表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/6

5話

 俺と白竜の戦いは空中戦になり、向かってくる火球を避けながら少しでも白竜の後ろに回ろうと必死にレストを唱えては火球を避けることの繰り返しだった。

「しぶとい奴じゃ。だがそれも時間の問題だ。この熱さでは貴様も貝もいずれ朽ち果てる」

 白竜がそう言い、火球を休めずに撃ってくる。

 何かきっかけがあればスキが出来る。

 それを待つ以外は避けるしかない。

 その時だった。

 レストが終わって、着地のタイミングで火球を吐かれた。

 無意識にドラゴンキラーを振るうと信じられない光景が生まれた。

 ドラゴンキラーの一太刀が火球を斬りさき、そのまま白竜の顔面に一撃を与えたのだ。

「ゲハッ!人間に傷をつけられるとはその剣はまさか!」

 白竜に言われるまでも無く、竜を殺すためにだけに作られた剣…ドラゴンキラーだ。

 まさかこんな効果があるとは思わなかった。

 ただし、これは貝の効果で溶岩地帯で熱さを抑えた状態だから出来た芸当だと言える。

 溶岩地帯でなければ俺は今頃熱さで蒸発していただろう。

 白竜2匹の頭は連続して火球を連打する。

 俺も意地になり、連続してドラゴンキラーを振り続ける。

 するとたちまち剣の一太刀が真空刃のごとく白竜の首や頭を切り刻む。

「まさか、その剣はドラゴン…」

 そう言い終えるころには白竜2匹は倒されていた。

 発光体となって琥珀色の宝玉に封じ込められる。

 決着は意外なほどあっさりと着いた。

(洞窟が崩れる前に脱出しよう)

 そう思う前に溶岩から黒いオーラが球体となって現れた。

 その球体はすぐに人の形をし、やがて黒い鉄兜とローブを纏った邪悪なオーラを持った魔術師に変った。

「フハハハハ!まさか、緑竜につづき白竜までやられるとはな」

 黒いローブの魔術師の男が喋る・

「私は黒竜。氷の国フェルナンデスにいる3匹目の魔竜だ。お前の命を貰いに来た」

 そう言うと黒竜は素早いスピードで俺に近づき、胸に一撃を入れる。

 その一撃で俺は吐血し、地面に膝をつく。

 恐ろしいほど早い一撃だった。

「フハハハハ!今日の所はここまでにしておこう!封印の宝玉は貰っていくぞ。返してほしければ氷の国フェルナンデスにある氷の城にこい。そこでとどめを刺してやる」

 そういうと黒魔術師の男は黒いオーラに包まれて消えていった。

 洞窟は落石していき入り口が塞がれた。

 このまま動けずに死んでいくのだろうか?

 その時青い霧に包まれて見覚えのある金髪の青い瞳のローブに包まれた女性が現れた。

「選ばれしものよ、ここで死んではならない。今脱出の術を唱えてやろう」

 ロゼの言葉聞く前に胸の一撃が酷く、そのまま意識を失った。



 気がついた時には俺は真っ白な神殿らしき部屋のベッドで寝ていた。

 体には包帯がまかれていた。

 魔竜と戦った後だから解ることだが、どうやら俺は悪運だけは強かったらしい。

「気がついたか勇者の紋章の騎士の資格を持つものよ」

 そこに居たのはロゼだった。

 こうして話すのは初めてだ。

 色々と聞きたいことがあったが、どれを言うべきか言葉に詰まる。

 ロゼが言葉を続ける。

「ここに着くことは必然だった。そしてこれから先のこともな…」

「貴方は一体何者なんです?」

「今はまだ答えられないが代々伝わる紋章の騎士の味方であることは確かだ。宝玉を奪った黒竜とこのまま戦っても厳しいかもしれない」

 ロゼは無表情でそう答えた。

 どこか人間味を感じない女性だった。

 代々伝わる紋章の騎士の味方という事はもはや人の年齢ではないのかもしれない。

 実態が人間の姿をしているが、そこには人の理解を超えた存在が人の姿をさせているのかもしれなかった。

「しかし真の敵を目の前にした時、その強大な力の前には自分の力が足元に及ばないことを知るだろう…」

 ロゼは無表情で淡々とそう告げる。

 足元にも及ばない…確かにあの時の黒竜を名乗った魔術師の一撃は凄まじいものだった。

 ドラゴンキラーがあっても勝てるかどうか以前にまた負けてしまうかもしれない…。

「それを超えるために強い運命と力によって導かれたのだ。力を得るには私の問いかけに答えよ。さすれば与えられん」

 ロゼはそう言うと俺に手を差し伸べてベッドから起き上がらせた。

 体の痛みはとっくに引いていたようだ。

 どういう魔法かはわからないが体中の傷が消えていた。

 相当高度な治療魔法をロゼは使えるのだろうか?

 謎は深まるばかりである。

「その問いかけに答えればいいんだな?」

 俺はロゼにそう言った。

「それでは問いかけを始める、よいか?」

「別に良いぜ」

 ロゼは俺をまっずぐと見つめる。

 とても美人なのでその青い目に心が揺れそうになるが、その目の奥には何か熱い英雄の様な志が感じられる瞳に思えた…。

 ロゼの問いかけが始まった。

「解らないことがあれば書物を読み、調べるか?」

「ああ。もちろんだ」

「災難にあったら自分より先に友を救うか?」

「そのために俺がいる」

「困っている者がいても見て見ぬふりをするか?」

「お人よしなんでね、そんなことは出来ないよ」

「暗闇に閉ざされても勇気を奮い起こせるか?」

「絶望は何度も味わってきたけど勇気は確かに俺の胸にあったよ」

「生きる上で必要な物は?」

「勇気と愛情と少しばかりのお金かな」

 ロゼはゆっくりとそして静かに良く解らない言語で呪文を唱えた。

 唱え終ると青い光の中に赤い鎧が現れた。

 まるで竜の皮のようなデザインの刺々しい鎧だった。

「問いかけは終わった。よくぞ試練を乗り越えた。選ばれしものよ、これが紋章の騎士の鎧。その鎧であれば残り2匹の魔竜に打ち勝てる力となろうぞ」

 俺はロゼの手から紋章の騎士の鎧を受け取り、身に着けた。

 着ていると力と勇気が湧いてくる気がした。

 この鎧とドラゴンキラーがあれば黒龍にも勝てるかもしれない。

「ありがとう、ロゼ。必ず大陸を平和にして見せる」

「その力は完全なものではない。それを完全にするのはお前自身、お前ならきっと出来るはずだ…」

 ロゼがそう言うと後ろで扉が開く音がした。

 振り向くとドアが開いており、外は吹雪が降っていた。

 ロゼの方に振り返るとそこにはロゼの姿は無かった。

 壁に文字が刻まれているだけだった。

「ここは氷の国フェルナンデスの端にある祠だ。ここから南に向かって歩いた先にフェルナンデスの街がある。そこから東にある太陽の神殿の火を灯せば道は開かれん、か…」

 ロゼとはまたどこかで会えそうな気がした。

 俺はベッドにまとめられている荷物を手にすると雪原へと足を踏み入れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