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苦手な方はご注意ください。

マックス&ヘレン 魔法の世界で犬のカップルが結婚指輪を探すために冒険します(短編版)

作者: 江保場狂壱

 魔法の国フライシャーランドには、ブルドッグのマックスとプードルのヘレンがいました。

 二人は恋人同士で、いつ結婚するかヘレンに催促されました。

 マックスは結婚指輪を買うまで待ってくれと頼みましたが、ある日、カジノで貯金をすっからかんにしてしまいました。


 ヘレンは激怒しました。あなたは私と結婚する気がないのかと。マックスは落ち込み、酒場に足を向けてやけ酒を決め込みました。

 途中でセイウチの占い師が声を掛けました。セイウチは水晶玉でマックスの欲しいものを言い当てました。

 マックスは驚き、セイウチに詰め寄ります。

「ここから北にあるキャロウェイ山の中に指輪が眠っている。それを結婚指輪にするがいい」


 マックスはその話を聞いて喜び勇みました。ヘレンに内緒で友人の生きているバギーのクライドと共に旅立ちます。

 ですがヘレンはマックスが自分に黙って出かけたことに腹を立てました。同じく生きているバギーのボニーと共にマックスを追いました。


 キャロウェイ山には大首のルイが住んでおり、縄張りに足を踏み入れるものは容赦なく襲ってきます。

 マックスはクライドと一緒に逃げ回りました。やがて岩山の壁に叩き付けたのです。ルイは気絶しました。

 そこにシャムネコのメイという女性と出会いました。ルイに目を付けられ、食べられそうになったと言います。

 彼女はマックスのほっぺにキスをしました。


 それをヘレンが目撃してしまいました。彼女は激怒し、マックスをギッタギタのメッタメタに殴りました。

 「あんたとは婚約破棄よ!!」と三下り半を突きつけられました。メイはあんな女より私と楽しみましょうよと、マックスを自分の家に誘いました。


 メイの家は豪華絢爛で都会でもなかなか見たことのない豪邸でした。そこには数十人のセクシーな猫たちが出迎えており、マックスは山盛りの骨付き肉や果物に舌鼓を打ちました。


 ヘレンは泣きながら自分の運命を呪いました。ボニーもそんな彼女を慰めています。

 ところが途中でひそひそ話が聴こえてきました。それはおばけたちと話をするセイウチの占い師でした。


 セイウチはマックスを利用してキャロウェイ山に封じられた大魔神を復活させるつもりでした。指輪は封印を解くカギなのです。

 それをライバルのメイが横取りしようとする話を聞き、急遽動くことにしたのです。

 マックスを見捨てられないヘレンは姪の豪邸を奇襲しました。デレデレしているマックスに往復ビンタを食らわせましたが、マックスは激怒しました。牙を剥き出して威嚇します。


 メイはマックスを利用して指輪を取らせようとしました。彼女は永遠の命を望んでおり、マックスを生贄にするつもりだったのです。

 ヘレンは悩みました。マックスはメイにメロメロでは聞く耳持ちません。セイウチも大魔神を復活させて、世界を破壊するつもりなのです。

 ボニーは妙案を思いつきました。どうせなら指輪を手に入れられないようにするべきだと。


 その方法はセメントで指輪をがちがちに固めることでした。ヘレンたちはマックスたちより先回りして指輪を発見しました。強力なセメントで固められたために指輪はもう取り出せません。

 それを見てメイは怒り狂いました。身体は気球のように大きくなり、マックスを殺そうとします。

 セイウチも腹いせに魔法でおばけたちを召喚しました。キャロウェイ山は地獄となったのです。


 メイとセイウチが暴れている最中にマックスとクライドはぐったりと倒れました。

 それをヘレンが助けます。どうして俺を助けるんだとヘレンに尋ねました。

「あなたを愛しているからよ」と答えます。それを聞いてマックスは涙を流しました。


 キャロウェイ山はメイとセイウチの戦いで噴火が起こりました。マックスとヘレンは命からがら逃げました。

 メイとセイウチが慌てて逃げ出そうとしましたが、大首のルイが正気を取り戻し、乱入しました。

 逃げ遅れた三人は噴火の力で宇宙へ飛ばされてしまいました。もう地球へ戻れません。

 セメントで固められた大魔神の封印も同じく宇宙を彷徨う羽目になりました。

 

 ヘレンは道端に生えているタンポポで指輪を作りました。

「金のかかった指輪より、気持ちのこもった手作りが一番だわ」

 マックスとヘレンは家に戻りました。そして友達を家に集め、ささやかな結婚式を挙げたのです。


 そしてみんなが見ている前で誓いのキスを交わすのでした。


「でも当分カジノは禁止ね。お財布は私が管理するから」


 ヘレンにそう言われるとマックスはしょんぼりとなりました。

 アメリカのアニメ、ベティ・ブープをイメージしました。

 舞台のフライシャーランドは、制作会社の名前です。

 マックスは監督のマックス・フライシャーで、ヘレンはベティのモデル、ヘレン・ケインです。

 キャロウェイ山はジャズシンガーのキャブ・キャロウェイです。

 大首のルイは、サッチモの愛称で有名なジャズシンガーのルイ・アームストロングです。

 メイはベティの声を当てたメイ・クェステルですね。


 古き良きアメリカのアニメ映画を意識しました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 童話として出したら、可愛らしくて勇ましい冒険作品だろうな~と思いました。 童話なら、動物やしゃべる乗り物がいてもおかしくないですし、文化レベルも無視できますし。 動物の世界でもメスが強い…
[良い点] 生きているバギー(バイク)だとか、喋る動物たちは絵にしたら華やかになりそうです。なんとなく古い外国のコメディアニメのような雰囲気だと思いました。 結婚の話が出ているカップルが陰謀に巻き込ま…
[良い点] 起承転結、物語の流れはきれいに進行していてうまくまとまっている印象。 テンポよくイベントが次々と起こり、飽きずに読める工夫が感じられます。キャラクターはみな犬なのでしょうか。ビジュアルで想…
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