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胡蝶の夢  作者: 秋澤 えで
小学生
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詭弁と理性

目深に黒い帽子を被る長身の男、緑のジャンパーの中年の男、茶髪の軽薄そうな若い男、咥え煙草の男。


今僕に見えるのは前方のバンから出てきた奴らだけ。取りあえず武器のようなものを持っているように見えるのは咥え煙草の男。手元には基準より長めの改造警棒が握られている。それと若い男は上着のポケットに何か入れているようでしきりにそれを弄っている。最良で小型ナイフ、最悪スタンガン。バンの中に何があるかは想像もつかないし、したくもない。


わずかな望みに賭け、素知らぬ顔で通り抜けられるかとも思ったが、当然のごとく、それは叶わなかった。



「よお、ちょっと話があるんだけどいいか?」



長身の男が道を塞ぐ。速まる動悸、首を伝う嫌な汗。体温が異様に上がるのを冷ますように雪が頬に触れた。いつもより低い声で返事をする。



「……すいません、俺たち急いでいるので」

「まあまあそう言うなよ。急ぎの用があるなら、話が済んだ後でも問題ねぇよ」



ヘラりと笑う男をまっすぐ見る。焦りなど決して見せない、鉄面皮を張り付けた。



「いえ、時間がないので……、」

「ごちゃごちゃうるせぇな」



咥え煙草が警棒でコンクリート塀をガッと叩く。塀の上の雪ががさりと落ちた。蓮様がわずかに身じろぐが顔には出さないようにしているのが見えた。



「こいつらで間違いないんだろ?こんなふざけた髪の小学生なんて他にいねぇよ」

「目もこういう色なのか?カラコンみてぇ」



茶髪がこちらへ近づき髪の毛を引っ張る。相変わらず右手はポケットに突っ込んだままだ。


蓮様も無言を貫いている。茶髪はそれが気に食わなかったらしく舌打ちをして左手を振り上げる、が長身がそれを止めた。



「やめろ、勝手なことすんじゃねぇタナカ。叫ばれたりしたら面倒だ」



そういわれるとしぶしぶといった風に僕たちを睨みながら少しだけ距離をとる。


それを見届けた後長身は僕たちに再び向き直った。



「それで、『白樺蓮』はどっちだ?」



ギュッと唇を噛む。


空いている左手をポケットに突っ込み素早くピンを引き抜いた。怪しまれることのないように指先だけで。



それが本当に役に立つのか否かは、瀬川さんの言葉を信用するしかない。


早く、早く。



長身の男の問いに咥え煙草が苛立ったように笑う。



「そりゃサトウ見るからに、そっちの白髪の餓鬼のほうだろ。白樺はみんな髪が白いとか言ってただろ?片方は『赤霧』っていうとこの餓鬼じゃねえのか」



視線が蓮様に集まるも蓮様は身を一瞬震わせただけで反応は返さない。


後ろに神経を向けるが、どうやら軽自動車の連中は動いていない。おそらく僕らが後ろに逃げたときに捕まえるためだろう。


こいつらの様子を見る限り、ここにいる奴らはチンピラの寄せ集めだろう。情報不足が著しいうえに皆が皆好き勝手やっている。一応リーダー格はこの長身のサトウという男。サトウといい、タナカといい十中八九偽名だろう。おそらくここにいるのは誰かに頼まれて、白樺蓮を浚いに来たらしい。そしてこいつらに与えられた情報は白髪と赤髪の少年が一緒にいる、ということくらいに思われる。話を聞いていると顔すら知らないらしい。となると重火器を持っている可能性は低く、こいつらもまた使い捨てにされる可能性が高い。



「どっちでも良くね?だって両方とも捕まえりゃいい話だろ」



タナカがサトウに言う。ヒョイっと何でもないようにポケットから手を出す。その手には小ぶりなサバイバルナイフが収まっていた。スタンガンでないことに一応安堵しておくが、今の危機的状況は何も好転していない。


唾を飲み込む。


当然僕は、蓮様をこいつらに渡す気など毛頭ない。


大丈夫、問題ないはず。蓮様だけでもここから逃がせばいい。


蓮様が黙って僕に合わせてくれれば、こいつらに理性があれば、大丈夫。ピンも抜いた。もう時間の問題だ。


失敗は許されない。


少しだけ力を入れて蓮様の袖を握り、


そして、離した。



一歩だけ長身の男の前に出る。声が震えることのないよう、腹にグッと力を入れる。



「……『白樺蓮』は俺だ。俺に何か用があるのか」



隣で蓮様が目を見開くのを視界の隅で見る。


その場の視線が僕に集まる。


長身は面白そうに笑った。



「へえ、聞き分けが良くて助かる。……ただ白樺の髪は白って聞いてんだけど?」


「俺の一族の髪が白いのは知られている。当主になる予定のない俺なんかは赤に染めるんだ。代わりに赤霧が白い髪にする。まさかそんな白樺だって見るからにわかるような頭をしてうろつくわけにはいかない。……赤霧は身代わりだ」


