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6-16 閃いた!





 当初の楽勝ムードから一転、今や壊滅の危機に陥ったゾンビ退治ご一行。あの美人幽霊と取り巻きの甲冑騎士たちも、もうオレたちのすぐ側まで迫ってきている。オレたちの前でステラが必死に応戦する中、リアが石を投げながらオレに向かってまくしたてる。

「ちょっと! ルイ、何とかしてよ! このままじゃステラが危ないでしょ!」

「何とかったって、オレに何をどうしろってんだよ!?」

 現に今だって必死に竪琴弾いてるじゃねーか!

「だからほら、あれだよ、もっと効果ありそうなヤツ歌ってよ! アンタいろんな歌知ってるじゃん!」

「いろんなのったって、今やってるのが一番お前らに効く曲なんだよ!」

「そ、そうなの? えーと、だったらさ……そう、敵に効く歌にしようよ! 何かないの? ゾンビに効きそうなヤツ!」

 いや、そんな便利なモンがあれば苦労しねえっつーの! ……でも、いや待てよ? 敵に効くってのは考えてなかったな。なんせこれまで実験した事なかったし。どうせこのままじゃ埒があかないんだ、考えてみるか、ゾンビに効きそうなヤツ、効きそうな……。

「あー! さっきステラに絡んでたアイツ、逃げようとしてるー! こらー! 逃げるなー!」

 うっせえ! どうでもいいよそんな事! コイツ、ホントは結構余裕あんだろ! いやしかし、確かに逃げ出すヤツも増えてきてるな……。ギュスターヴたちは女幽霊たちに苦戦……げっ、苦戦どころか紫の霧に完全に取り込まれてる!? マジでヤバいじゃねーか! そんな時、背中越しにステラの悲痛な叫び声が聞こえてきた。

「皆さん、これ以上はもちません! 早く後退してください!」

「だから、ステラを置いてはいけないって!」

「私、誰かといっしょにモンベールに行くことができるなんて思ってませんでした! 素敵な思い出を、お二人ともありがとうございました!」

「だからそういう回想やめてってばぁ! こんな仕事さっさと片付けて、またモンベールでお茶しながらルイのつまんないウンチクみんなで聞くんだよ!」

 どさくさに紛れて言いたい放題言ってんじゃねえ! てか、つまんないウンチクって何の事だよ! お前らがどんな歌を歌えるかって聞いてくるから答えただけじゃねえか! 確かにマニアックなのもあったかも知れないけど! でもあれはオレじゃなくて主に中島が作ったヤツだからな! ヴェルディのレクイエムのメタルアレンジとかノーザンオールメンバーズの三拍子ジャズ魔改造とか! 


 ……ん? レクイエム? あれって確か死んだ人のための曲じゃなかったっけ? 日本語で鎮魂歌って意味だっけか。これってもしかして、コイツらにも効くんじゃね? 幽霊もゾンビも死んでるわけだし。どうせこのままじゃジリ貧だし、これはいっちょ試してみるっきゃねえ!

「リア! オレにひとつ考えがあるんだけど!」

「え、ウソ? ホントに? 気休めじゃなくて?」

 違ちげぇよ! オマエどんだけオレの事当てにしてないんだよ! いや、今はそれどころじゃねえ!

「いいかリア! 曲を変えるから、ステラへの援護を全力で頼む! お前らのパワーアップが切れるから注意しろよ!」

「え? て事は、応援歌じゃないの?」

「ああ、うまくいけば敵に直接効果があるはずだ!」

「ホントに!? 凄いじゃんルイ! わかった、じゃ私も奥の手出すね!」

 そう言うと、リアが懐に手を伸ばす。そして取り出したのは……ああ、あの殺人投げナイフか。それなら何とかなりそうだな。後はステラにもふんばってもらって、と。

「ステラ! 曲変えるから、防御に専念してくれ!」

「は、はい! わかりました!」

「よし、それじゃいくぜ!」

 ひとつ気合を入れると、オレは竪琴を構えなおした。うう、これ、ホントにうまくいくのかなあ……。失敗したら、みんな一気にやられちまうかも……。いや、後はごちゃごちゃ考えても仕方ない! うまく弾けるかわからんが、やるだけやってみるさ! いくぜ! レクイエム、メタルバージョン!






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