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5-16 国もギルドも、大変なんです




 ゾンビ退治の大規模クエストに、渋りながらも参加する事に決めたリア。やっぱ一人1000リルはデカいもんな。オレ、今でも一日の食費10リルくらいだし。


「はぁ……」


 深いため息。お前、そんなにイヤなのかよ。


「それにしても、よくこんな気前よく報酬払えるもんだな」


 オレの言葉に、リアがジト目で答える。


「はぁ、そんなの人気取りに決まってんじゃん」


「人気取り?」


「そ。こうやってたまに大盤振る舞いする事で、ギルドメンバーのご機嫌をうかがうんだよ」


「ああ、そういう事か」


 そういやあっちの世界でも政治家とかがなんかそんな事やってた気がするな。オレ政治よくわからんけど。


「国としてはメンバーの好感度が高い方が陰で妙なマネされなくて安心だし、ギルドの運営側もその辺はわかってるから、この手のクエストは積極的に薦めるんだよ。ね、アンジェラ?」


「あらあら、手厳しいわね」


 毒づくリアに、アンジェラが苦笑交じりに首をかしげる。なるほど、いろいろあるのね。


「でも、だからこそおいしい案件だって事はわかるでしょう? せっかく向こうがあげると言ってるんだから、おいしく頂いてしまった方が賢いんじゃないかしら?」


「まーそうなんだけどさー」


 なおもブツブツ言いながら、次回のクエストを物色する。心なしか手つきが乱暴だな。やがて、一枚の依頼書をつまみ上げた。


「ねー、これなんかどう?」


「ああ、いいんじゃないか」


「私もいいと思います」


 そう言ってリアに手渡されたクエストは、28階での毛皮集め。盗賊必須のクエストだな。報酬750リルプラスインセンティブか、相場から考えても悪くない。今回はステラもいるから結構たくさん持って帰れるしな。十日後はゾンビ退治だし、早めに片付けようという事であさってにセッティングする。


「それじゃそんな感じで、よろしく」


「了解。ゾンビ退治の方も登録しておくわね」


「ああ、うん、お願い……」


 途端にテンションがダダ下がるリア。コイツ、ホントわかりやすいヤツだわ。


「あ、聖水は用意しなくていいわよ。必要な物はあちらで準備してくれるそうだから」


「ああ、聖水つけたらゾンビさん寄ってこなくなりますもんね」


「私たちには寄ってきたけどね……」


 恨みがましくリアがこぼす。もうコイツ、絶対信仰心なんて残ってないだろうな……。


「じゃあアンジェラ、またあさってね」


「ええ、待ってるわ」


 あいさつを交わしてギルドを後にする。日が傾きつつある中、リアが伸びをしながら声を張り上げた。


「よーし、今日は飲むぞー!」


「え、これからかよ!」


「だって私たち、まだみんなでお酒飲んだ事ないじゃん」


「いや、そうだけどさ」


 てか未成年なのに酒飲んでいいのかよ! って、ここ日本じゃないからいいのか。あれ……でも日本人のオレはここで飲んじゃっていいのか……? オレ成人だけど今は十代みたいだし……。いいや、飲も。


 その日は結局三人で遅くまで飲み続けた。これ、あさってのクエストに響かないのか……? てか、ステラさんってあんなに飲むのな……。




ステラさんの酒豪属性が垣間見えた所で、次回からはいよいよ第一部最終章が始まります!

本作のクライマックスという事で、皆さんぜひお付き合いください!

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