表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/96

番外編  中央ギルドのステラさん 5






 28階の岩を除去するクエストをこなしたのはいいものの、岩の向こうの冒険者たちをびっくりさせてしまったステラさん。ただ一人、震えながらも声をかけてきた女の子の次のセリフを緊張の面持ちで待っています。また泣かせてしまうのではないか……そういう展開に幾度も出くわしてきただけに、ステラさんの肩も徐々に下がっていきます。そんな彼女の耳に、槍兵の女の子のハスキーな声が入ってきました。


「あ、ありがとうございました……!」


「え……?」


 小さいながらもしっかりしたその言葉に、ステラさんの口から思わず気の抜けた声が漏れてしまいました。女の子は、恐る恐るといった様子でステラさんの顔をのぞきこんで話を続けます。


「みんな、こっち側まで回りこむのは大変だったんです……。岩掃除のクエストは労力と報酬が釣り合ってないって誰もやろうとしないので……」


 確かにその通りでした。岩の除去というのは、そんなに簡単にできる作業ではありません。相当の筋力を持つ職業やレベルのプレイヤーでなければ大変なのです。例えばレベル30の斧兵のステラさんのような。女の子はペコリと思いっきり頭を下げました。


「だから、道を開けてくれて本当にありがとうございます……!」


「そ、そんな……! 頭を上げてください……!」


「そ、それでは、失礼します……!」


 そう言うと、女の子はもう一度ペコリと頭を下げて向こうへと駆け出していきました。声をかけようとしたステラさんでしたが、とっさには言葉が出ず、その間に女の子の背中はみるみる小さくなっていきました。結局声をかけられなかったステラさんは、複雑な表情を浮かべながら斧を持ち上げ作業の続きに取りかかるのでした。岩を砕く音のせいか、はたまた先ほどこの場から逃げ出した冒険者たちから話を聞いたのでしょうか、その後作業が終わるまで、この場に近づいてくる者はいませんでした。





 ひとり岩掃除の作業を終えたステラさん。帰り道も特に苦労はなく、ギルドへと戻ってきました。受付に向かうと、無愛想なおじさんがステラさんに気づき、受付の奥から袋を取り出してきました。さっそく報告を行います。


「クエスト、終わりました……」


「ああ、そうか」


 ニコリともせずに応じると、おじさんは袋から銀貨を3枚取り出してステラさんに手渡しました。


「まずは300リルだ。この後役人がチェックしたら残りの500リルも渡す。次のクエストの時には渡せるはずだ」


「はい、ありがとうございます……」


 軽く頭を下げると、ステラさんは次のクエストを選び、言葉少なにギルドを後にしました。




 ギルドを出たステラさんは、真っ直ぐに家へと向かいました。お腹がすいたので、露店の焼き鳥を食べたいと思いましたが、この格好ではさすがにお店に寄るのははばかられます。後ろ髪を引かれながら、ステラさんは家路を急ぐのでした。





ようやくリメイク投稿のメドが立ちました。主に前半部を加筆修正、終盤をコミカルタッチに修正と、結構雰囲気も変わったかもしれません。「職業『詩人』なんですが、どうやって戦えと? ~新章~」の題で明日から投稿予定なので、よければそちらも読んでみてください。4月いっぱいはおおむね第一部リメイク部分の投稿になる予定です。


番外編はあと1話か2話で終わる予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