「ふうん……」



長身が目を細め値踏みするように蓮様を見る。何か言いたげに口を動かしているが、僕が直前に言い聞かせたこともあり何も言えないようだ。


そう、そのまま何も言わなくていい。


きっと彼は気づいただろう。僕が男装をする最大の理由を。



「でもこっちの赤霧君は仕事にならないんだけど?身代わりになってない」


「小学生に身代わりなんてできるわけがない。親が勝手に護衛にしただけで、こんな子供に身代わりをする覚悟なんてないさ」



少しでも話している時間を長くし、遠くへ耳を澄ませる。だが未だ僕が望む音は聞こえない。舌打ちしたくなるが何でもない顔で見据える。



「俺を浚うのか?サトウさん」

「ははは、わかっているなら話が早い。騒ぐなよ。そっちの餓鬼もだ。黙って車に乗れば痛い目見ずに済む。馬鹿じゃないなら逆らうな」



笑っているのに全く目が笑っていない。わずかに見えるのはせいぜい無力な僕らを馬鹿にするような嘲笑の色だけだ。



さあここからだ。おとなしく車に乗る気などない。足掻けるだけ足掻く。できるだけ場を引っ掻き回す。



「話をしよう」

「……話なら今済んだ。お前らは言うことを聞けばいいだけだ」



苛立ちの乗せられた言葉に若干焦りを覚える。怒らせて理性を失わせたら僕らの負けだ。だが僕がわずかだけでも優位にいなければならない。


怒らせないよう、しかし下手に出ない言葉を慎重に探す。



「一つだけ条件をつけさせてくれないか」

「黙れ。状況が分からねぇのか」

「状況を分かっていないのはアンタの方だ」

「調子に乗るなよ餓鬼がっ!」



咥え煙草が警棒を持ってないほうの手で頬を殴っ気づかれないように少しだけ身体を流し、できる限り衝撃を小さくする。口の中に鉄の味が微かに広がった。



「話を聞いて欲しい。……聞いてもらえないならこの場で舌を噛み千切る。俺が死んだら困るのはアンタ達の方だ。それに知ってるか?小学校では全校生徒に防犯ブザーが配られる」



ひょいっと右のポケットからショッキングカラーの防犯ブザーを取り出してみせると、長身が目の色変える。



「おい餓鬼、それをこっちに寄こせ……」

「俺の話を聞いてくれるならね」

「ッチ、なんが言いたい」



その返事を了承と受け取り防犯ブザーを男に渡す。端から学校給付の防犯ブザーなんかに期待などしていない。もらって以来一度も鳴らしたことがないからなるかどうかすら危うい上に、大きな音がならなければこいつらを逆上させるだけに終わるだろう。


おそらくこの近くに住んでいる人はいない。コンクリート側は小さな工場だし、手入れのされていない椿の家もきっと家主は不在だろう。それに防犯ブザーごときがなったくらいで様子を見に来てくれる人はいったいどれだけいるだろうか。



「涼、お前も出しておけ」



後ろにいる蓮様にも言っておく。蓮様は無言でそれを投げてよこした。蓮様に敬語を使わないのも、自分の名前で人を呼ぶのを妙な心地がする。



「で、何だ」



イライラとした様子にわずかに慄きながらも顔には出さず、あくまでも不遜な態度で臨む。怯めば僕の望みはきっと通らない。



「こいつは逃がしてやって欲しい」

「おまっ何言って……!?」



後ろにいる蓮様を指し示す。同時に彼が声を上げるがそれを黙殺し、長身に言う。



「こいつはただの小学生だ。なんもできはしないし度胸もない。覚悟も意思もない。うっかり俺の護衛になんかになっちまった運のない餓鬼だ」



かつてないほどに饒舌になるが、逆にそれによって自分が思っている以上に自分は危機感を抱き焦っていると思い知らされた。喉が渇く、舌が痺れる。



「……それを俺が許すとでも思ってるのか?」



嘲笑するように口角があげられる。


そんなことはこの場にいる誰でもない僕が一番わかっている。力のない餓鬼であろうがどうであろうが、面倒な要因になるならば一緒に浚うか殺すかするのが手っ取り早い。こいつらにはおそらく人殺しを犯す覚悟はない。だが同時に力の加減もまともに知らない。殺す気がなくともうっかり殺してしまった、なんてことになりかねないのだ。



