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1-1-8:夢の対話

夢。

それを夢と自覚できる者はいない。


しかし今アシュレイは自分が夢を見ていると自覚している。

夢の中であるという意識を持っている。


『なれないな、やはり…』


アシュレイの見ている夢の中。

その夢の中の空間は何もないただただ広い白い空間。どこまでも白い空間。

アシュレイはこの夢の空間を【精神世界】と称している。


何もない白い空間をただただ浮かんでいる。

魔法師であれば空を飛んでいる感覚は息をしているのと同じである。

しかしこの空間は違った。

どこか歪な感覚がこうして浮んだ状態でも感じ取れている。

一瞬でも気を抜くと、瞬時に崩壊し消える。そんな感覚がずっとあるのだ。

常人であれば数分もいれば発狂するのではないだろうか。


『”やぁ~どうだったぁ、故郷の地に戻ったのはさぁ~”』


周りを見渡していると女性の声が耳に入る。

思わず表情を険しくするアシュレイ。

その声が聞こえた方に意識を向ける。するとそこには先程まで居なかった女性の姿があった。


見た目は人間の女性に見えるが、一般的な人間とは異なる部分が多くみられる。

まず角がある。普通の人より尖った耳の上に左右同一の角が存在している。

髪は長く、その白色の髪は足の膝くらいはある。そして一部の白色の髪はまるで意思でもあるかのように異形の女性の腕に絡みついている。

明らかに人ならざる異形な姿をした女性が妖艶そうな仕草で浮かんでいた。


そしてお互いの視界が同位し、異形の女性は血の様な深紅の瞳を妖艶な笑みを浮かべアシュレイを向かえた。

アシュレイは表情を変えず先の質問に答える。


『特に感慨なんてねえよ。離れていたのはたったの1年ちょっとだ。お前の様な異端存在と違って1年くらいで懐かしいとか思わねえよ』


適当にあしらいつつ「そんな話などどうでもいい」と答えると本題であるお互いの目的である標的について尋ねる。

それに不満そうに頬を膨らませる異形の女性。先程の妖艶さが消えただの子供の様に映る。


『”ぶぅ~面白くないわねぇ、もう”』

『別に俺はお前を面白くさせるためにいるんじゃない。いいからどうなんだ?【アイツ】の魔力を感じ取れたのか?この精神世界は長くないんだ。それは分かっているはずだ』

『”そうねぇ。お互いの目的でもあることだし真面目にしましょうか。早く終われば色々話を聞かせてくれるかしら?あの人の子とかとどう発展してるかとかね”』

『そんな暇はない。対話が即終われば眠る。明日から教導なんだ。寝ぼけて行くのは格好が付かん』

『”それはそれで見てみたいわね。あなたの寝ぼけたところ♪”』


アシュレイは睨みを利かせる。

おっと、怖い怖いと笑う異形の女性。


『”うふふ。まあこのくらいにしましょうか。まあ結論から言うと感じたわ。【アイツ】の微かな魔力の痕跡をね”』

『そうか。微かでも感じ取れたと言う事は【アイツ】はこのエアリーズの空域のどこかに潜んでる可能性が高いわけだな』

『”微量だから断定できないけど、可能性が高いと思うわね”』

『ならいい。可能性があるなら炙り出してやるさ。あの【事件】での借りはきちんと獲ってやるからな。そのためにも…』

『”わかってるわ。我らの目的は一緒。【アイツ】を仕留める為なら協力は惜しまないわ。でも…どうしてエアリーズ(此処)なのかしらね”』

『さあな。【アイツ】の目的なんざ知らん。ただここで何か企んで暴れるつもりなら』


『「―”その時は徹底的に恐怖させて深い後悔の渦に落とす!”」』


アシュレイと異形の女性は決意の声を合わせた。


そして、


『なあ、これ、本当にしないといけないのか?』

『”ウフフ、もちのろんよ♪”』


本当か?と疑うも、アシュレイは異形の女性と正面からその両手を握り合う。

魔力の循環は円が効率が良いとは知っているから向かい合い両手を繋ぎ合うのは確かなのだろうが。

そしてさらに密着する。豊満な異形の女性の胸が当たるが気にしない。それに若干女性は不満気だったが、(朴念仁のアシュレイじゃしょうがないわね)と心の中で呟く。

密着した状態でお互いに目を閉じる。

そしてお互いの額をくっ付ける様に合わせる。


そしてアシュレイはそのまま『共鳴(レゾナンス)』と口にした。


するとお互いの体から魔力が放出される。

アシュレイの白朱色の”正”の魔力と、女性の黒みのある白の”沌”の魔力。

その二つの異なる魔力は重なり合うように一つに交じり合わさって2人の体を包み込んでいく。


『”共鳴(レゾナンス)完了――”』


アシュレイとも、異形の女性とも違う声が響いた瞬間、【精神世界】がシャットダウンされ白い空間は消えた。


=======


【データ】

○異形の姿の女性

人ならざる姿をしている正体不明の女性。

なぜかアシュレイの精神世界に存在している。

いたずらぽい性格で相手を揶揄うのは好き。ただ構ってくれないと不満になり子供っぽくなる。

人と異なる【沌】の魔力を有している。

△年齢20代に見える。いくつか不明。

△髪白色で長いロング。一部両腕に絡まっている。

△瞳は血の様な真っ赤。

△見た目:妖艶さのある女性。胸も大きい。自慢の一つであるがアシュレイには効かないのが不満。身長はアシュレイよりは低い。

△目的:【アイツ】と呼ぶ存在を敵視しておりアシュレイ共通の敵の排除。






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