宝箱と 恋の再挑戦
さっきまで 涼やかな音色を奏でていた 銀鈴花まで 黙ってしまっている。
茫然自失で 立ちすくむ若者の肩を、ポムポムとたたきながら 森の番人は のたまった。
ーわけものよ、アオハルだから シカタナイワッシ。
あさって でなおしておいでわし。
それを聞いて がくっと 頭を垂れた姿は とてもいたいたしい ものであった。
ぽむぽむぽむぽむぽむぽむぽむぽむ。
森の番人は ひたすら たたき続ける。
そのうち あきらめたのか、若者は 想いびとに近づき そっと 跪いた。
「アニーアン、俺も 君のそばで 眠り続けよう。
俺の 宝箱を もう一度 君の笑顔で いっぱいにしたかった・・・
でも こうして 君のそばにいるだけで、もうー」
ふっ。
若者は 優しく 笑った。
「このほうが 俺にとっては いいのかもな。
君を独り占めできるのだから。
もう 俺の前から 消えないでくれ。
そしてー」
ーああもう、どうして 男って どいつもこいつも 後ろむきなのかしら!!
愛の告白を 途中でぶっちぎられ、思わず振り返ると 美しい七色の髪をした精霊が
こちらを にらみつけていた。
ーやあやあやあ、マリーファちゅあんじゃないか。
なになに きみも 見物にきたんかいな?
ささっ、ここに おいで
ーおだまり!!
森の番人を 一喝したのは 言の葉の紡ぎ手“マリーファ”その人出会った。
ー精霊王からの伝言。
“君と おもいびとにとって 大切な言の葉を 紡ぎなさい”
以上、お伝えしたから。
さっ、あなたも とっとと いくのよ。
アタタタタタタタタタ。
番人の耳を引っ張りながら 言の葉の精霊に 番人は 強制退場させられていった。
「俺と 彼女にとって 大切な 言の葉?」
若者は しばらく 考えにふけっていたが、
たいせつな ことを おもいだしたかのように
その顔を 笑顔で満たし 一瞬 大きく息を吸い込むと
大きな声で 言の葉を 紡いだ。
「マ ー サ お ば さ ん が こ ろ ん だ!!」




