コルセア
掲載日:2015/04/09
クローゼットから
出てきた箱がひとつ 中には
透明なケースに収められた
手のひらよりも大きいくらいの
模型の飛行機
マスタング ウォーホーク
グラマン リパブリック
何度か教えてくれたけど
耳に残ったのはロッキードぐらい
夕暮れの光の中
模型を見ながらコーヒーを飲む
たしか名前はコルセア
艦上戦闘機 だったかしら
なにも残さないでねって
あれほど言ったのに
2度目の春が温かい風を
空っぽの部屋に連れてくる
すっかり暗くなった部屋に
ひとつだけ残ったランプ
模型を手に持って
スイッチを入れる
壁に飛行機の影が浮かび上がる
ケースはまるで存在せず
翼が風を含んで
今にも地上に降り立つよう
かつてこの壁は
仲間の飛行機でいっぱい
舞い上がり 風を切り
身をひるがえし 雲をめざし
地上をはるかに離れて
どこか遠くへと
コルセアは今
ひとりぼっちで地上に降りる
空港も滑走路も無い
ここがどこかも分からない
あの人といっしょに
みんな飛び去ってしまい
コルセアは空を 私は
翼があることを忘れていた
私の部屋の花瓶の横に
コルセアを隠すように置く
あの人の部屋より少し狭く
あのランプも無いけど いま
プロペラは窓に向かい
翼は強い風を待っている
男性の私が女性の視点で書いた詩なので言葉づかいや言い回しにあまり自信がありません。お気づきの点がありましたらお気軽におっしゃって下さいませ。




