1-2-4:もう一人のメンバー…【初音side】
レスターと共に待機室の方に向かっていた。
レスターも待機室でお昼を摂るつもりだったらしく、彼は既に待機室の場所を知っていると言うので案内され一緒に向かっている。
レスター・レディエル・カルテット。
彼の名前。
身長は自分より少し高い。
初音の身長は156㎝。レスターの身長は160㎝である。
サラサラの腰の上位の長さの青い髪をポニーテールに纏めている。
瞳も髪の色と同じ青。
彼の瞳を見て強い何かの決意が籠っているように感じた。ただそれと同じくらいの不安をどことなく秘めているように感じていたけど。
歩きながらレスターが教導官として付く先生の事を聞いてきた。
「あのアシュレイ・バークレイが教官を務めるって聞いてるけど、本当に大丈夫なのか?オレも正直会うのは初めてだと思うけど、噂は聞いてるんだよな」
疑問と不安らしい彼。
確かに先生は冷たい印象を相手に与えるし、他人を自分の領域に入れさせないところがあるは事実。
でも、
「その心配は無用わ、レスター。先生はやる時はやる人だから。それにね、意外と親身になってくれるしね」
両親から私に魔法の基礎を教えてあげてくれないか?と言うお願いをされた先生は時間のある時に教えてくれた。
分からないとこは全て教えてはくれない。でおコツをさりげなく伝え自ら学び会得していくスタンスなのだそうだ。
「そうなのか。まあオレの目標に近付けるなら何でもいいさ。せいぜい利用してやるさ」
レスターの目標と言う言葉に興味が出たので聞いてみた。
「レスターの目標って何?」
「うん?そんなの決まってるじゃないか。オレの目標はとにかく最高の魔法師となることだ。誰もが認める偉業を立てる事だ」
最高の魔法師……。
それを目指すのなら先生に師事するのは最高の相手だと思う。
なぜなら先生は誰よりも強い最強の魔法使いなのだから。
うん。私もがんばろう!とやる気を上げる。
歩きながらそう言えばと思いレスターに訊ねてみた。
「そう言えばなんだけど、レスターはもう、私達が組むもう一人の小隊メンバーの子とあってるの?面識はある?」
そう訊ねた瞬間、レスターは声を荒げ叫んだ。
「知るかよ!魔導器なんか使わないと魔法が使えない魔導師なんか!」
嫌悪感剥き出しのレスターに驚く。
魔法師は魔法を魔導器を介するしか魔法を使えない魔導師を見下す者もいると先生から耳にしていた。
だから始めはレスターもそんな一人なのかな?と思ったけど、レスターの雰囲気から違う様に感じた。
もしかしたら何か過去にあったのかと思ったけど、まだ知り合ったばかりの自分が踏み込んで良いのか判らなかった。一先ずこれから御互いの事をもっと深めた後日にでも聞いてみようと思った。
+
「ここが私達の待機室?」
「ああ。505号室。ここがこれからオレ達が使う待機室さ。ほら入れよ。ちゃんと綺麗になってるからよ」
そう言うとレスターが扉の番号を入力し開けると入る。
初音も遅れず入る。
待機室。
正直教室を小さくしたモノだと思った。
中には3つのデスクとイスが用意されていた。
3つ、つまり小隊メンバー分。
あとはロッカーに教卓が一つあるくらいだった。
とりあえずレスターが奥にある席に付いたので順にと初音は真ん中の席に座った。
そのまま初音達は昼食を取り始めた。
しかしながら昼食を摂っている間に、残りの3人目のメンバーの子が姿を現すことはなかった。
+
その子が姿を見せたのは2人とも昼食を摂り終えた数分後。
まもなく教導時間の開始の5分前でした。
(早く先生来ないかな~)と待機室で待っていると、廊下から走る音が聴こえ待機室前に来ると、慌ただしく扉が開いた。
「なに?」「なんだ?」とレスターと同じタイミングで扉に視線を向けると、そこには肩くらいまでのフワッとした赤い髪をした、なんとなくおっとりとした雰囲気をしてるなぁと思う金の瞳を持つ女の子が入って来た。よく見るとその子は何か長方形の大きなカバンを持っていた。
「ハァ、ハァ、…遅くなり…ました…」
急いで来たのかな。肩で息をしている今日からチームメイトになるその子に声をかけてみた。
「まだ、先生、着てないから遅れてないから大丈夫よ。私は魔法科1‐Aの初音・フュードリッヒよ。これから同じ小隊チームみたいだしよろしくね。あと私この土地に来たばかりだから不慣れ部分もあると思うの。よろしくね。えっと―」
「…は、はい!わ、私はミツキと言います。ミツキ・フォン・トリニティです!魔技科1-Ⅾです!…そのよろ…しくです…」
自己紹介付きの初挨拶を済ませた。
彼女はなんだかおろおろとしたどこか小動物ような子だなあ、と失礼かもしれないけど思った。あと彼女を一目見てどこか、誰かに雰囲気が似ているなと感じたのだった。
そしてもう一人に視線を向けた…。
先程から全然声を掛けてこないレスターに。
「あの、ミツキ、です。よろしく、お願いします」
「……レスター。よろしくするつもりはない。足手まといにはなるなよ」
「こら、レスター!せっかく彼女が挨拶をしてくれてるんだからそんな態度はいけないでしょ!」
「ふん…オレの勝手だ」
頬に手を付けながら目も合わせず彼女に対する彼の態度に諫めてみたけど改善するつもりが見られなかった。
ミツキもあたふたと動揺していた。
どうしてそこまで魔導師に毛嫌いするのか分からないけど、今後の小隊活動や訓練に影響だ出る、このままではいけないと思った。
そんな時でした。
「なんだ、もうお互いに自己紹介は済んでるようだな」
部屋に先生が入ってきた。