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初めての蜥蜴人 それぞれの思いと縁ある人

お待たせさせています。


あれから森林狼に出会う事なく、俺たちは無事集落へと辿り着いた。


たった3日空けただけなのに、集落が非常に懐かしく感じる。

出迎えてくれた下位蜥蜴人の門番さんに未だ傷が癒え切ってないボンボンさんの容態を説明して任せた。


門番さんに族長宅へ向かえと言われた通り、このまま休憩もせずに族長宅へと進む。



族長宅にはこの集落の殆どの人数の下位蜥蜴人、蜥蜴人達が集まってきていた。

しかし、どのリザードマン達も表情が冴えない。

それは族長率いる討伐隊が何故か人間をここへ連れてきた事を目撃していたからだ。


人間と族長はそのまま族長宅へと入り、何の音沙汰もない。

先程はボルデッカ最長老が呼び出されて中へと入っていったきりだ。

集まった蜥蜴人達になんの説明もなく事の真相が分からないいま、不安な表情を浮かべている者も多い。



到着すると俺たちの帰還に皆が安堵の表情を浮かべ、労ってくれた。

いくら最長老であるボルデッカの言いつけとはいえ、子供達だけでの異例の討伐にリザードマン達が心配していたって事である。

そして、誰もがシディアンさんの種族進化した姿に驚きつつも、喜んでくれていた。

一般的に種族進化とはかなり長い年月をかけて到達出来るものであり、この集落では早いリザードマンなら15年、遅くとも20年になるまでには才能のあるリザードマンならば進化していたようなのだ。

シディアンさんは22歳。産まれてから誰よりも才能のあるリザードマンと言われながらも一向に進化の兆しが無かった。

本人はかなり焦っていた…ここ最近は半端諦めているのだと、親しい友人に漏らしていたようなのだ。

今回晴れて蜥蜴人へと到達したシディアンさん。彼女がそう胸の内を漏らしながらも諦めなかった事が今回の進化に繋がっていたに違いない。


内々の話だった内容なのだが今回その知人からうっかりと嬉しさの余り漏らしてしまい…皆に知れ渡ってしまう。

シディアンさんはポーカーフェイスのように1㎜も表情は動かさなかったが、尻尾は盛んに左右に揺れ、元々赤色の体色の体を更に鮮やかに紅くして恥ずかしがっているように思えた。