「こいつさえ逃がせば俺は一切抵抗しない。確実に俺を誘拐することができる。なお、たとえこいつを逃がしたとしても、警察にまともな通報ができるわけがない。俺たちはあんたたちの人数、特徴、車のナンバーも分からない。名前も聞く限り偽名の可能性が高い。万が一にもこいつが通報して警察が動いたとして、俺を浚った後は他の人間に引き渡すんだろう?それに俺は次期当主じゃない。俺を浚う理由は大方身代金目当て、そのためにはなんにせよ一度俺の家に連絡をする必要がある。誘拐がばれるのは自分たちで電話を掛けるとき、誘拐がばれて困ることはない」



つらつらとしゃべり続ける。焦っているはずなのに表情は崩れず口からはポンポンとあることないこと適当な言葉が滑り落ちていく。


この状況を脱するのに必要なことは僕が蓮様の身代わりになること、もしくは時間を稼ぐことだ。僕の耳にはまだ望む音は聞こえない。



「なんだ、この餓鬼……」

「本当に小学生か、こいつ」



長身の後ろのジャンパーと茶髪が慄くように呟く。



「……随分と頭が回る餓鬼じゃねぇか。まあ通報されても困ることはねぇ。だが通報するのがお前だとしたらまた変わってくる。お前みたいなのにやられちゃあかなわねぇだろ」



その言葉に背負っていた黒いランドセルをさっと手に持ち、その場で中身をぶちまけた。一瞬警戒するように睨まれるが、少しだけ屈み目的のものをばれないように拾い一緒に滑り出た携帯に目をやる。



「てめぇまさかっ!」



色めき立ち殴り掛かろうとする咥え煙草に目をやりそして、足元に滑り出た携帯を思い切り踏みつけた。



「……これで通報される心配はない。流石に携帯はいくつももっていないしな」



足元で画面が割れ細かいガラスが散る。


一瞬の静寂。流石にここまでするとは思ってなかったのだろう。




「……それで、断ったら?」


未だ飲む気にならない長身に小さく笑う。



「ここで俺は舌を噛み切る……と、思ったが生憎今までに舌を噛み切ったことがないからきちんと死ねるか分からないしどの程度の力で噛めばいいのか分からない。だから、もし断ればこれで首を掻き切ろう。一思いに死ねなくとも、出血多量で死ぬ可能性は高い」



ランドセルをぶちまけた際に拾い上げたカッターを首に押し当てた。正直カッターでどの程度切れるのか分からない。死ぬにはそれなりの力がいるだろうし、もしかしたら途中で折れるかもしれない。だが脅しには十分だ。



「……はったりなんて信じると思うか?」



口ではそう言うが焦りの色が目の奥に見え、口元がわずかに引き攣っていた。



「あんたが信じようがどうだろうが関係ない。俺が首を切るのは決定事項だ。死んだ俺に特に不利益はないが、俺を生きて捕まえることができなかったあんたたちは別だ。死体に人質の価値はないのだから、あんたたちに利益は回らないし手元に残るのは犯したリスクだけ。ここで俺が派手に血ぃだして死ねばアンタやアンタの持ち物にも血が付着する。警察の手掛かりにもなるかもしれないな。……俺が不利益を被るとしたらそこのそいつにトラウマを残すことくらいだ」



ちらりと蓮様を見るが、下を向いて黙り込んでいる。少々拍子抜けな気分だ。彼のことだからもっと動揺したり何か発言するかもしれないと危惧していたが、ありがたいことに大人しくしていてくれている。



「……どうする、選べ」



高圧的に問う。話している間少しずつプレッシャーを与えてきた。カッターを首に押し当てたまま口角を上げじっと男を見る。焦りに瞳が揺れ、口がわずかに震える。


傍から見れば圧倒的に僕が不利に見えるはず。だが僕とこの男からすれば話し始めたときと変わり、今では僕が絶対的な力を持っている。


本当は僕が不利であることは変わっていない。先ほどの話は全て詭弁だ。圧倒的に有利なのはこの男たち。だがそのリーダーは僕に危機感を覚えている。


この男は馬鹿ではない、それどころかかなり理性的で頭もそれなりに回る。だがそれゆえに、最悪の場合を考える想像力を持ち合わせ、僕の詭弁に耳を傾けてしまった。律儀に話など聞かずに殴るなりして気絶させれば早い話であったのに、万が一ということを考えて話を聞いてしまった。



