番外編 中央ギルドのステラさん 6
岩掃除のクエストを終えてから数日後。ステラさんは再びクエストのためにギルドへと向かっていました。王国最古の歴史と最大の規模を持つ中央ギルド、そのメンバーも一定の敬意を払われる事が多いのですが、ステラさんはその例外なのでしょう。いつもの事ではありますが、道行く人たちの視線は冷たいものでした。右に左にと、避けるように道をゆずる人々に頭を下げながら、ステラさんは歩を進めます。
ギルドに到着したステラさん、メンバーから声をかけられる事もなく、正門の大きな扉をくぐって中へと入ります。無愛想なおじさんの受付へと向かうと、並んでいた人たちがいつものように彼女に場所をゆずり、逃げるようにどこかへと行ってしまいます。申し訳なさそうにしながら、受付のおじさんに話しかけるステラさん。
「こ、こんにちは……」
「ああ」
「今日のクエストなんですが……」
「ああ、オオカミの毛皮集めだったな。26階ゲートを使え」
「はい、ありがとうございます……」
「それと、この前のクエストの残りの500リルだ。帰りに渡したほうがいいか?」
「はい、それでお願いします……」
「わかった。役人が驚いてたぞ、よくこんなに大きく道を開けたもんだってな」
「そ、そうですか……」
少し恥ずかしそうにうつむくステラさん。そのままクエストに向かおうとした彼女に、おじさんが声をかけました。
「待て、もうひとつ渡すものがある」
「はい、何でしょう……」
「シティギルドの冒険者からの手紙だ。何でも感謝状らしい。宛先の名前がないんだが、どうやらお前さん宛てのものらしい。これは今渡しておく」
「感謝……? はい、ありがとうございます」
他のギルドに感謝される心当たりがないステラさん、不思議に思いながらおじさんから手紙を受け取ります。あいさつしてその場を離れ、手紙を見てみると、「28階の道を開けてくれた女斧兵さんへ」と書いてありました。確かにステラさん宛ての手紙のようです。ステラさんは恐る恐る、手紙を読んでみました。手紙にはびっしりと、かわいらしい字で文章が綴られていました。
28階の道を開けてくれた女斧兵さんへ
こんにちは、この前28階にいた槍兵の者です。セーラっていいます。この前は名前も名乗らず、お名前も聞かずに失礼な態度をとってしまってすみません。改めてお礼をさせてください。あの道はなかなか掃除してくれる人が現れなくて、困ってる人も多かったみたいなんです。斧兵さんのおかげで、たくさんの冒険者が助かりました。本当にありがとうございました。私はシティギルドですが、またお会いしたいなと思ってます。それでは、斧兵さんもがんばってくださいね。
手紙を読み終えると、ステラさんはひとつ息をつきました。それから、その手紙を大事に、大事に包んで懐の袋へとしまいました。そして、ゲートの部屋へと歩いていくステラさん。その足取りは、ギルドの冒険者たちが見た事がないほどに軽やかなものでした。
中央ギルドのステラさん 終
というわけで、リメイク・新章の間のつなぎとして書いていた番外編も完結です。ご覧いただきありがとうございました!
本作をリメイクした「職業『詩人』なんですが、どうやって戦えと? ~新章~」は、いよいよ第一部が完結し来月からは第二部が始まります! 今日から投稿している第一部のラストパートは本作から大幅に変更しています。今後はそちらの方でがんばっていきますので、よろしくお願いします。




