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1-1-6:魔力測定の結果…『SSS』!?

「ごほっ、ごほっ…、どういうことだよ、全く!」


爆発の煙に咳込ながらそうアシュレイに告げるチハヤ。

どう言う事と言われても困る。

アシュレイはただチハヤに言われた通りに水晶球に手をかざしただけだ。

そう。ただかざし魔力を測定しただけだ。

結果が、水晶球がアシュレイの秘められた魔力に耐え切れず破裂し爆発しただけだ。

故に自分は悪くはない。

脆い道具が悪いだけだ。


「お主はいったい…外で何をしていたのじゃ!」

「何をしていたって言われてもな。ただ旅に出ていたくらいだが?」

「いやいや、ありえんのだ!なぜ……お主の潜在魔力値が格段に増大しているのだ!しかも未だ嘗てない測定不能ともいわれる値で!」

「………さあ?」

「嘘はいかんぞ。童には分かるのだぞ?この”千里眼”があるのだからな」


チハヤはアシュレイを睨むように自分の額を指でつつく。

そう言われては仕方ないか。

惚けようと思ったが、チハヤ相手では意味がない、と思い、少し前にあった事件での後遺症でこうなったと告げる。


「…むう。その事件の影響か…。一応童も一体何をしてされたらこうなるのだ」


チハヤが睨むように見ている記録プレートに目を向ける。

そこには、


【アシュレイ・バークレイン:潜在魔力値『SSS(トライエス)』】


と、記されている。

チハヤがアシュレイの潜在魔力値が増大して驚いているのには訳がある。


通常人の内在している潜在魔力は一定で変化しない。例外なく今までの研究の結果でそれが証明されていた。

生まれ持った魔力量は変化しないはずなのだ。

しかしアシュレイの魔力量は『SSS(トライエス)』。以前までのアシュレイの魔力量は『S』であった。

『S』の魔力量でも有り得ないとされるほどだった。


「まったく、もう。お主はいつも規格外で例外を作るんだから…」


「まったく困った奴だのぉ」とハアと溜息をつくチハヤ。


その後他の項目を行った。

結果は魔力量以外は1年前より減衰していると出た。



はぁ、と溜息をつきながら部屋を出るチハヤ。それに続くアシュレイ。

部屋を出たが、未だに教員の姿はない。

おそらくはチハヤの逆鱗に触れたくなく外しているのだろう。

今思い出すも、恐らくは新しく来る者が学院長の禁句を言うだろうと想定していたのだろう。よく理解している教員どもだ。


「あれこれ聞きたい所だが、もう良い時間じゃしな。お主も家にはまだ帰っておらんのであろう?」

「ああ。初音の両親は夕刻に此方に来られるらしいのでな。時間もあったし先にこっちに来た、と言うことだ。それに…」

「ん?それに?」

「帰って来て真っ先に顔を見せなかったら、チハヤ、拗ねてただろ?」

「な!?……」


顔を赤くするチハヤ。

どうやら図星だったようだ。

むう、と唸るチハヤ。

本当に変わらない。


「ふん。まあその通りではあるが……むう」

「膨れてないで俺のPlateを渡してくれないか?」

「膨れてなどおらんわ。まあいい。ほらコレを」


チハヤから更新されたPlateを受け取る。

受け取ったPlateの電源を入れ起動させる。

そして【学院魔法師データ】と出ているアプリを指でタップする。

するとPlateの画面に今の学院性としてのデータが表示されていた。


==========


【学院生名:アシュレイ・バークレイン】

在籍学院:エアリーズ魔導学院/4科生

所属科:教導科(マギナレイター)

【ステータスリスト】

○潜在魔力量:SSS(トライエス)

○魔力放出:D

○魔法操作:C

○魔装展開:E

【教導担当小隊…選考中】


==========


「俺、一年間在籍してなかったんだが、4科生扱いでいいのか?」

「うむ。学院を除籍されていたわけではないからな。それにあちこちで活躍をしていたのは知っているからの。学力的にも文句はないと判断したのじゃ」


12の浮遊都市やあちこちを旅している時に、面倒事に出くわし結果的に成果を上げていたのは確かだ。


「所属はお主の要望も考慮して教導科(マギナレイター)にしておいたが、それで良かったのかえ?」

「ああ。今の(・・)俺の能力は1年前に比べても減衰しているからな。今の(・・)状態だと【魔装】も展開できないし、魔法行使するにも魔導器(デバイス)の補助がいるからな」

「そうだの。今のお主であれば【魔法科(マギウス)】でなく【魔技科(デバイサー)】に所属することになるだろうかな。レルクザード君は喜ぶだろうがね」


そう言われて確かに喜ぶレルクザードの姿が浮かび嫌そうな表情を浮かべるアシュレイ。


「それで、俺が受け持つことになる小隊はまだ決まっていないのか?」

「うむ。今はまだ選び途中と言うところだね。入学してから既に1月が経過しておるからな。ほとんどの1科生は小隊を組み終わっているのだよ。まあ何人かはまだ組めていない者も確かにいるのでな。まあ明日には決めると思から楽しみにしているとよいぞ」

「そうか。それに関しては了解した」


そう言った後Plateをポケットに仕舞う。


「さてアシュレイよ。今日にしておくことは終えたわけだが、この後の予定は?」

「ん?…ああ、そろそろ初音も目を覚ますだろうし、家の様子も気になるからな。このまま今日は此処を出て家に戻るよ」

「そうか、家の方は君が出て行ったあとの、元のままの状態にしてあるから。さっ、用事が済んだことだしもう行きなさい。童はこの奥の部屋を元に戻さないといけないからね。他にもやる事があるしのぅ……あっ!それと学院内では童の事はちゃんと学院長と呼ぶのだぞ!」


右手をアシュレイにビシッ指さし左手は腰に当てながらそう呼び方を注意してきた。

その様は正直威厳もなくそういった振りが子供扱いされるのだが、アシュレイは胸の内に抑え込み「分かった。それでは失礼する」と、教院室を出た。


教院室を出ると初音のいる保健室に向う。


「いい加減目を覚ましてるだろうな…」


ドアを開けて保健室に入る。


「あっ!先生っ、大丈夫だった!?」

「いきなりだな起き抜けに…」


慌てた様子の初音になぜそんな風に慌てているのか不思議だったアシュレイ。

そんなアシュレイに「あはは」と苦笑しながら保健医の女性が説明してくれた。

どうやら初音も少し前に、と言うより先程の魔力測定の時の爆発音で起きたようだった。


「…なるほど、な。あぁ、初音、そこまで気にしなくていいぞ。計測の際に爆発することはよくあることだ」


それを聞いて初音が保健医の女性に『本当?』と目を向け、保健医の女性は『稀よ』と肩を竦めていた。


状況の説明後、先程チハヤ(学院長)から受け取っていた初音用のPlateを初音に渡した。


「お世話になりました」

「いえいえ。怪我をしたり健康に気になることがあったら遠慮なく来てね」


ベッドを借り世話になった保健医の女性にお礼を初音が言い、保健医の女性も微笑みながら手を振った。


保健室の扉を閉めると今日は学院に特に用はないので出ることにした。



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