「……どうする?」



首に当てていたカッターを少しだけ動かせばプツリと肌が破れ血がつうっと刃を伝った。焦りを通り越して冷静になってくるが感覚がマヒしているせいか痛みは全く感じない。



「……分かった……」

「何がだ?」



男の唇が震え、絞り出すように吐かれる次の言葉を予期した。分かっていても相手の口から言わせる。最後に残る反対の意思までへし折るために。



「……そっちの餓鬼は逃がそう」




ほら、僕の勝ちだ。


刃を伝った赤い血が足元の薄い雪をハタハタと汚した。





「はぁ?サトウ何言ってんだよ」

「ああ、どっちも連れてきゃ良い話だろ」



当然反論の声が上がる。



「馬鹿は黙ってろっ!二人浚うよりも目的の一人を確実に浚った方がいい」


無理やり長身、サトウが黙らせた。僕が思っているよりもこの男の力はこの中で強いらしい。運が良かったと内心ほくそ笑む。




首から血の付いたカッターを雪の上に落とした。僕の手からカッターが離れたのを確認したうえで長身は僕の腕を引いたので大人しく後を歩く。他の帽子や茶髪は先にバンに乗り込んだようだが、咥え煙草は未だ外に出たままだった。背後からも車の扉を閉める音とエンジンのかかる音を聞く。少しだけ後ろに首を回し蓮様の方を見る。



「涼、逃げろよ」



俯いたまま顔の見えない蓮様は僕の顔を一度も見ないまま、道の先へ走っていった。その後姿を見送る。長身も心得たことなので黙ってそれを眺めた。背中が見えなくなり、扉が開けられたままのバンへと向き直ると長身は僕に唐突に話しかけた。



「……随分と薄情な護衛じゃねぇか。もしかしたら自分の主人が死ぬかもしれねぇってのによ」

「普通の小学生ならそんなものだろう。泣き叫ばないだけ幾分かましだ」

「まるで自分は普通の小学生じゃないような口ぶりだな」



軽薄な笑みを張り付けからかうように僕に問う。正直一度も僕の顔を見てくれなかったのは多少なりともショックだったりする。今生の別れ、などと言うつもりはないがまた無事で会えると思えるほど楽観的にはなれない。とりあえず、蓮様が無傷であるならば、それ以上のことはない。



「残念ながら普通の家ではないからな。万が一のことだって考えている。だがアイツは違う、そんな覚悟などないし考えたこともないだろう」



バンの中へ片足をかけると向かい側には先に乗り込んでいたらしい咥え煙草がいた。手には相も変わらず警棒が握られている。もし逃げ出すことになったら一番厄介なのはこの咥え煙草になるだろう。リーチが長く丈夫そうな警棒。さっき塀を殴ったときの音を聞き思ったが、もしかすると鉄かなにかを入れて補強をしているのかもしれない。



しかしふと頭をよぎる。


僕は何故、助かることを前提に考えているのだろう?


ジワリと嫌な汗がにじむ。


もし僕が白樺蓮でないとばれれば、僕を生かしておく理由はない。相手の捨て駒を取っておく必要などないのだから。今でこそこの顔つきでさらしを巻いているから気付かれていないが、ばれない可能性は高くなどない。


僕は僕の思っている以上にこの状況を、いや、この世界を楽観視していたのかもしれない。


先を知っているから、などと甘え、舐めていた。ここは画面越しの世界などではない。今僕はここで生きているのだから。



夢見る傍観者などではいられない。



嫌な考えは加速する。


ゲームの中で赤霧涼という人物はいなかったのではなく、実は既に死んでいてゲーム内で紹介する必要もない設定だけの存在だとしたら。


さっきよりも激しく動悸する。今更、ここまで来て怖気づくなど、情けない。グッと手に力を入れ握りしめる。ジワリ、血がにじむ。鈍い痛みに辛うじて平静を保つ。感覚は、まだ、ある。僕はまだ、大丈夫。



自分でそう言い聞かせ、もう片方の足も車内へ踏み入れる。鼻先を紫煙が苦々しく掠めた。


僕が乗り込んだのを確認し、続いて長身が乗り込もうとする。


なるほど、僕を両側から拘束するんですね、わかります。足元のガムテープ、縄など誘拐セット一式を見てため息を吐いた。



誘拐の最中というのに、車内の空気が緩かったのは僕が抵抗の様子を見せなかったからだろう。


だから誰も、僕も含めて気が付かなかった。


前方を見るものはおらず、車内の視線は目当ての僕に、僕の視線は長身と足元の誘拐セットに。誰ひとりとしてその時まで、気が付かなかった。


それは確かに前方から近づいてきていたにも関わらず――。



ガツッ!



誰一人予期することのなかった鈍い音が微かに反響する。と、ともに長身が車内へ倒れこむ。

長身の頭越しに、僕は消えたはずの、遠ざけたはずの白を見た。



「な、んで……?」



痺れた思考で、僕は馬鹿のような問いが口から転がり出た。


薄暗い車内の解放された扉から見た雪は眩しいほどで、僕のなんとも阿呆らしい言葉はただ融けていった。


返事などはない、ただ呼ばれた。



「帰るぞ……涼っ!」



眩しさにかすむ視界で、伸ばされた手を僕は縋るようにとった。

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