普通のリザードマンよりも存在値を必要とするリザードマンになった彼女は、元の才能と含めてもかなり強力な存在となった。

後でシディアンさんのステータスカードを使って貰い、調べさせて貰おう。





そのまま雑談へと入り暫く待っていると、族長宅の奥間から足音が聞こえ始めて次々と討伐隊の面々が外に出てきた。

どのリザードマンも慎重な面持ちなのが雰囲気から伺える。

ボルデッカも厳しい顔付きをしていたが、此方を一瞥した時はふっと柔らかな表情を一瞬だけ覗かせた。


俺たちは一先ず雑談を止め、じっと待っていると族長が最後に姿を現した。


「おお、皆が集まったようだな。

沼蛙討伐へと向かった子供達も帰ってきているな。シディアンもお目付け役ご苦労だった」


最初にそう断りを入れ、シディアンを見た族長は僅かに目を細めただけで、話の本題へと移った。


「まずは今回何も事情も説明せずに人間を集落に入れ、皆を不安にさせた事を詫びよう。

緊急だったのでな…討伐隊の面々にも詳しくは話しておらん。


最初に我らが今回目的であった森林狼どもの群れは討伐を完了した。

しかし、これを率いる群れの上位種1匹と複数の森林狼は形勢が悪いと判断するやいなや、すぐに逃けて出してしまったのだ」


注意喚起を促しながらそう伝えると、脇に控えた蜥蜴人が50匹以上の狼の毛皮と思わしき剥ぎ取り品をドサドサッと足元へと置いた。


皆から歓声の声が聞こえる。上位種を逃したと言え、コレはなかなかの戦果だ。


それとなるほどね、俺たちが奴らに遭遇したのはそう言った訳なのか。


シディアンさんが族長に帰りの道中に遭遇した件を話して、此方も上位種であるラウンドウルフの毛皮と何体かの森林狼の死骸を見せた。


確認した族長からは感謝と労いの声、そして今回の任務と合わせ後で褒美をとらせると確約してくれた。

まぁ運が良いのか悪いのか…まぁ誰も死ななかったし、ボンボンさんも無事だった。

シディアンさんが種族進化を果たす為の糧だったのだと思おう。



「今回皆に集まってもらったのは他でもない。

我らが逃げた残党を追って出向いた先に、人間通しの戦闘があり、そこで混戦となった。

縁が重なり、今回集落へと招いた客人の方を助けた」


騒つく周囲を見渡したのちに一拍置いて、今回集落に招いた人間はこの白鱗の氏族との関わりが深い人物だと言う。


「皆はこの湿原帯に災いを齎した巨大な魔物を覚えているだろうか?

初代族長が行方不明となっていた70年も前に、突如この辺り一帯に出現した忌々しき蜻蛉型の魔物だ。

ヤゴでと呼ばれる幼体から食欲は旺盛で、生息地であった湿原地帯の魔物以外にも、我らの同胞が幾人か食われ犠牲となった」


沈痛な面持ちで唐突に話し始めた内容に訝しがるリザードマン達。

無論、彼らは覚えていた。

湿原に居を構える彼らにとって当時の〈白鱗の氏族〉が分裂したキッカケでもあったからだ。




ヤゴは出現した沼地の魔物を3年で喰らい尽くし、時折沼地に近付く魔物すら襲い始めた。

それから脱皮をして成体となったばかりの奴は8枚もの翅を兼ね備え体長も6mにもなっていた。

翅を得た奴は空を飛び回り、湿原地帯の至る所に襲撃をかけた。

幼体だったヤゴの時に比べれば食欲も落ちたようだが、空を飛び回ることで脅威度は跳ね上がり、時に大森林を飛び越えて近くの人間の小さな集落すら襲い始めていた。



その巨体は竜や亜竜に迫る程の体格を誇り、鋏型の変幻自在に動かせる尻尾。エメラルドグリーンに光る外殻は軽さと硬さを兼ね備え、並の武器など跳ね返せよう。


更に風属性を自在に操り、虹色に煌めく翅羽ばたかせて高速移動を可能にしていた奴は出会う全てに例外なく大量の死を撒き散らした。

恐怖と鋏のように伸びる尻尾で攻撃してくる巨大な形態から風大鋏尾蜻蛉エアロシザーズ・ヤンマと名付けられた。



当時の集落では、ボルデッカ最長老の前の族長であるリザードマンが、度重なる襲撃に対して討って出る為に、大規模な討伐隊を編成していた。

白鱗の氏族が分裂前の集落は500人を抱える大所帯で、戦闘系リザードマンを多く抱えていた。

しかし、その数を頼みに討伐に挑むも空を自由に飛び回る奴を仕留めるには決定打が足りず…至難を極めた。

数多くいたリザードマン仲間は1人、また1人と命を落としていった。






遂に50名近くを食い殺され、徐々に追い詰められていくリザードマン。

しかし、ただやられっぱなしではない。

弓や投擲などで翅に集中的に攻撃を重ね、一対を根元からもぎ取る事に成功していた。

犠牲は大きかったが野放しにしておいてはいずれ集落は滅ぶ。

未来のために次にまみえた時は、総員特攻してでも何とか葬り去るしかないと結論が決まった所で、集落に訪れたのが今回助けた客人の1人だった。





「我らが偶然にも助けられたのは、縁あってのことなのだろう。

かの人物はあの輝翔の勇者のお仲間の1人、聖者バリフェル殿だ。


先程最長老に確認してもらった。

私こそ子供であったが、父であるボルデッカは1戦士としてその戦に身を投じていたから見間違える筈もない。

バリフェル殿は人種に関係なくあの戦いの全ての関係者を癒してくれた。

無論、我らの同胞の命が助かった者も多い。

そこで我が部族たる〈白鱗の氏族〉は昔だったからと助けて貰った恩を忘れるのか?…いいや、皆よ違うだろう?」


ん、バリフェル??

