表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/96

番外編  中央ギルドのステラさん 6






 岩掃除のクエストを終えてから数日後。ステラさんは再びクエストのためにギルドへと向かっていました。王国最古の歴史と最大の規模を持つ中央ギルド、そのメンバーも一定の敬意を払われる事が多いのですが、ステラさんはその例外なのでしょう。いつもの事ではありますが、道行く人たちの視線は冷たいものでした。右に左にと、避けるように道をゆずる人々に頭を下げながら、ステラさんは歩を進めます。


 ギルドに到着したステラさん、メンバーから声をかけられる事もなく、正門の大きな扉をくぐって中へと入ります。無愛想なおじさんの受付へと向かうと、並んでいた人たちがいつものように彼女に場所をゆずり、逃げるようにどこかへと行ってしまいます。申し訳なさそうにしながら、受付のおじさんに話しかけるステラさん。


「こ、こんにちは……」


「ああ」


「今日のクエストなんですが……」


「ああ、オオカミの毛皮集めだったな。26階ゲートを使え」


「はい、ありがとうございます……」


「それと、この前のクエストの残りの500リルだ。帰りに渡したほうがいいか?」


「はい、それでお願いします……」


「わかった。役人が驚いてたぞ、よくこんなに大きく道を開けたもんだってな」


「そ、そうですか……」


 少し恥ずかしそうにうつむくステラさん。そのままクエストに向かおうとした彼女に、おじさんが声をかけました。


「待て、もうひとつ渡すものがある」


「はい、何でしょう……」


「シティギルドの冒険者からの手紙だ。何でも感謝状らしい。宛先の名前がないんだが、どうやらお前さん宛てのものらしい。これは今渡しておく」


「感謝……? はい、ありがとうございます」


 他のギルドに感謝される心当たりがないステラさん、不思議に思いながらおじさんから手紙を受け取ります。あいさつしてその場を離れ、手紙を見てみると、「28階の道を開けてくれた女斧兵さんへ」と書いてありました。確かにステラさん宛ての手紙のようです。ステラさんは恐る恐る、手紙を読んでみました。手紙にはびっしりと、かわいらしい字で文章が綴られていました。



 28階の道を開けてくれた女斧兵さんへ


 こんにちは、この前28階にいた槍兵の者です。セーラっていいます。この前は名前も名乗らず、お名前も聞かずに失礼な態度をとってしまってすみません。改めてお礼をさせてください。あの道はなかなか掃除してくれる人が現れなくて、困ってる人も多かったみたいなんです。斧兵さんのおかげで、たくさんの冒険者が助かりました。本当にありがとうございました。私はシティギルドですが、またお会いしたいなと思ってます。それでは、斧兵さんもがんばってくださいね。



 手紙を読み終えると、ステラさんはひとつ息をつきました。それから、その手紙を大事に、大事に包んで懐の袋へとしまいました。そして、ゲートの部屋へと歩いていくステラさん。その足取りは、ギルドの冒険者たちが見た事がないほどに軽やかなものでした。




 中央ギルドのステラさん  終




というわけで、リメイク・新章の間のつなぎとして書いていた番外編も完結です。ご覧いただきありがとうございました!


本作をリメイクした「職業『詩人』なんですが、どうやって戦えと? ~新章~」は、いよいよ第一部が完結し来月からは第二部が始まります! 今日から投稿している第一部のラストパートは本作から大幅に変更しています。今後はそちらの方でがんばっていきますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