5-15 え~……
アンジェラの「いい仕事がある」という言葉に食いつくリア。結果的にこれが墓穴を掘る事になった。
「例のゾンビ退治よ。十日後に四ギルド合同で討伐隊が編成されるのよ」
目を輝かせていたリアが、一気に硬直する。
「Cランクプレイヤー向けのクエストとして参加者を募集するみたい。うちのギルドには二十人分の枠が割り当てられているわ」
「そんなの王国が討伐すればいいじゃん」
「そこはそれ、よ。今ならまだ空きがあるけど?」
「え~……」
あからさまにイヤそうな顔をするリア。まあ、前回のあのビビりようからすればなあ……。
「それは別にいいかなあ……」
「あら、そう? でも報酬は凄いわよ。参加者一人あたり、それぞれ1000リルもらえるみたい」
「1000リル!?」
リアとオレが思わず声を上げる。一人1000リル!? そんなオイシイ仕事があんのかよ!
「ちょっ、それマジかよ!?」
「うう……1000リルかぁ……」
リアもかなり心を動かされてるようだ。今、内心じゃもの凄い葛藤してるんだろうな。
「でも、危険はないんですか?」
「ええ、ゾンビ自体はさほど強くないようね。実際にゾンビを倒したパーティーの話によれば、どうやら生きている時より弱体化してるみたい。Cランク向けダンジョンのクエストをこなしてるプレイヤーなら大丈夫よ」
「なるほど、じゃあ問題ないか」
「でも、女の人や甲冑オバケはどうなの?」
「それは私も気になったから報告したんだけど、今回は万一に備えて中央ギルドとテンプルギルドから数名Bランクプレイヤーが参加する事になったわ。中央からはAランクプレイヤーも一人参加するみたいね」
「Aランク!?」
リアが驚きの声を上げる。
「ん? そんなに驚く事なのか?」
「そりゃそうだよ! だって全部で三十人くらいしかいないんだよ? 同じギルドなら顔くらい見かけるけど、クエストでご一緒する機会なんてまずないよ!」
やや興奮ぎみにまくしたてるリア。なんだかんだ言っても、コイツもやっぱ冒険者なんだねえ。
「う~ん……」
高額報酬と高位プレイヤー参加に、リアもずい分と心が揺らいでる様子。話聞いてるとわりとラクそうな仕事だし、オレも1000リルは欲しいしな。よし、ここはもう一押しするか。
「ステラ! ステラは参加するよな!」
「え? 私は……」
「オレは参加したいんだけど、一緒に戦ってくれる人がいないと危ないからさ。だから行こうぜ!」
「で、でもリアさんは……」
「もちろんリアも行くよな?」
当然のように話を振られ、リアがやや混乱した様子で返事する。
「いや、ちょっと待って。う~ん……」
「あ、イヤか? 今回は報酬一人ずつだし、イヤならオレたちだけで行っても別にいいぜ?」
「え? いや、それはダメ!」
慌てて声を上げるリア。やっぱ仲間はずれはイヤか。お子サマだねえ。
「じゃあ行こうぜ。お前らなら楽勝な感じだし、さっさと稼いでモンベールでパーッとやろうぜ」
「う~……」
決めあぐねているのか、なおも唸り声をあげる。しばらくして、低い声がもれた。
「わかった、私も行く……」
結局、リアも参加する事に決めたのだった。
渋々参加を決めたリアちゃん。やっぱり1000リルは見過ごせないよね。
次回、リアちゃんの愚痴が続きます(笑)。
それにしても、「お子サマ」は一体どっちなんでしょうかね。