王都の爺さんと同じ名前じゃないか。いや〜懐かしい名前を聞いたもんだ。


促されて奥から代表して1人の人間が歩んできた。

出てきた所で俺の思考は真っ白になり、その人物に釘付けとなる。


汚れてはいたが、黄金に白地の神官服を身に纏う高齢の人間。



まさかまさかまさか…。

俺の胸は緊張と期待、不安とで張り裂けそうな程高鳴り続けていく。


宮廷でも充分通用する綺麗な一礼のあと、話し始めた人物は…。


「族長たるシュシュバルガ殿、まずは感謝させて頂きます。

ここにいるわたくしめと小さな子供の1人。この集落の滞在をお許し頂き誠にありがとうございます。


昔、かつてのルミナス神殿から託宣を受け、当時修行中だった私に輝翔の勇者様のお供として選ばれ修行の途中でありました。


パーティには教会から選定された輝翔の勇者様、そして紅蓮剣バーンストリームの名を継ぎし女傑アニエラ、連星の剛弓を操りしレダ、妖精族の歌姫ミネルヴァ、勇猛たる双影盾の担い手ガーラント、最後に私ことルミナス教兵団 戦闘神官たるバリフェルの6人。

当時、空を跳ぶ巨大な魔物が人々を苦しめていると噂を聞き付けた勇者様が、討伐しようと決心された事でこの地を訪れましたのが始まりです」



襲撃を生き残った人々の目撃情報から大森林を生息地としていると見抜き、前人未到の大森林を探索中に戦闘音と怒号が聞こえてきた。

慎重に近寄っていくと巨大なエアロシザーズ・ヤンマを相手にリザードマンの族長率いる決死の戦闘を目撃し…勇者がパーティの反対を押し切り義勇の精神として救助した。

その精神に感銘した族長は人間とはいえ、もてなさずにはおられんと、身振り手振りで集落へと招いたのだという。

そこで感謝の品として宝物庫から蜥蜴人言語を話せるマジックアイテムを贈られた。




なるほど…正に今回の件とは正に正反対の出来事だ。



そして同じテーブルで作戦会議を開き、勝算をもって討伐戦は開始された。


「あの時私達は準備していたアイテムで周囲に隔離結界を張り巡らせ、更に魔法結界を重ねがけする事でエアロシザーズ・ヤンマの空での機動力を封じ込め、結界内に閉じ込める事に成功しました。


それでも戦いは一昼夜にもおよび、多くの犠牲のもとに輝翔の勇者様はエアロシザーズ・ヤンマとの死闘の末に討伐する事に成りました」


誰もが黙ってバリフェルの話を聞いている。

実はこの話は集落のリザードマンなら誰でも知っている話で、子供の時に英雄譚として読み聞かせられる話の1つだ。

勇敢なリザードマン族長と人間とが力を合わせ、空の災いを払ったのだと…。


勇者はこの戦いで仲間である連星の剛弓のレダを亡くし、リザードマンは無数の仲間と先陣を切って戦い抜いた族長を亡くした。


このエアロシザーズ・ヤンマは湿原に多く生息する昆虫型の魔虫でも恐らく亜種などの特異個体…何らかの変種だったのかも知れない。

その強さは、迷宮と呼ばれる下層に出現する門番、通称守護者と呼ばれる特別な魔物ように強かったのだとその戦いで生き残ったアニエラは弟子に後に語ったと言う。







リザードマンからは戦闘終了後に感謝の印としてエアロシザーズ・ヤンマの素材を複数(4枚の翅と鈍色の脚、甲殻を持てるだけ)渡した。

そして困った時には何時でも力を貸すと確約したのだ。


それから彼らはどうなったのかはリザードマン達は知らないが、きっと彼らの旅が成功したのだろうと信じていた。




俺もリザードマンになってこの話を聞いた時、人間って捨てたもんじゃないなーって思ったもん。

輝翔の勇者の物語は本になっているが、この話は書いてなかったし王国には余り普及していない。

何故なら彼らは試練を乗り越え、旅の途中に消息を絶ったからだ。

物語としてもそこで何らかの脚色のような解釈が入り、中途半端に終わっていて未完結のようでスッキリしてない。

しかし、バリフェルの爺さんは凄いと思っていたが、まさか勇者の仲間だったなんてな。

爺さんが生きて戻ってきてるって事は…少なくとも勇者は生きてるって事なのか?どういうことなんだろう?














