がそう言うならそう、なのか?」

「ちょっと、ワタシの評価を信じられないっていうのかい」

「信じられないわけじゃないが、評価内容が一緒だったせいで話の良し悪しについて話すことが無くなった」

「じゃあシエが読み終わるのを待とう。感想はその後で皆で話せばいい」

「機会があればな。っと、そろそろ時間だな。…おーいシエー、そろそろ学校行く時間だぞ」

「はい、すぐ向かいますので少々お待ちください——!」

 二階から掃除機の音に邪魔されながらも声が届く。いつもならシエはすでに制服に着替えて俺のことを待っているだけなんだが、今日はやけに掃除に時間が掛かっているようだ。

「後悔、させたいわけじゃないんだけどね」

「アイツが選んだことなら、俺は何も言わないさ」

「そうだね。ねえヨナ、シエのこと、ちゃんと見ていてあげるんだよ?」

「当然だ。アイツとは、シエとはもう離れようにも離れられないさ」

「ならよし、じゃあワタシは寝ようかなー。晩御飯には起こしてね?」

 毛布をかぶりつつ、頭だけ出して可愛らしくお願いしてくるリアにはため息で返事を返し、俺は制服に着替えるために自分の部屋に戻る。

 階段を上る最中、後ろの方で小さく抗議の様な声が聞こえてきたが、下に戻るころには寝言に変わっているだろうから聞く必要はない。今の言葉だって寝言のようなものだ。


「さて…、シエ、準備できたか?」

 さっさと着替えてリビングで茶を一杯、シエも遅ればせながら準備を済ませ、リアは予想通りぐっすりだ。

「はいっ、もんだいありません。あとはアヤネが——」

 シエがそこまで言うとインターホンの呼び鈴が家中に響く。

 窓から外に目をやると、こっちに気づいた皆方が笑顔で手を振っていた。

「待たせたら怒られるな、行くか」

「はい、何処までもお供いたします」

「そりゃあ…なんだ、大げさだよ。シエ」

「そ、そうでしょうか。ではまずは学校まで、ご一緒させていただきます」

「あー…、ああ。それくらいなら、まあいいか」

「はいっ」

 シエの選んだ道の先が、彼女の心をどう変えていくのか。

 それは俺に分かるわけもないが、良い方向に向かっていってくれればと思うくらいは、気っと許されるだろう。


「おはよ―二人とも、今日も頑張ってこうね!」

「おはようございますアヤネ、べ…勉強会の方がお手柔らかにしていただけると……」

「それはダメ、頑張っていこー」

「うぅ…」

「朝から元気だな、おまえ」

「今日一日を乗り切るためにも、朝から元気を出してかないと。夜凪くんもダウナー気取ってないで朝から笑った方が良いよ。やっぱり笑顔だよ、笑顔」

「気が向いたらな」

「もう、しょうがないなぁ。ま、それも夜凪くんらしいけど。ふふ」

 秋風が流れ、俺たち三人の間をすり抜けていく。

 朝から元気な皆方から発せられる熱をちょうどいいくらいに冷まし、どこか別の誰かに受け渡してくれるのか。

 それは俺たちではないし、皆方と付き合っていくには少し冷めたくらいがちょうどいい。

「そんなもんだな」

「おやぁ、夜凪くん。つまり気が向いたら笑顔を見せてくれるということ?」

「いつ来るか分かったもんじゃないのを待ち続けられるほど忍耐強かったか?」

「む、ああ言えばこう言う」

「ほら、足を動かさないと遅刻するぞ」

「アヤネ、実は私の準備がいつもより遅れたせいで時間がギリギリなのです…。そういえば今日はアヤネも少し遅れていたようですし…」

「えっ、ほ、ホントだ。私も今気づいたけど時間ギリギリだよっ。ああほら二人とも、のんびり歩いてないで走らないと——!」

「いやまぁ、遅れたら遅れたでそれは別に——」

「ダメですっ、ほらシエも!」

「は、ハイ!」

 このまま歩いていればチャイムが鳴ると同時くらいには教室に着くのだが、皆方は俺たちの手を取って駆け出した。

「お、おい」

「ほらほら、遅刻厳禁。こういうところでも成績に反映されちゃうんだからっ。あはは」

 慌てた様子ながらも楽しそうに笑う皆方。

 徹夜明けだから気が乗らない部分は大きいがそれでも、学校に行くくらいのことで慌ててみるという経験も、たまには悪くないだろう。


「よぉーし、今日も一日がんばろー!」

「ハイ、ガンバリマスっ!」

「………」

そう思わせる力を、その笑顔は持っていたから。

 皆方に気づかれないようにほんの少しだけ、姿勢よく走ってみることにした。

・リアの過去について

すいません、詳細はもうちょっと後になります。

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