ゲームの噂
閲覧ありがとうございます!
この作品は命を軽く扱う描写があります。
出血や肉体の欠損の表現なども含まれています。
主人公の生産系アビリティはまだ未登場です。申し訳ありません。
作中、筆者の力量が至らず御見苦しい部分もあるかもしれませんが、おつきあい頂けたらと思います!
ある噂があった。
今では珍しくないVRMMO方式が現実化した《ドミリア・オンライン》通称DOと呼ばれるもの。異世界ドミリアに召喚された地球人という設定で生活から戦闘まで楽しめる多種多様の遊び方がウリになっている。
そのゲームにはこういった噂があたっていた。
――プレイヤーの多くが行方不明になっている――
最初は眉唾であると言われていたが、トッププレイヤーの一部が行方しれずになり、噂が信憑性を増した! そうインターネットで物議を醸し出していた。もちろんソースは存在せず、確固たる証拠があるわけでもない。ただ偶然にも消えた人々が《ドミリア・オンライン》をプレイしていた事実があるだけだ。
それでも夏の怪談のごとく子供の間では噂になり、地球の生活に嫌気がさした人々はプレイを続ける者もいた。いつかくだらない世界を飛び出し本物のドミリアを冒険する自分を夢想しながら。
そんなプレイヤーは全体の一割にも見たないだろうが。
質量や現実味のあるバーチャル・リアリティの世界はハマった人々を虜にし、ほのぼの生活する者や戦いに身を投じる者などに分かれていた。
職業は多すぎて目移りするほどで、組み合わせにより別の職業へ発展できる。さらに職業のランクをあげれば枝分かれした選択肢を選び、職業の特化を攻撃や防御などに分けられ職業それ自体も変化する。
インターネットの情報サイトなどにも乗っていない隠し職業は、発見されるなり情報を求め何人ものプレイヤーが発見者をつきまとう異例の事態に発展したこともあった。
ゲーム内の時代はドミリア星暦 1224年。
世は混迷を極め魔物と戦争している世界観である。
しかしゲームのなかで世界は滅びたりしない。好き勝手に生きられた。
中にはプレイヤーキラーやプレイヤーとの対戦に熱中する者もいた。
現実離れした動きが出来る戦闘は自分が物語の登場人物のように動ける。
幼少の頃にマンガの必殺技を練習していた年配者にも大受けだった。
噂のことなど忘れ、時間を忘れ熱狂的なファンになるプレイヤーは星の数ほどいた。
巨額の予算を投じられ制作されたVRMMOの噂は消えなかった。プレイを続けると行方不明になる。そう言われ続けていた。
事実またプレイヤーが行方不明になった。
一気に数百人もの人間が忽然と姿を消す。
そんな事態があってもゲームは稼働。
新たなイベントが大々的に広告されるのだ。
人間が何人も消えているゲームは不審に思われ一世を風靡した。
それでも日常的な生活から戦場を駆け巡ること。さらに多すぎる職業や隠し要素の多くから、VRMMOならではの仮想世界の面白さはプレイヤーの心を掴んではなさず、利用者の多くが激減することは一度もなかった。
ゲームの影響で死人が出た訳でもない。
そしてまた。
何人ものプレイヤーが消息を絶った。
並々ならぬ情熱を注ぎ、寝食を忘れプレイする廃人予備軍がいた。
普通の高校生であるが独特の性格をしているため友達らしい友達はおらず、一人でゲームばかりの人生。そんな彼はドミリア・オンラインにどっぷりつかり、仮想世界に入り浸っていた。
今日も今日とて隠し要素を探そうとしていたのだが。
気がつけば知らぬ場所で仰向けになっている。むくりと起き上がる。
ゲームの世界へ来てしまったと解釈したのは、相棒にしていたモンスターが目の前に浮かんでいたからだった。