遠い昔を思い出し、少し目を瞑ったバリフェルは柔かな笑顔で話を続けた。


「私がこうして皆様とお話が出来るのは先々代の族長殿が生前に、感謝の品にと同胞に対する贈答品として蜥蜴人言語を訳する魔法の指輪を譲り受けたからです。

まさか、このようなご縁があるとは…ルミナス神に感謝しなければなりません。

そして今日こんにち我らを追手から救ってくれたシュシュバルガ殿達の奮戦により、生き長らえる事が出来ました」


そして話の最中に奥の間からひょっこりと小さな6歳ぐらいの小さな子供が1人顔を覗かして此方を見ていた。


しかし、話を真剣に聞いている大人達は誰も気付いてないようだ。



しかし改めて見ても間違いない。

少しやつれてはいるが、丁寧に撫で付けられた白髪姿の神官はバリフェルの爺さんだ。


思わぬ再会に喜びよりも、驚愕が勝った。

しかし、爺さんといるあの子は誰なんだろう。

追手が掛かってるなんて、一体何が起こってるんだ??


あぁ、情報がなさ過ぎてよくわかんないぞ。

でも、無事にまた出会えた奇跡にただ感謝を…。聞きたい事も多いし、機会を伺いながらバリフェルに会いに行こう!

























