5-7 リアちゃん、わりと怖がり?
依頼の品である薬草を集めるべく、32階へと向かうオレたち。途中冒険者の一行と出くわし、軽くあいさつと情報交換を交わして先へ進む。
「あの人たちも聖水つけてたね」
「そりゃそうだろ。誰が腐った肉のニオイなんか嗅ぎたいっての」
「武器も汚れちゃうもんねー」
何度かモンスターにも遭遇したが、フォーメーションうんぬん以前に、大抵ステラが一人でモンスターどもを血祭りにあげてしまう。いや、やっぱあのデカい斧を縦横無尽に振り回して敵を蹂躙する絵ってのは見てて怖いわ……。
しばらくして、オレたちは32階に到着した。薄暗いが天井は高く、脇には痩せ細った木々がうっそうと生い茂っている。一言で言えば、気味が悪い場所だ。おいおい、いかにも出そうなフインキじゃねえか……。
「なんて言うか、雰囲気ありますね……」
「やだ、変な事言わないでよ……」
女性陣も同じ事を思っていたらしく、二人とも身を寄せ合って……っておい! オレの後ろにまわんな! 敵が出てきたらどうすんだよ!
「オマエら、なんでオレの後ろに来るんだよ! フォーメーション崩れるじゃねえか!」
「えー、だってー」
「ご、ごめんなさい……」
一人は申し訳なさそうに、もう一人はブーブー言いながら渋々前に出る。おいおい、こんな調子で大丈夫なのか……? 頼むから出てくんなよ、ゾンビども。
「てか、もしかしてオマエら、オバケとか怖かったりするの?」
いい機会だし、ちょっとからかってやるか。
「まあ、そんなに得意な方ではないですけど……」
「はぁ? オバケなんて、こ、怖いわけないじゃん! バッカでー!」
……わかりやすいな、コイツ……。
「そうか、そりゃ心強いな」
「へーんだ、ルイは一人でチビって逃げちゃえばいーじゃん!」
イラッ。てか、仮にも女の子がチビるとか言うんじゃねえ。
「じゃあオバケが出てきたら、得意なリアに前衛やってもらおうか」
「えっ!?」
物凄い勢いでこっちに振り返り、大きく目を見開くリア。ぷぷっ、お、おもしろすぎる……。
「ステラはあんまり得意じゃないって言ってんだし、その方が絶対いいよな?」
「そ、そうかもしれないけど……」
引っ込みがつかないのか、今や涙目になりかけている。まあ今日のところは、このくらいでカンベンしてやるか。
「まあなんだ、いきなり変えるのも大変だし、今日はまだやらなくていいぜ」
「そ、そう……」
ブーッ、もうダメ! そんな露骨に安心するなって! 顔ゆるみまくってんぞ! こりゃいいネタつかんだわ!
「さ、さて! それじゃあテキパキ集めてさっさと帰りましょうか!」
「そ、そうですね!」
話を変えたいのか、それともいろいろごまかしたいのか、ことさらに大声を上げて採取ポイントを探し始めるリア。そんなリアに気を遣ってか、ステラもその流れに乗っかっていく。このあたり、さすがはお姉さんだねえ……。それはさておき、依頼書には採取ポイントが何ヶ所か書いてあったから、クエストはまあそんなに苦労はしないだろう。ステラ強いし。
ここぞとばかりにリアちゃんをイジるルイ君。
意趣返しといった所でしょうか。
次回は……温かい目で見守ってやってください(笑)。