その夜、小さな規模ながらも歓迎の宴が行われた。

子供達は普段より豪華な食事にはしゃぎ疲れ、早々に帰って入眠した。

大人達もひとしきり騒ぎ終えた後、宴の余韻に浸りながら眠りにつく。


そんな皆が寝静まった集落の隅にて、人知れず剣を振るう一体のリザードマンがいた。

剣先まで力が込められているその姿は、力強くまるで剣と一身となったように惚れ惚れするような美しさがあった。

一通りの動作を確認し終わったのち、深い呼気を吐く。そして誰もいない暗闇の空間に声を投げかけた。


「コソコソと見なくとも良いわ。出てくるのじゃ」


苦笑気味に促されながら暗闇から現れたのは、この集落の族長 シュシュバルガ。その手には酒瓶を2つ持ってきている。


「最長老…いや、誰もいないから親父殿よ。剣の修練など珍しいな。どうしたのだ?」


そう答えながら、片手で1つをボルデッカの方へと放り投げた。


「パリフェル殿から助けた礼にと頂戴した。親父も呑むだろう?」


「おお、それは有難いのぅ。人族が作る酒は美味いんじゃがなかなか手に入らん。呑ませて頂こう」


無言で酒瓶をラッパ飲みする2人。


不意にシュシュバルガが尋ねた。


「味わい深い酒だ…さて親父殿が鍛錬する時は決まって何かがある時だ。しかもとんでもない事が…な」


「ふん…なぁに、儂の勘が囁くのよ。

今鍛錬しておかねば後悔する…とな」


呑み干した酒瓶を名残惜しそうに地面に置いた。


「それはそれは…親父殿の勘はよく当たる。しかし、俺や親父殿がいても何とかならんのか?」


ともすればシュシュバルガの言葉は傲慢とも受け取れる。

しかし、そう言い切れるだけの戦士としての技量を持つからこそ、言える言葉だった。

この近隣の魔物ならば束になろうともシュシュバルガにとっては相手にならないし、事実自分よりも力が強い者と戦い勝利してきた。

紛れもなく達人の領域…その実力が上位蜥蜴人シュシュバルガにはあった。


「それはわからん。

儂はな…集落を大きくし、皆の安全を考える事に慢心する余り、自らの修行を少しずつ怠っておった。

しかし、その甲斐あってかお前達リザードマンの中でも優秀な戦士階級を育て上げる事が出来た。

この結果に満足しておるし、後悔なんぞしとらん。しかしなぁ…最近感じるのじゃよ。

何か大きな流れが儂らを飲み込んじゃないか…とな。

先々代はあの戦いで最期まで守る為に剣を振り続け…重傷を負いながらも、奴の残った全ての翅を叩き切った所で隙がでての…喰らいつかれて倒れた。

しかしじゃな、その死に顔はとても安らかじゃったよ。儂には忘れられん」


力無き者は死ぬ。そして、己が大事な者達すら守れんぞ…そう言い残して逝かれた。


ボルデッカはようやく一人前になった族長に集落を委ね、自身はまた再度修行する必要があると説く。

最近魔物の活動が活発なのだ。ここよりも遠くに生息する森林狼達が良い例に上げられる。何かが起ころうとしているのだと感じていた。

確かに身体は年老いて鈍くなった。しかし、剣の技量は他の追随を許さない。

儂は更にこの上を目指す…と宣言した。




達人級の腕前を持つシュシュバルガだったが、全盛期よりも老いたこの父相手に勝てるかどうか分からなかった。

力は間違いなくシュシュバルガが上。しかし、技量はまだボルデッカには遠く及ばないと感じていた。


俺は考える事が苦手で、全力で斧を振ってる時が一番安らぐ良くいるリザードマン体質だ。


過去に強敵と戦い、その素材で作った愛用の骸斧を眺める。

蜥蜴人に進化した若りし頃に、折角なので集落を出て武者修行として北方の大森林を探索中に遭遇した魔物である。名は…確かコングベアー。

異常に発達した腕と爪、そして2mもの体躯でありながら木々をうまく渡ってしかけてくる素早い攻撃に戦々恐々としたものだ。

当時は二体だけの遭遇であり、相手のフィールドで辛くも討伐する事に成功した。

背骨や腕筋が巨大で金属のように光沢のある骨を気に入り、持ち帰ってきたのだ。

両手持ちの立派な骸斧は、それを加工して斧に仕立て上げたモノだ。


あの時の戦いはただただ強敵を求め、自身の為に戦ってきただけだった。


族長として自分はこれから何が出来るのだ…と、ボルデッカの想いを知り、自身もまた考えてみようと思った。



その沈黙の間に考え込む息子シュシュバルガに、余計な不安にさせ過ぎたかと苦笑してしまった。

話を変える為にも、新しい話題を提供する。


最近は将来が楽しみとなる子達もいるしの…との前置きのあと、シディアン(まごむすめ)から聞いた情報を族長に話す。


「そう言えば知っておったか?あの初代のように白の子は魔法を扱えるそうじゃ」


シディアンの蜥蜴人の種族進化を祝った時に教えてくれた情報だった。

そのきっかけとなったラウンドウルフ戦で、どうやら黒く光る槍のような魔法を放ったそうなのだ。


それは初めて知る情報だったのか、大きく眼を見開いたシュシュバルガ。

儂も聞いた時は本当に驚いた。

魔法を使えるリザードマンはかなり希少性が高く、この集落では未だ白の子を除いていない。

この新しい世代が産まれた意味…良く良く考えねば成らぬな。



それにルタラの成長やドルゾィの成長は、間違いなくこの集落を担う有望な若者となるに違いない。



他にも何か隠していそうなシディアンだったが、無理に聞き出す事はやめた。

何か理由があるのだろうとボルデッカは感じ取っていたからだ。


苦楽を共にした愛剣を眺め、悩むシュシュバルガを見、自身の作った集落を見渡す。


やれやれ、この歳になってもまだまだジジイに働けという事だのぅ。

こうなれば新しい世代を導き、共に鍛えねばならん。

ついでに若い頃に出来んかった迷宮やら遺跡やらも探索してみようかのぅ?


そう思えば不吉な予感にも不思議と活力が湧いてきたボルデッカだった。








これより後にボルデッカの勘が囁く懸念は、徐々にこの世界を覆う胎動として始まりを見せている。

非常にゆっくりとだが、争乱の歩みは近付こうとしていた。


後で再度見直して修正や誤字脱字、削除や加筆修正などさせて頂きます。

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